【秘湯】新潟県の秘湯10選 - 野湯から名湯・温泉までおすすめをご紹介!

秘湯

全国第3位の温泉地数を誇る新潟県。県内全30市町村から温泉が湧出するこの地には、知られざる秘湯が数多く点在している。日本三大薬湯のひとつから、標高1,000mを超える山岳の野天風呂まで、新潟が誇る秘湯を紹介する。

1. 燕温泉(新潟県妙高市)

標高約1,100mと妙高高原温泉郷の中で最も高所に位置する燕温泉。かつて、岩ツバメが群れを成して飛び交っていたことから燕温泉と名付けられた。弘法大師発見の湯といわれ、古くから惣滝の岩窟の下に湯が湧いていた。

温泉街の奥には無料で入浴可能な野天風呂が2つ存在する。「黄金の湯」と「河原の湯」である。秋には一面黄金色の葉が舞い落ちることから名付けられた「黄金の湯」は男女別、「河原の湯」は混浴となっている。両方とも妙高山の登山道沿いに位置し、脱衣所やシャワーはない開放的な野天風呂だ。

白い湯花が特徴の温泉は、美肌効果のある成分を3つ含む「トリプル美人湯」として知られる。上杉謙信の隠れ湯ともいわれる名湯だ。

温泉街には数軒の旅館があり、花文や樺太館などが日本秘湯を守る会に加盟している。妙高山登山の帰りに立ち寄る登山客も多い。

  • 泉質:含硫黄-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物泉
  • 源泉かけ流し
  • 野天風呂:黄金の湯(男女別)、河原の湯(混浴)
  • 日帰り入浴:可(野天風呂は無料)
  • 宿泊:可
  • 営業期間:野天風呂は冬季閉鎖

2. 貝掛温泉(新潟県南魚沼郡湯沢町)

越後湯沢から苗場方面へ向かう清津川沿いに佇む一軒宿。開湯約700年の歴史を誇り、江戸時代の文献にも記録が残る「目の温泉」として全国的に知られる。

標高約700mの山間に位置し、夏でも涼しい気候が魅力。37度ほどのぬる湯は長湯に最適で、眼精疲労やドライアイに効果があるとされる。源泉かけ流しのお湯に目を浸す「目の湯治」も体験できる。

戦国の将・上杉謙信も関東攻めの行き帰りに将兵とともにこの湯で旅の疲れを癒したという。昭和の初期に建てられた庄屋造りの玄関棟は趣深く、民芸調のインテリアが館内を彩る。

料理は南魚沼産コシヒカリをはじめ、地元の旬の食材を活かした山里料理が並ぶ。囲炉裏で焼き上げた川魚や「薬膳玄米粥」など、滋味深い味わいが特徴だ。

  • 泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯、露天風呂
  • 源泉温度:約37度
  • 加水なし、加温あり(一部浴槽)
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業

3. 松之山温泉 凌雲閣(新潟県十日町市)

草津温泉、有馬温泉と並ぶ日本三大薬湯のひとつ、松之山温泉。その温泉街から少し離れた小高い丘の上に立つ木造三階建ての宿が凌雲閣だ。

昭和13年に建築された本館は国の登録有形文化財に指定されている。建築時に初代主が上州渋川から宮大工を呼び寄せ、一人一室を担当させて技と意匠を競い合わせたため、本館すべての部屋がそれぞれ趣向を凝らした造りとなっている。

化石海水と呼ばれる地層の隙間に閉じ込められた海水に由来する、非常に塩分濃度の強い源泉が特徴。薄緑色の温泉で、温泉好きの人に好まれている。源泉温度は約84度と高温で、よく温まる効能の高い温泉だ。

料理は春の山菜から始まり、またたび、あんにんご、岩梨、秋には天然の茸が十数種入った「きのこ鍋」やきのこ料理と四季の彩りが食膳に並ぶ。

  • 泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯、貸切風呂
  • 源泉温度:約84度
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業

4. 越後長野温泉 嵐渓荘(新潟県三条市)

燕三条駅から車で約50分、三条市の里山に佇む国登録有形文化財の一軒宿。守門川(五十嵐川)のせせらぎを聞きながら、渓谷美を楽しめる秘湯だ。

この温泉の最大の特徴は、日本屈指の濃厚な強食塩冷鉱泉であること。肌にまとわりつくほどの強い塩のお湯は、病後の回復に効果が高いといわれ、かつては薬として販売されていた。源泉は16.5度の冷鉱泉で、療養泉に該当する。

