にごり湯の宿20選|乳白色・白濁の秘湯を泉質データで選ぶ

温泉

にごり湯を探すときに困るのは、「白い湯」と書かれていても、その白さの正体が宿ごとにまるで違う点だ。硫化水素が空気に触れて濁る湯もあれば、カルシウムの微粒子で白く見える湯もある。同じ乳白色でも、pHは1.8の強酸性から7.4の中性まで開きがある。

ここでは、泉質分類・pH・源泉かけ流しの別まで自社データベースで確認できた宿20軒を挙げる。18軒を都道府県コード順(おおむね北から南)に並べ、末尾に乳頭温泉郷の2軒を置いた。各宿の料金・浴場の構成・アクセスは、見出し直下の個票ページに集約してある。後半には、20軒の泉質データを一覧で比較できる表を置いた。

この記事でわかること

  • にごり湯が乳白色に濁る化学的な理由と、白濁しない硫黄泉との違い
  • 泊まれるにごり湯20軒と、泉質データを載せた個票ページの入口
  • 20軒の泉質分類・pH・かけ流しの別を並べた比較表
  • にごり湯に入るときの注意点と、季節ごとの見どころ

にごり湯が乳白色に濁る理由——硫黄コロイドのしくみ

にごり湯の代表格である乳白色温泉が白く見えるのは、多くの場合、硫黄成分による。地中では硫化水素として溶け込んでいた成分が、湯船に注がれて空気に触れると酸化し、硫黄コロイドと呼ばれる微粒子になる。この微粒子が光を散乱させるため、湯は白く濁って見える。

したがって、源泉の湧出口では無色透明でも、浴槽では白濁するという逆転が起きる。白骨温泉 泡の湯の湯は、源泉では透明だが、空気に触れて硫化水素とカルシウム成分が微粒子となり、乳白色に変わる。松川温泉 峡雲荘の湯も源泉は無色透明で、浴槽では青緑を帯びた乳白色になる。

泉質名の「硫化水素型」が白濁の目安になる

温泉分析書の泉質名に「(硫化水素型)」と付く場合、遊離した硫化水素を一定量含むことを示す。この20軒のうち9軒がこの表記をもつ。硫黄泉であっても硫化水素型でなければ、湯は白く濁らず透明のままのこともある。

白以外のにごり湯もある

にごり湯という語は乳白色に限らない。鉄分を含む湯は空気に触れて酸化し、赤褐色や茶褐色に濁る。湯の花が舞って灰白色や緑白色に見える湯もある。色と匂いが泉質でどう決まるかは泉質による温泉の色と匂いの違いで扱っている。ここでは乳白色・白濁の湯に絞って20軒を選んだ。


1. 酸ヶ湯温泉(青森県青森市)

酸ヶ湯温泉
引用:酸ヶ湯温泉 HP
泉質
硫黄泉
含鉄泉
温度
48℃ ~ 49℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 1.7
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 1000円/子供 500円
営業時間
月火水木金土日祝
07:00 - 18:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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2. 下風呂温泉 まるほん旅館(青森県下北郡風間浦村)

下風呂温泉は青森県下北半島、津軽海峡に臨む本州最北端の温泉郷である。その歴史は室町時代にまで遡り、古くから湯治場として湯けむりを上げてきた。まるほん旅館は明治20年(1887年)にこの地で創業した老舗宿であり、130年以上にわたって湯治客を迎えてきた。下風呂温泉郷は作家・井上光晴が愛し、晩年に「文学伝習所」を開いた文学ゆかりの地としても知られ、素朴ながら文化の香り漂う港町の風情を今に伝えている。 まるほん旅館の湯は、下風呂を代表する「大湯」系の源泉を引く。泉質は酸性・含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)で、源泉温度は64.0℃、pHは2.4という酸性泉である。溶存物質は約3,298mgと成分が濃く、湧き出したばかりは澄んでいても、空気に触れると硫黄が反応して乳白色に濁り、卵の腐ったような硫黄臭を放つ。源泉かけ流しを基本とするが、湧出量が不安定なため、適温を保つべく水道水で調整することがある。神経痛・筋肉痛・関節痛など、湯治向きの効能で知られる濃厚な硫黄泉である。 浴室は男女別の内湯のみで、3〜4人も入ればいっぱいになる小さな正方形の浴槽に、白濁した硫黄泉がなみなみと注がれる。飾り気のない素朴なつくりだが、それゆえに湯そのものと静かに向き合える。宿泊すれば、冬には下風呂名物のあんこうを鍋・刺身・唐揚げなどで存分に味わえる季節の膳が供され、津軽海峡の海の幸を堪能できる。全室和室の落ち着いた空間で、昔ながらの湯治宿の情緒が色濃く残る。 日帰り入浴は13:00〜20:00、大人500円で利用できるが、不定休のため訪問前に電話(0175-36-2330)で確認しておきたい。アクセスはJR下北駅から下北交通バスで約1時間、「下風呂」バス停下車すぐ。車ならむつ市街から国道279号を北上して約40分で到着する。強い酸性硫黄泉は湯あたりしやすいため、長湯を避け、入浴後は真水で軽く流すとよい。海峡の潮風と本州最果ての静けさに包まれ、湯治の原点を感じられる一軒である。
泉質
含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 2.4
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 500円/子供 ---円
営業時間
月火水木金土日祝
13:00 - 20:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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3. 藤七温泉(岩手県八幡平市)

