正直に言うと、九州の温泉は当たり外れがある。観光ガイドには「全部素晴らしい!」なんて書いてあるけど、実際に巡ってみると「え、これが秘湯?」って思う場所もあった。今回は九州各県から10箇所の秘湯を、良いも悪いもひっくるめて紹介したい。
⚠️ 重要な注意事項
本記事で紹介する温泉の中には、以下のリスクを伴う場所が含まれます:
- 寒の地獄温泉:源泉温度14℃の冷泉は体調によっては危険
- 新燃荘:硫化水素濃度が高く、30分以上の入浴は中毒の恐れあり
- 壁湯温泉:洞窟温泉は足元が滑りやすく転倒の危険
野湯・秘湯での事故は全て自己責任です。不安な方は管理された温泉施設をお勧めします。
1. 鍋山の湯(大分県別府市)★★☆☆☆ ※現在閉鎖中
別府三大秘湯の一つだったが、2010年に殺人事件があり、現在は立入禁止。
正直に言うと、事件前に一度だけ行ったが、雰囲気が最悪だった。確かに野湯としては有名で、別府市街から車で登った原野にぽつんとある石造りの浴槽。硫黄泉で白濁した湯は悪くなかったが...。
「ここを管理している」と言う常連らしき男性グループの目つきが悪く、風俗店の女性らしきカップルが水着でイチャついていたり、とても落ち着いて入れる雰囲気じゃなかった。開放的なはずの露天風呂が、逆に閉鎖的で居心地の悪い空間になっていた。
街から近すぎるのが問題だったのかもしれない。野湯って本来はもっと神聖な場所のはずなのに、ここは違った。事件が起きてしまったのも、ある意味必然だったのかもしれない。
- 泉質:硫黄泉(酸性)
- 現状:2010年より閉鎖中
- アクセス:明礬温泉エリアから山道を登る
行ってはいけない理由:現在立入禁止、過去に重大事件発生
2. 寒の地獄温泉(大分県九重町)★★★★★
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寒の地獄温泉は大分県玖珠郡九重町の九重連山麓、標高1,100メートルに位置する一軒宿の秘湯です。江戸時代末期の嘉永2年(1849年)に開湯した歴史ある温泉で、昭和3年(1928年)に寒の地獄旅館が創業しました。その昔、傷ついた猿が冷泉に浸かって傷を癒している姿を猟師が発見したことが温泉利用の始まりと伝えられています。
この温泉の最大の特徴は、全国でも珍しい源泉13~14℃の天然冷泉です。毎分2,160リットル(約2トン)という豊富な湧出量を誇り、完全な源泉かけ流しです。九重九湯の一つとして知られ、九重・飯田高原観光協会が提唱する「くじゅう連山温泉郷」にも含まれています。伝統的な入浴法として、冷泉と隣接する暖房室を往復する「温冷交互浴」が推奨されており、古くは「冷泉行進曲」という歌を歌いながら入浴したとされています。2023年7月には「暖の地獄サウナ」が新設され、従来は夏季限定だった冷泉入浴が通年可能となりました。
大浴場には薪で沸かした切石風呂と檜風呂があり、日替わりで男女入れ替え制となっています。また、半露天の家族湯が3種類用意されており、無料で予約不要で利用できます。建物は昭和初期の湯治場の雰囲気をそのまま残した木造建築で、囲炉裏を囲んだ食事処では豊後牛など地元の山川の恵みを堪能できます。日本秘湯を守る会の会員宿として、昔ながらの温泉文化を大切に守り続けています。
- 泉質:単純温泉
- 日帰り入浴:1時間700円、2時間1,000円
- 冷泉入浴期間:7月1日~9月30日
- 定休日:水曜日
- アクセス:九重ICから車で約30分
絶対にやめた方がいい人:心臓が弱い人、血圧が高い人、冷え性の人
3. 川底温泉 蛍川荘(大分県九重町)★★★★☆
2020年の豪雨で被災し、復活した温泉。新しく建て直されたせいか、施設は綺麗だ。
川底から湧き出る足元湧出のかけ流しで、浴槽は1856年に造られたもの。160年以上の歴史がある。とてもクリアなお湯が張られた美しい石造りの浴槽は底まで透き通って見える。ただ、透明すぎて温泉感が薄い。硫黄臭もないし、肌への刺激もマイルド。
個人的には、もっとガツンとくる温泉が好きなので★4つ。でも初心者には入りやすいし、宝泉寺温泉郷を流れる町田川はホタル観賞スポットとして有名なので、6月頃に訪れるのがベストかも。
- 泉質:単純温泉
- 日帰り入浴料:大人1,000円
- 営業時間:10:00-17:00(受付16:30まで)
- アクセス:大分道九重ICから車で約15分
4. 霧島新燃荘(鹿児島県)★★★★★
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九州最強の硫黄泉がここにある。駐車場に着いた瞬間から硫黄臭がプンプン。これぞ秘湯!