昭和初期の料亭を移築した本館「緑風館」、大きな1枚窓から渓流美を臨む「渓流館」、山手に面した少人数様向け木造平屋「翠悠館」の3つの建物からなり、全17室の個性と山里を彩る四季をお楽しみいただける。

食事は五十嵐川の伏流水「真木の清水」をベースに、山の幸をふんだんに使用した「山里会席」を提供。ぜんまいの一本煮、鯉のあらい、にいがた和牛の石焼きなど、地の物で作れる名物料理が並ぶ。朝食の名物「温泉粥」は源泉で炊き上げる。

  • 泉質:ナトリウム-塩化物冷鉱泉(高張性 中性 冷鉱泉)
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯、露天風呂、貸切露天風呂
  • 源泉温度:16.5度
  • 加温あり、加水なし
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業

5. 蓮華温泉(新潟県糸魚川市)

中部山岳国立公園内の標高1,475mにある「ザ・秘湯」という感じの天然温泉。新潟県側から北アルプス山行を目指す登山家たちの拠点でもある。入浴しながら2,000m級の山々を一望できる雲上の湯だ。

入浴できるのは3月半ばから10月20日頃まで。温泉を管理する白馬岳蓮華温泉ロッジで入浴料500円を支払えば、三国一ノ湯、仙気の湯、薬師湯、黄金湯の4つの野天風呂に入ることができる。どの温泉も登山道の脇にあり、脱衣所のない開放感あふれるお風呂だ。

5つの源泉があり、それぞれ泉質が異なるのも魅力。仙気の湯は単純酸性泉で白濁、黄金湯は重炭酸土類泉で透明、薬師湯は酸性石膏泉で弱い白濁と薄緑色を呈する。三国一の湯は単純酸性泉で透明、内湯の総湯は単純温泉で弱い白濁と白い湯の花の沈殿が特徴だ。

  • 泉質:源泉により異なる(単純温泉、単純酸性泉、重炭酸土類泉、酸性石膏泉)
  • 源泉かけ流し
  • 野天風呂:4箇所、内湯:1箇所
  • 日帰り入浴:可(野天風呂のみ500円、内湯と野天風呂800円)
  • 宿泊:可(蓮華温泉ロッジ)
  • 営業期間:3月半ば~10月20日頃

6. 逆巻温泉 川津屋(新潟県中魚沼郡津南町)

秘境・秋山郷の入口あたり、中津川左岸に湧く古湯で、川津屋が一軒宿の温泉。平成12年に新築された客室数5室の小ぢんまりとした旅館が、山に囲まれた中腹に立つ。

作家・吉川英治が「新・平家物語」の構想を練り執筆した宿として文学ファンに知られている。岩の割れ目から湧出する湯をたたえた洞窟風呂「めいそうの湯」と展望の湯がある。洞窟風呂は岩山を切り開いて作られており、落ち着いた雰囲気が魅力だ。

無色透明のラジウム含有硫黄泉は、心身の疲労回復に効能があるといわれている。小規模な宿なので、空いている風呂を利用でき、貸切も可能だ。

料理は山菜や川魚、熊鍋など、山の幸が中心。秋山郷は山の幸・川の幸が豊富で、雪消えとともに旬の味を楽しめる。

  • 泉質:含ラジウム-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:洞窟風呂、展望の湯
  • 源泉温度:約39度
  • 加水・加温なし(厳寒期のみ加温あり)
  • 日帰り入浴:可(要確認)
  • 宿泊:可(1日5組限定)
  • 営業期間:通年営業(豪雪時は休業する場合あり)

7. 笹倉温泉 龍雲荘(新潟県糸魚川市)

妙高山系の北側、焼山、火打山、烏帽子岳など2,000m級の山に囲まれた環境は抜群。人家は一軒もなく、街道のどんづまり、高原状の見はらしのきく高台にある一軒宿だ。

今からおよそ300年前の1716年(享保元年)、宗林寺の薬師如来のお告げに導かれ開湯したと伝えられている。1914年の大洪水により温泉は一度流失したが、地域の人々の温泉への深い愛情と強い信念に支えられ、1926年に再び湧出を果たした。まさに地元の力で甦った、奇跡の湯といえる。

重炭酸ナトリウム含有量が豊富ななめらかな「美人の湯」として知られる。すべすべする露天風呂の気分がすばらしい。宿は糸魚川市の郊外で、日本海にも近いので、料理もどちらかというと海の幸が豊富なのもうれしい。朝食では源泉で炊いた名物の「温泉がゆ」も好評だ。