藤七温泉
藤七温泉 - 画像 1
泉質
硫黄泉
温度
---℃ ~ 91℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 3.4
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 650円/子供 350円
営業時間
月火水木金土日祝
08:00 - 17:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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4. 松川温泉 峡雲荘(岩手県八幡平市)

松川温泉 峡雲荘
引用:松川温泉 峡雲荘 HP
泉質
単純硫黄泉
温度
40℃ ~ 62℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 5.4
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 700円/子供 350円
営業時間
月火水木金土日祝
08:30 - 19:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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5. 須川高原温泉(岩手県一関市)

須川高原温泉
須川高原温泉
泉質
硫黄泉
硫酸塩泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
温度
48℃ ~ 52℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 2.2
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 800円/子供 400円
営業時間
月火水木金土日祝
06:00 - 21:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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6. 新湯温泉 くりこま荘(宮城県栗原市)

新湯温泉 くりこま荘
新湯温泉 くりこま荘
栗駒山の麓、標高600mのブナ林に囲まれた山あいに佇む秘湯の宿。1720年に開湯され、栗駒五湯の中でも「幻の湯」とされてきた新湯温泉を、くりこま荘によって甦らせた温泉だ。 源泉は栗駒山の裏掛コース登山口に位置し、昔から参拝登山者の疲れを癒したと知られる秘湯。ほのかな硫黄の香りを漂わせながら、300年近い時を超えて流れるお湯が、ひときわ体も心にもしみ渡る。 白濁した温泉はよく肌に馴染み、多くの温泉ファンの心をとらえる。貸切風呂からは季節折々の栗駒の風情を五感で感じられ、自然に包まれた癒しのひとときを過ごせる。 食事は岩魚料理が主となり、注文ごとに生け簀のイワナを調理するため、まさに新鮮揚げたての極上が味わえる。山菜や郷土の食材にこだわった素朴な郷土料理も好評だ。客室は全8室で、源泉掛け流しと日本古来の湯治文化にこだわる秘湯の宿だ。
泉質
含硫黄-カルシウム硫酸塩泉(硫化水素型)
温度
31℃ ~ 42℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 5.6
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 600円/子供 400円
営業時間
月火水木金土日祝
10:00 - 15:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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7. ふけの湯(秋田県鹿角市)

八幡平最古の秘湯として知られるふけの湯温泉。標高1,100m、開湯約400年の歴史を持つ一軒宿で、4月下旬から11月までの季節限定営業となる。 最大の魅力は、荒涼とした景観の中に点在する豪快な野天風呂。湯煙が立ち込める地獄谷に、男性用、女性用、混浴(枡風呂、樽風呂、岩風呂)の3種類が配置される。屋根も囲いもない開放的な空間で、大自然のエネルギーを肌で感じられる。 館内には総ヒバ造りの大浴場と露天風呂も完備。敷地内に3本の源泉を持ち、単純温泉と弱酸性泉の2種類の泉質が楽しめる。 子宝の湯としても知られ、玄関には子授けのシンボル「金勢さま」を祀った神社がある。 食事は地元の山菜や川魚を使った「ふけの湯式薬膳料理」が提供される。
泉質
硫黄泉
温度
---℃ ~ ---℃
供給
源泉かけ流し
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 600円/子供 300円
営業時間
月火水木金土日祝
08:30 - 17:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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8. 蔵王温泉 おおみや旅館(山形県山形市)