標高920m、新燃岳麓に位置する秘湯で、青白き湯が特徴。ただし要注意。硫化水素を多く含んでいるため、30分以上の入浴は中毒を起こす可能性がある。実際に「入浴は30分まで!」の警告文が貼ってある。
混浴露天は勇気がいるが、にごり湯なので、お湯に浸かっていれば混浴でも気にならない。女性用のバスタオルも用意されているから、意外と入りやすい。
でも接客がちょっと...。泉質は最高なのに、スタッフの対応で気分を害した人も多いみたい。私が行った時は普通だったけど。
- 泉質:単純硫黄泉
- 日帰り入浴:600円
- 営業時間:8:00-19:00(受付18:00まで)
- 定休日:火曜日
5. 別府市営地蔵泉(大分県)★★☆☆☆
別府の共同浴場は数多いが、正直ここは微妙。入浴料100円と激安だけど、それなりの理由がある。
まず、設備が古すぎる。シャンプーもボディソープもないし、カランから水しか出ない時がある。地元の人には愛されているけど、観光客がわざわざ行く価値は...?竹瓦温泉の方が100倍いい。
熱めの湯が好きな人にはいいかもしれないが、温度調整もままならない。「別府の共同浴場巡り」をコンプリートしたい人以外にはおすすめしない。
- 泉質:単純温泉
- 入浴料:100円
- 営業時間:市営温泉により異なる
行かなくていい人:清潔さを求める人、観光気分を味わいたい人
6. 岳の湯温泉 豊礼の湯(熊本県小国町)★★★★☆
熊本県阿蘇郡小国町西里にある、わいた温泉郷の一角。ここは穴場だ。
何がいいって、まず人が少ない。黒川温泉の喧騒に疲れた人にはぴったり。大浴場:大人500円、貸切家族風呂1,000円~1,500円と良心的な価格設定。
地獄蒸しができるのも面白い。ただし食材は持参必須。湯質はナトリウム-塩化物温泉でしっかりと温まる。黒川温泉から車で20分ほどなので、セットで回るのがおすすめ。
- 営業時間:8:00-19:00
- 休み:なし
- 宿泊:素泊まり4,500円~
7. 吉尾温泉(宮崎県)※詳細不明 ★評価保留
申し訳ないが、この温泉については確実な情報が得られなかった。宮崎の秘湯は青島温泉郷や北郷温泉が有名だが、「吉尾温泉」という名前は聞いたことがない。もしかしたら廃業したか、地元の人しか知らない超マイナー温泉かも。
宮崎で秘湯を探すなら、白鳥温泉上湯・下湯の方が確実。こちらは日本武尊(ヤマトタケル)の化身である白鳥に由来する温泉で、歴史もある。
8. 妙見温泉(鹿児島県)★★★★☆
九州自動車道「溝辺鹿児島空港IC」から約10㎞、湯治目的のシンプルな素泊まりの宿から贅を尽くした高級旅館までが立ち並ぶ温泉地。
良くも悪くも「普通の温泉地」になってしまった感はあるが、泉質は確か。全国の温泉を巡った歌人・斎藤茂吉は「日当山 妙見 安楽 塩浸 湯は湧きいでて くすしき国ぞ」と、妙見周辺に湧き出る湯の神秘を歌に残したという歴史もある。
坂本龍馬が新婚旅行で訪れた日本最古の露天風呂「和気湯」も近い。歴史好きにはたまらないエリアだ。
9. 船小屋温泉(福岡県)★★★☆☆
炭酸泉が多く湧出している福岡県の船小屋温泉。正直、福岡の温泉としては地味。
炭酸泉は体にいいらしいが、シュワシュワ感はほとんど感じない。「川の駅船小屋 恋ぼたる 温泉館」という施設名からして観光地化されすぎている。秘湯感ゼロ。
でも福岡市内から1時間ちょっとで行けるアクセスの良さは評価できる。都会の喧騒から離れたい週末には悪くない。
10. 人吉温泉(熊本県)★★★☆☆
戦国時代より相良氏の城下町として栄えた"九州の小京都"こと人吉市の温泉。
街並みは確かに風情があるし、球磨焼酎も美味しい。でも温泉自体は...普通。「美人の湯」と謳われているが、正直どこでもそう言っているし、特別感はない。
むしろ人吉は温泉より球磨川下りや青井阿蘇神社の方が見どころ。温泉はついでに入る程度でいい。
- 泉質:炭酸水素塩泉
- アクセス:JR肥薩線人吉駅周辺
🎯 まとめ:本当に行くべき九州の秘湯
10箇所回って、本当におすすめできるのは3つだけ。
絶対行くべき:
- 寒の地獄温泉(冷泉体験は唯一無二)
- 霧島新燃荘(硫黄泉の極み)
条件付きでおすすめ:
- 川底温泉(ホタルの時期なら)
- 岳の湯温泉(黒川温泉とセットで)
正直微妙:
- 壁湯共同浴場
- 地蔵泉
- 船小屋温泉
- 人吉温泉
九州は「おんせん県」を謳う大分県を筆頭に温泉が多いが、玉石混交。観光地化されすぎた場所も多い。本当の秘湯体験を求めるなら、アクセスが悪くても山奥の一軒宿を狙うべきだ。
最後に、温泉マナーは守ってほしい。特に共同浴場では地元の人への配慮を忘れずに。ゴミは持ち帰り、大声での会話は控えめに。そして何より、詳細な場所情報のSNS投稿は控えること。秘湯が秘湯でなくなるのは、我々温泉好きの責任でもあるのだから。
筆者注:本記事の情報は2024年から2025年にかけての複数の情報源を基に作成しました。営業状況や料金は変更の可能性があるため、訪問前に必ず確認してください。