  • 泉質:ナトリウム-炭酸水素塩泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯、露天風呂、貸切風呂
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業

8. 出湯温泉 華報寺共同浴場(新潟県阿賀野市)

新潟県最古と言われる出湯温泉。開湯1,200年、弘法大師が錫杖をついて湧出させたという伝説がある。華報寺の境内に共同浴場がある全国的にも珍しい温泉だ。

弘法大師が刻んだと伝えられる薬師如来を祀る華報寺の境内に「漲泉窟」(ちょうせんくつ)と呼ばれる共同浴場がある。お湯は無色透明・無臭で、泉質は弱アルカリ性単純温泉。ぬるめの温泉にゆっくり浸かれば心身ともに癒される。

湯温は約35度前後のぬる湯で、長湯に適している。寒い季節は加温されるが、源泉かけ流しで利用できる。地元の人々に愛され続けている素朴な共同浴場だ。

  • 泉質:単純温泉(弱アルカリ性)
  • 源泉かけ流し
  • 営業時間:6:00~19:00
  • 料金:大人250円、小人150円、幼児50円
  • 定休日:無休
  • 宿泊:不可(日帰り入浴専門)

9. 出湯温泉共同浴場(新潟県阿賀野市)

同じ出湯温泉にあるもうひとつの共同浴場。地元では「新湯」と呼ばれ親しまれている。平成20年2月に新しく生まれ変わった共同浴場で、華報寺の共同浴場より新しく、設備も充実している。

新しい浴槽が気持ちよく、掛け流しされている天然温泉は、何よりの贅沢だ。シャワーや手すり、ロッカーなどを完備しているので、安心して入浴を楽しむことができる。

華報寺の共同浴場と異なり、こちらはラジウム泉ではなく単純温泉。寒い季節以外は加水・加温なし、塩素消毒なしのかけ流しだ。主に地元民の利用者が多く、朝から混雑している。

  • 泉質:単純温泉(低張性弱アルカリ性温泉)
  • 源泉かけ流し
  • 営業時間:6:00~20:00
  • 源泉温度:40.6度
  • 料金:大人250円、子供150円
  • 定休日:無休
  • 宿泊:不可(日帰り入浴専門)

10. 村杉温泉 薬師の湯(新潟県阿賀野市)

開湯から700年を数える、全国有数のラジウム温泉。日本三大ラジウム泉のひとつに数えられ、昔から婦人病に効くとして「子宝・安産の湯」としても知られている。

「村杉温泉には医者が育たない」という言い伝えがある。全国屈指のラジウム温泉と、温泉の守護仏・薬師如来のご加護で、けがや病気が治ることから言い伝えられている。かつて薬師堂のまわり縁には、元気になり要らなくなった湯治客の松葉杖が、たくさん奉納されていた。

毎分483リットルの豊富な湧出量を誇る薬師乃湯の3号井。この「薬師の湯」の源泉は、村杉温泉内のすべての温泉施設に分湯されている。ラジウムの含有量が日本一ともいわれる村杉温泉の名湯を、共同浴場で気軽に楽しむことができる。

共同浴場脇には「薬師の清水」が湧き出ており、清らかな天然水を汲むこともできる。また、薬師の足湯も設置されており、気軽に温泉を楽しめる。

  • 泉質:単純弱放射能冷鉱泉(ラジウム温泉)
  • 源泉かけ流し
  • 営業時間:要確認
  • 料金:要確認
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:不可(共同浴場)、温泉街には複数の旅館あり

まとめ

新潟県の秘湯は、標高1,000mを超える山岳の野天風呂から、1,200年の歴史を持つ古湯まで、実に多彩だ。日本三大薬湯のひとつである松之山温泉、目の温泉として知られる貝掛温泉、雲上の秘湯・蓮華温泉など、それぞれに個性がある。

野湯を楽しみたいなら燕温泉や蓮華温泉がおすすめ。宿泊施設のある秘湯なら、貝掛温泉、松之山温泉 凌雲閣、越後長野温泉 嵐渓荘、逆巻温泉 川津屋、笹倉温泉 龍雲荘などが日本秘湯を守る会に加盟している。

共同浴場で気軽に秘湯を楽しむなら、出湯温泉や村杉温泉の共同浴場が良い。いずれも250円前後という手頃な料金で、源泉かけ流しの天然温泉を楽しむことができる。

新潟の秘湯は、豊かな自然と歴史、そして効能豊かな温泉が魅力だ。ぜひ、自分に合った秘湯を見つけて、心身ともにリフレッシュしてほしい。


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