山形市の南東、標高約880メートルの高原に湯けむりを上げる蔵王温泉は、西暦110年頃に日本武尊の東征へ随行した吉備多賀由(きびのたがゆ)が発見したと伝わる、開湯1900年の歴史を誇る東北屈指の古湯である。当初は発見者の名にちなみ「多賀由温泉」と呼ばれ、それが転じて「高湯」、さらに霊峰蔵王の名を冠して「蔵王温泉」となった。おおみや旅館は、その温泉街の中心に位置する創業1000年以上とも伝わる老舗であり、蔵王の歴史そのものを見つめ続けてきた宿である。 蔵王の湯を語るうえで欠かせないのが、その強烈な酸性度である。おおみや旅館が引く近江屋2号源泉は、泉質が酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉、pHはわずか1.9という全国でも有数の強酸性泉だ。自然湧出する53.3℃の源泉を加温・加水せず100%かけ流しで湯船に注ぎ、硫黄の香りが漂う乳白色の湯が肌を包む。強い殺菌力を持つこの湯は古くから「傷に効く」と言われ、きりきず・やけど・慢性皮膚病などへの効能で知られる。ぴりりと刺激的な肌ざわりの奥に、じんわりと芯まで温まる力を秘めた、蔵王ならではの名湯である。 浴場は、木の温もりに包まれた「玉子温泉」をはじめ、源泉風呂・泡風呂、そして開放感あふれる源泉露天風呂、さらに足湯まで揃う。何より特筆すべきは館内の佇まいで、全館畳敷きの床は素足で歩く心地よさに満ち、大正ロマンを感じさせるレトロな意匠と竹久夢二の版画が随所を彩る。エレベーターのない階段づくりの造りもまた、時が止まったかのような懐かしさを旅人に伝える。強酸性の湯と、時代を超えた宿の風情。この二つが響き合うところに、おおみや旅館ならではの魅力がある。 日帰り入浴は12:00〜14:00、大人880円で楽しめる。露天風呂は雪深い11月下旬から4月上旬まで冬期閉鎖となるため、露天を目当てにするなら新緑から紅葉の季節が狙い目だ。一方、冬は樹氷で名高い蔵王の白銀世界とセットで訪れる価値がある。アクセスは山形蔵王ICから車で約30分、JR山形駅からはバスで約45分。宿泊客には山形駅からの無料送迎バス(要予約)も用意される。強酸性の湯に身を浸し、レトロな畳廊下を歩けば、1900年の歳月が積み重ねてきた蔵王の湯の記憶が、静かに肌へと沁み込んでくるだろう。
泉質
酸性-含硫黄・(ナトリウム)-硫酸塩泉(硫化水素型)
温度
42℃ ~ 53℃
湧出
自然湧出
供給
源泉かけ流し
加温
加温なし
pH値
pH 1.9
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 880円/子供 ---円
営業時間
月火水木金土日祝
12:00 - 14:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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9. 滑川温泉 福島屋(山形県米沢市)

滑川温泉 福島屋
引用: 滑川温泉 福島屋 HP
滑川温泉の湯が見出されたのは文明8年(1476年)と伝えられる。大沢の郷士・斉藤盛房が前川を渡ろうとして岩で足を滑らせ、倒れた拍子に手に触れた石が温かかったことから、川底に湯が湧いていることを知ったという。滑って転んだ川、すなわち「滑川」という地名は、この素朴な発見譚に由来する。湯治場として体裁が整えられたのは宝暦13年(1763年)で、米沢藩主・上杉家の許しを得た笹木正直が宿を構えた。以来260年余り、福島屋は14代にわたって一軒宿の湯守を続けている。米沢八湯のひとつに数えられ、日本秘湯を守る会にも名を連ねる、山形を代表する山の湯である。 泉質は含硫黄-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉。低張性の中性泉で、pHは7.0前後と、硫黄泉としてはめずらしく刺激の穏やかな湯質である。3本の自家源泉はいずれも動力に頼らない自然湧出で、源泉温度は下の湯が40.4℃、上の湯が53.6℃、合わせて毎分約150リットルが湧き続ける。加水も加温もせず、循環も消毒も行わない完全な源泉かけ流しで、湯船に満たされた湯は乳白色から青白色へと濁り、硫黄の香りが立ちのぼる。湯量に恵まれているため、浴槽の縁からは常に新しい湯があふれ出している。 浴場は4か所。石造りの混浴内湯「大風呂」と女性専用の内湯があり、屋外には前川の渓流を見下ろす混浴の岩露天風呂と、川べりに据えられた檜の露天風呂が配される。新緑や紅葉を背景にした乳白色の岩風呂は温泉専門誌でもたびたび取り上げられる名景で、混浴ではあるが女性専用時間が設定されている。檜風呂は宿泊客が夜間に貸切で利用できる。標高約850メートルの山中にあるため電線も水道管も届かず、宿は水力による自家発電と貯水タンクで日々の営みを支えている。客室は25室で、朝夕とも部屋食。昔ながらの自炊湯治棟も残されている。 営業は4月下旬から11月上旬までの期間限定で、冬季は道路の除雪がないため休業する。日帰り入浴は9:00〜16:00、大人700円・小学生以下350円で、タオル類は有料販売のため持参するとよい。宿泊は1泊2食付き13,700円からで、湯治棟の素泊まりなら3,200円からと幅がある。車では東北中央自動車道・米沢中央ICから約45分だが、終盤は前川沿いの崖に沿った狭い道が続くので運転には注意したい。公共交通機関ならJR奥羽本線・峠駅から車で約15分、宿泊客に限り送迎がある(要予約)。徒歩30分ほどの場所には日本の滝百選に選ばれた滑川大滝があり、新緑の5月下旬から6月、紅葉の10月が特に美しい。
泉質
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
温度
40℃ ~ 53℃
湧出
自然湧出
供給
源泉かけ流し
加温
加温なし
pH値
pH 7
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 700円/子供 350円
営業時間
月火水木金土日祝
09:00 - 16:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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10. 高湯温泉 玉子湯(福島県福島市)

高湯温泉 玉子湯
引用:高湯温泉 玉子湯 HP
同じく高湯温泉の秘湯である玉子湯は、明治元年(1868年)創業の老舗旅館だ。温泉に入ると肌が玉子のように滑らかになることと、匂いがゆで卵に似ていることから名づけられた。 庭園には創業当時の趣を残した茅葺き湯小屋があり、150年の歴史を感じさせる。400年絶え間なく自然湧出し続ける白濁の源泉を、7つの湯処で堪能できる。加水・加温を一切行わず、100%源泉かけ流しにこだわっている。 高湯温泉は戦後の高度経済成長期にも「一切の鳴り物を禁ず」と自らに課し、古来の湯治場の佇まいを護り続けてきた。その姿勢が現在の恵みに繋がっている。
泉質
酸性-含硫黄・(ナトリウム)-硫酸塩泉(硫化水素型)
温度
42℃ ~ 51℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 2.8
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 1000円/子供 600円
営業時間
月火水木金土日祝
11:00 - 20:00◯◯16:00-20:00◯◯◯◯◯
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11. 奥塩原新湯温泉 渓雲閣(栃木県那須塩原市)

栃木県那須塩原市、塩原温泉郷からさらに山道を登った標高1,000メートルの高地に、奥塩原新湯温泉はある。背後に控える硫黄山(新湯富士)は今なお白い噴煙を上げ続け、あたりには硫黄の匂いが漂う。かつてこの山肌では硫黄が採掘され、その鉱山跡が温泉場の裏手に今も残る。渓雲閣は、江戸時代初期に新湯温泉が湧き出して以来、三百年にわたって硫黄泉のかけ流しを守り続けてきた一軒宿である。日本秘湯を守る会に名を連ねる、まさに湯治場の面影を色濃くとどめる宿だ。 渓雲閣の湯は、単純酸性硫黄温泉(硫化水素型)。総硫黄成分は55.8mg/kgに達し、これは全国でも指折りの濃さである。硫黄泉と聞くと肌にぴりぴりと刺激する強い湯を思い浮かべるかもしれないが、この湯はpH2.6の酸性でありながら、意外なほど柔らかく肌になじむ。約79℃で湧き上がる源泉に加水も加温もいっさい施さず、全浴槽を源泉100%のかけ流しで満たす。湯船に注がれた湯は空気に触れて乳白色から灰白色へと濁り、糖尿病や高血圧、リウマチ、皮膚病への効能が古くから語り継がれてきた。 館内の浴場は二つ。山々を一望する展望大浴場「たぬきの湯」と、四季の庭を眺める貸切庭園露天風呂「たぬき冥利の湯」である。とりわけ貸切露天は、宿泊者であれば追加料金なしで独占できるのが嬉しい。にごり湯に身を沈め、周囲の緑や雪景色を独り占めする時間は、この宿ならではの贅沢だ。さらに宿の裏手に整えられた散歩道を辿れば、共同湯「むじなの湯」「寺の湯」「中の湯」が点在し、湯めぐり手形を手に濃厚なにごり湯を渡り歩くこともできる。 日帰り入浴は12:00から14:30まで、大人1,000円(タオル付)で展望大浴場を利用できる。個室でゆっくり過ごしたいなら、最長5時間の部屋貸し休憩入浴3,500円を選べば、大浴場も共同浴場も貸切露天も追加料金なしで満喫できる。宿泊は1泊2食付きで15,400円ほどから、夕食はお部屋出しで供される。アクセスは東北自動車道の西那須野塩原ICから車で約35分。公共交通なら那須塩原駅から塩原温泉バスターミナルまでバスで約69分、そこから宿の定時送迎(要予約)で奥塩原へ上がる。冬は雪深い土地だけに、雪見の濃厚硫黄泉を目当てに訪れるのも一興である。
泉質
単純硫黄泉(硫化水素型)
供給
源泉かけ流し
加温
加温なし
pH値
pH 2.6
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 1000円/子供 ---円
営業時間
月火水木金土日祝
12:00 - 14:30◯◯◯◯◯◯◯◯
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12. 奥鬼怒温泉 加仁湯(栃木県日光市)

奥鬼怒温泉 加仁湯
引用:奥鬼怒温泉 加仁湯 HP
泉質
含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
温度
---℃ ~ 45℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 6.6
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 3500円/子供 1000円
営業時間
月火水木金土日祝
09:00 - 21:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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13. 万座温泉 日進館(群馬県吾妻郡嬬恋村)

万座温泉 日進館
引用: 万座温泉 日進館 HP
標高1,800メートルに位置する万座温泉日進館は、星に最も近い温泉宿として知られる。敷地内から源泉が自噴しており、毎分1,800リットル、日量540万リットルという圧倒的な湯量を誇る。 泉質は日本屈指の硫黄濃度を持つ酸性硫黄泉で、乳白色の濁り湯が特徴だ。温泉は自噴、白濁、高温、効能、かけ流しの五拍子揃った極上の温泉である。天然木造りにこだわった3つの湯処があり、特に展望露天風呂「極楽湯」は、万座の山々や満天の星空を眺めながら入浴できる絶景風呂として人気が高い。 大浴場「長寿の湯」では源泉100%の姥湯、大人数で入れる苦湯、打たせ湯が楽しめる滝湯など、6種類の浴槽が楽しめる。食事は朝夕ともバイキングスタイルで、「まごわやさしい」にこだわった和洋中40品以上のバランスメニューが提供される。
泉質
酸性硫黄泉
温度
40℃ ~ 44℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 2.5
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 1000円/子供 ---円
営業時間
月火水木金土日祝
undefined - undefined◯◯◯◯◯◯◯◯
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14. 芦之湯温泉 きのくにや(神奈川県足柄下郡箱根町)

正徳5年(1715年)創業、300年を超える歴史を持つ箱根芦之湯の老舗旅館。明治天皇の行在所(あんざいしょ)としての栄誉を賜り、多くの文人墨客に愛されてきた名門である。約3千坪の敷地に15本の源泉と大小15の湯船を有し、泉質の異なる天然硫黄泉と炭酸水素塩泉の2種類の湯を楽しめる。メタケイ酸を139mg含有する「美肌の湯」としても名高い。 本館の「湯香殿」では白濁した硫黄泉を、別館の「貴賓殿」では澄んだ炭酸水素塩泉をそれぞれ堪能できる。宿泊者限定の貸切風呂「正徳の湯」は創業当時の湯殿を再現した趣深い空間である。日帰り入浴も1,000円で2時間利用可能と手頃で、箱根の喧騒を離れた静かな山間に位置する芦之湯ならではの落ち着いた時間を過ごせる。
泉質
単純硫黄泉
温度
40℃ ~ 43℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 7
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 1000円/子供 1000円
営業時間
月火水木金土日祝
15:00 - 10:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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15. 白骨温泉 泡の湯(長野県松本市)

白骨温泉 泡の湯
白骨温泉 泡の湯 - 画像 1
泉質
含硫黄-カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉(硫化水素型)
温度
37℃ ~ 37℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 6.3
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 1000円/子供 600円
営業時間
月火水木金土日祝
10:30 - 14:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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16. みくりが池温泉(富山県中新川郡立山町)

みくりが池温泉
みくりが池温泉 - 画像 1
標高2,410メートル、日本一高所に位置する天然温泉として知られるみくりが池温泉。立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルから徒歩約15分、立山を望む絶景の中に佇む一軒宿だ。 源泉は地獄谷にあり、無加水・無加温の100パーセント源泉かけ流し。白く濁る硫黄の香りの湯が、登山やトレッキングで疲れた体を温かく癒してくれる。男女別の展望内湯があり、窓からは大日連山がよく見え、雲上の温泉を堪能できる。 食事は季節により献立が変わり、海の幸・山の幸が豊富な和食中心の会席料理が提供される。山小屋とは思えない豪華さだと評判だ。営業期間は4月中旬から11月下旬までで、冬季は休業する。
泉質
酸性泉
単純温泉
温度
---℃ ~ 45℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 2.3
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 1100円/子供 800円
営業時間
月火水木金土日祝
09:00 - 16:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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17. 地獄温泉 青風荘(熊本県阿蘇郡南阿蘇村)

地獄温泉 青風荘
引用:地獄温泉 青風荘HP
文化元年(1803年)開湯の歴史ある温泉地。阿蘇五岳の一つ、烏帽子岳の中腹、標高750mの山中に位置する。2016年の熊本地震と土石流災害を乗り越え、2021年に全面再開を果たした復興の象徴的な宿。 最大の魅力は「すずめの湯」と呼ばれる足元湧出の奇跡の湯。浴槽の底から青みがかった乳白色の温泉が湧き上がり、加水・循環一切なしの究極の源泉かけ流しを体験できる。現在は着衣入浴スタイルで運営されており、老若男女すべての人が気軽に楽しめる。 他にも「たまごの湯」「元の湯」など複数の源泉があり、それぞれ異なる泉質と効能を持つ。宿泊施設は本館、離れ、曲水舎の3つの棟で構成され、明治中期の木造建築の雰囲気を残しながらも現代的な快適さを提供している。
泉質
単純硫黄泉(硫化水素型)
単純酸性泉
温度
41℃ ~ 67℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 3
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 2000円/子供 800円
営業時間
月火水木金土日祝
10:00 - 17:00◯×◯◯◯◯◯◯
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18. 霧島湯之谷温泉 湯之谷山荘(鹿児島県霧島市)

霧島湯之谷温泉 湯之谷山荘
引用:霧島湯之谷温泉 湯之谷山荘HP
霧島温泉郷の中でも特に自然に囲まれた場所に位置する一軒宿。原生林に囲まれた静寂の中、豊富な湯量を誇る源泉かけ流しの温泉を楽しめる。 露天風呂は森の中にあり、四季折々の自然を感じながら入浴できる。泉質は単純硫黄泉(硫化水素型)で、pH5.3の弱酸性。湯の花が浮遊する乳白色のにごり湯である。湯量が豊富なため、常に新鮮なお湯が注がれている。 内湯も広々としており、大きな窓から霧島の山々を望める。秘湯の雰囲気を持ちながら、設備は整っており、快適に過ごせる。
泉質
単純硫黄泉(硫化水素型)
温度
30℃ ~ 46℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 5.3
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 500円/子供 250円
営業時間
月火水木金土日祝
10:00 - 14:00◯◯×◯◯◯◯◯
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オンライン予約のリンクがない乳頭温泉郷の2軒

残る2軒は、当サイトの個票にオンライン予約サイトへのリンクを持たない。空室の確認は宿への直接連絡になるが、乳頭温泉郷のにごり湯を語るうえで外せない。七湯それぞれの湯めぐりは乳頭温泉郷ガイドで七湯の泉質と回り方にまとめてある。

19. 乳頭温泉 鶴の湯(秋田県仙北市)

乳頭温泉 鶴の湯
乳頭温泉(参考:乳頭温泉 鶴の湯HP)
十和田八幡平国立公園内、乳頭山の麓に位置する乳頭温泉郷。その中で最も古い歴史を持つのが鶴の湯温泉である。 元禄14年(1701年)開湯、秋田藩主の湯治場としても利用された由緒ある温泉宿。鶴が傷を癒したという伝説からその名がついたとされる。警護の武士が詰めた茅葺き屋根の長屋「本陣」が今も残り、江戸時代にタイムスリップしたような風情が漂う。 半径50m以内に4種類の泉質が異なる源泉が湧くという珍しい温泉地で、白湯、黒湯、中の湯、滝の湯を楽しめる。混浴露天風呂は乳白色の硫黄泉で、四季折々の自然を眺めながら入浴できる。 食事は山の芋鍋や岩魚の塩焼きなど、地元の食材を使った素朴な郷土料理が味わえる。
泉質
硫黄泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
炭酸水素塩泉
温度
53℃ ~ 59℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 7.4
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 700円/子供 ---円
営業時間
月火水木金土日祝
10:00 - 15:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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20. 乳頭温泉 黒湯温泉(秋田県仙北市)

乳頭温泉 黒湯温泉
乳頭温泉 黒湯温泉 - 画像 1
乳頭温泉郷の最奥に位置し、先達川の上流にある黒湯温泉。4月中旬から11月中旬までの季節限定営業で、ブナ林に囲まれた静寂の秘湯である。 最大の特徴は敷地内に源泉が湧出する河原があり、乳頭温泉郷随一の豊富な湯量を誇ること。沸々と温泉が噴出する様子を眺めながら入浴できるのは、黒湯温泉ならではの醍醐味だ。 男湯、女湯、混浴それぞれにある「打たせ湯」も人気。複数の源泉を持ち、乳白色の硫黄泉や無色透明の単純温泉など、泉質の違いを楽しめる。 古くからの湯治場の雰囲気を色濃く残し、茅葺きの自炊棟も完備。食事はきりたんぽ鍋、比内地鶏鍋、山菜、岩魚など秋田の味覚が堪能できる。
泉質
単純硫黄泉(硫化水素型)
硫黄泉(硫化水素型)
温度
---℃ ~ ---℃
供給
源泉かけ流し
pH値
pH 4
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 800円/子供 ---円
営業時間
月火水木金土日祝
09:00 - 16:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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乳白色・白濁の度合いを泉質データで比較する

「乳白色の温泉ランキング」という形で順位を付けたくなるが、白濁の濃さそのものを測った公的な指標は存在しない。そこで、白濁の起こりやすさに関係する数値だけを並べた。硫化水素型の表記があるほど硫黄成分が遊離しており、白濁が濃く出やすい。pHは湯の刺激の強さの目安になる。

並びは、硫化水素型の表記があるものを先に、そのなかではpHの低い順(酸性の強い順)にした。数値は当サイトのデータベースに登録された温泉分析書ベースの値で、未登録のものは「—」とした。

#

施設

泉質分類(分析書表記)

硫化水素型

pH

源泉温度

供給形態

1

蔵王温泉 おおみや旅館

酸性-含硫黄・(ナトリウム)-硫酸塩泉(硫化水素型)

○

1.9

53.3℃

源泉かけ流し(加水・加温・循環・消毒なし)

2

下風呂温泉 まるほん旅館

含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)

○

2.4

64.0℃

源泉かけ流し(加水あり)

3

奥塩原新湯温泉 渓雲閣

単純硫黄泉(硫化水素型)

○

2.6

79.2℃

源泉かけ流し(加水・加温・循環・消毒なし)

4

高湯温泉 玉子湯

酸性-含硫黄・(ナトリウム)-硫酸塩泉(硫化水素型)

○

2.8

—

源泉かけ流し

5

地獄温泉 青風荘

単純硫黄泉(硫化水素型)/単純酸性泉

○

3.0

—

源泉かけ流し

6

乳頭温泉 黒湯温泉

単純硫黄泉(硫化水素型)/硫黄泉(硫化水素型)

○

4.0

—

源泉かけ流し

7

霧島湯之谷温泉 湯之谷山荘

単純硫黄泉(硫化水素型)

○

5.3

—

源泉かけ流し

8

新湯温泉 くりこま荘

含硫黄-カルシウム硫酸塩泉(硫化水素型)

○

5.6

—

源泉かけ流し

9

白骨温泉 泡の湯

含硫黄-カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉(硫化水素型)

○

6.3

—

源泉かけ流し

10

酸ヶ湯温泉

硫黄泉/含鉄泉

—

1.8

—

源泉かけ流し

11

須川高原温泉

硫黄泉/硫酸塩泉/ナトリウム・カルシウム-塩化物泉

—

2.2

—

源泉かけ流し

12

みくりが池温泉

酸性泉/単純温泉

—

2.3

—

源泉かけ流し

13

万座温泉 日進館

酸性硫黄泉

—

2.5

—

源泉かけ流し

14

藤七温泉

硫黄泉

—

3.4

—

源泉かけ流し

15

松川温泉 峡雲荘

単純硫黄泉

—

5.4

—

源泉かけ流し

16

奥鬼怒温泉 加仁湯

含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉

—

6.6

—

源泉かけ流し

17

滑川温泉 福島屋

含硫黄-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉

—

7.0

53.6℃

源泉かけ流し(加水・加温・循環・消毒なし)

18

芦之湯温泉 きのくにや

単純硫黄泉

—

7.0

—

源泉かけ流し

19

乳頭温泉 鶴の湯

硫黄泉/ナトリウム・カルシウム-塩化物泉/炭酸水素塩泉

—

7.4

—

源泉かけ流し

20

ふけの湯

硫黄泉

—

—

—

源泉かけ流し

この表から読み取れることが3つある。

1つ目は、pHの幅の広さである。蔵王温泉 おおみや旅館のpH1.9と、乳頭温泉 鶴の湯のpH7.4では、肌への当たりがまったく違う。強酸性の湯は殺菌力が強い一方、皮膚の弱い人には刺激になる。

2つ目は、白濁と酸性度が一致しないことだ。酸ヶ湯温泉はpH1.8と20軒で最も低いが、泉質名に硫化水素型の表記はない。逆に白骨温泉 泡の湯はpH6.3の中性寄りでありながら、乳白色に濁る。

3つ目は、20軒すべてが源泉かけ流しである点だ。加水も加温も循環も消毒もしていないとデータで確認できたのは3軒。蔵王温泉 おおみや旅館・奥塩原新湯温泉 渓雲閣・滑川温泉 福島屋である。


にごり湯の楽しみ方

湯の色が変わる時間帯を狙う

多くの乳白色温泉は、湧出時は無色透明で、空気に触れるにつれて濁っていく。朝いちばんに入れ替えた湯は透明に近く、夕方には白さが増していることがある。同じ宿で朝と夕に入り比べると、この変化がわかる。

硫黄の香りを手がかりにする

硫化水素の匂いは、腐った卵にたとえられる。湯船に近づいたときの匂いの強さは、そのまま硫黄成分の遊離量の目安になる。匂いが強い湯ほど、白濁も濃く出るとされる。

湯の花の形を見る

浴槽の底や湯面に浮かぶ湯の花は、成分が析出したものだ。硫黄泉では白や淡黄色の細かい粒として現れる。霧島湯之谷温泉 湯之谷山荘のように、湯の花が舞う様子が浴槽の特徴になっている宿もある。


にごり湯に入るときの注意点

肌が弱い場合は短時間から

硫黄泉は酸性に振れることが多く、皮膚への刺激が強い場合がある。皮膚疾患の一部が適応症として挙げられている一方、肌の弱い人は短時間の入浴から始めるほうが安全である。上がったあとに真水で流すかどうかは、宿の掲示に従いたい。

金属のアクセサリーは外す

硫黄成分は銀や銅を黒く変色させる。指輪・ネックレス・腕時計は脱衣所に置いてから入りたい。

匂いが衣類に残る

硫黄の匂いは髪や衣類に残りやすい。連泊する場合や、帰路に人と会う予定がある場合は、着替えを多めに持参しておくと困らない。

換気の効いていない浴室では長居しない

硫化水素は高濃度では有害である。屋内浴場では換気口が塞がれていないかを確認し、頭がぼんやりしてきたら早めに上がる。


季節別の楽しみ方

春(3月〜5月)

雪解けとともに山の宿が営業を再開する。ふけの湯は個票に「4月下旬〜11月上旬営業」と記録があり、八幡平一帯は山岳道路の除雪が済むまで到達できない。残雪と新緑が同時に見られる時期は短く、開通日は年によって動く。

夏(6月〜8月)

標高の高い宿が快適になる。みくりが池温泉は標高2,410mにあり、真夏でも上着が要る。万座温泉も高原にあり、平地の暑さから離れられる。

秋(9月〜11月)

紅葉と白濁湯の色の対比がはっきりする時期である。乳頭温泉郷も奥鬼怒も、湯船の周囲がそのまま山の斜面である。山の宿は11月に入ると冬季休業に向かうため、営業期間の確認が要る。

冬(12月〜2月)

雪見風呂の季節だ。ただし須川高原温泉やみくりが池温泉のように、冬季は休業する宿もある。冬も営業する宿を選べば、雪のなかの白濁湯に入れる。営業期間は宿ごとに異なるため、予約前に確認したい。


まとめ——泉質データから選ぶ

にごり湯を選ぶときは、見た目の白さだけで決めないほうがよい。泉質名に硫化水素型の表記があるか、pHがどのあたりか、加水・加温をしているか。この3点を押さえると湯の性格がつかめる。この20軒はすべて源泉かけ流しで、うち9軒が硫化水素型の泉質をもつ。

強い硫黄感を求めるなら、pHの低い硫化水素型の湯——蔵王温泉 おおみや旅館や奥塩原新湯温泉 渓雲閣が候補になる。刺激の少ない湯がよければ、pH6〜7台の白骨温泉 泡の湯や滑川温泉 福島屋が向く。各宿の料金・浴場の構成・入浴時間は、上の個票ページで確認できる。東北の湯を県単位で見比べるなら、秋田県の秘湯10選と岩手県の秘湯10選も入口になる。


よくある質問

Q. にごり湯と乳白色温泉は同じものですか。

A. 乳白色温泉はにごり湯の一種である。にごり湯は透明でない湯の総称で、硫黄による乳白色のほか、鉄分による赤褐色、湯の花による灰白色なども含む。

Q. 源泉では透明なのに、なぜ浴槽で白くなるのですか。

A. 溶けていた硫化水素が空気に触れて酸化し、硫黄コロイドという微粒子になるためである。この微粒子が光を散乱させて白く見える。

Q. 白濁が薄い日があるのはなぜですか。

A. 気温・湿度・湯量・浴槽の使用状況で酸化の進み方が変わるためである。白骨温泉 泡の湯の湯は、条件によって乳白色からコバルトブルーまで色合いが変わると個票に記載がある。

Q. にごり湯に美肌の効果はありますか。

A. 硫黄泉は皮膚疾患の一部が適応症として挙げられている。効能を断定はできないが、角質をやわらげる作用があるとされる。

Q. 子どもを入れても問題ありませんか。

A. 酸性の強い湯は刺激になりやすい。短時間から始め、肌の様子を見ながら入るとよい。宿によっては年齢制限を設けている浴場もあるため、事前に確認したい。


※本記事に掲載している情報(入浴料金・営業時間・泉質データ等)は、リサーチ時点の情報をもとに作成しています。誤りや変更が生じている可能性もあります。最新の情報については、各施設の公式サイトや観光協会等でご確認ください。

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