山形県の秘湯——米沢の山湯から肘折・銀山の湯治場まで
山形県は、全35市町村のすべてに温泉が湧く「温泉王国」である。奥羽山脈と朝日・飯豊の山々、そして庄内の平野。地形の変化に富んだこの県には、置賜(おきたま)・村山・最上・庄内という四つの地域それぞれに、性格の異なる湯が湧いてきた。
なかでも県南の米沢は、吾妻連峰の懐に「米沢八湯」と呼ばれる山の秘湯群を抱える。標高1,300メートル、県内最高所の姥湯温泉をはじめ、樹齢250年の栗の木をくり抜いた湯船を持つ新高湯温泉、渓谷のつり橋を渡ってたどり着く大平温泉など、いずれも源泉かけ流しの一軒宿・小宿が、山ふところに点在している。多くは車を降りてなお歩き、冬は雪に閉ざされる。アクセスの困難さと引き換えに、湯と自然を独り占めできるのが、この一帯の秘湯である。
米沢を離れて北へ向かえば、湯治文化の色濃く残る宿が待つ。開湯1,200年の肘折温泉、大正ロマンの街並みで名高い銀山温泉、義経伝説の残る瀬見・赤倉といった最上の湯。さらに庄内へ下れば、藤沢周平の故郷・鶴岡の奥座敷である湯田川温泉や、月山山麓の湯の瀬温泉が、平野を潤す静かな一軒宿として湯を守り続けている。
今回は、山形県内で「泊まれる秘湯宿」——源泉かけ流しを軸に、宿泊とセットで湯を味わえる宿を中心に厳選した。まず米沢の山湯を巡り、村山・最上の湯治場を経て、庄内の名湯へと北上する順に紹介する。日帰りで立ち寄れる湯も末尾に添えた。
1. 姥湯温泉(山形県米沢市)

| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 09:30 - 15:30 | ◯ | 09:30-15:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2. 新高湯温泉 奥白布 吾妻屋旅館(山形県米沢市)
3. 大平温泉 滝見屋(山形県米沢市)

| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 09:30 - 15:30 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
4. 白布温泉(山形県米沢市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 11:00 - 16:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
5. 小野川温泉 高砂屋(山形県米沢市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 14:00 - 20:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
6. 志津温泉 まいづるや(山形県西村山郡西川町)
7. 肘折温泉 湯宿 元河原湯(山形県最上郡大蔵村)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 09:00 - 20:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
8. 瀬見温泉 喜至楼(山形県最上郡最上町)
9. 赤倉温泉 湯守の宿 三之亟(山形県最上郡最上町)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00 - 16:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
10. 蔵王温泉 おおみや旅館(山形県山形市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 12:00 - 14:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
11. 銀山温泉(山形県尾花沢市)

| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 09:00 - 21:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
12. 湯田川温泉 隼人旅館(山形県鶴岡市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00 - 20:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
13. 湯の瀬温泉 湯の瀬旅館(山形県鶴岡市)
日帰りで楽しむ
14. 蔵王温泉 大露天風呂(山形県山形市)

| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 09:30 - 17:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 09:30-18:00 | 09:30-18:00 | 09:30-18:00 |
総まとめ——山形の秘湯を巡る前に
山形の秘湯は、置賜(米沢)・村山・最上・庄内という四つの地域に分けて計画すると回りやすい。それぞれ地形も気候も異なり、冬季休業の宿と通年営業の宿が入り混じる。まずはこの点を押さえておきたい。
【置賜・米沢の山湯】 吾妻連峰の懐に湧く「米沢八湯」は、山形の秘湯の中核である。標高1,300メートルの姥湯温泉は県内最高所の一軒宿で、駐車場から宿までは徒歩15〜20分の山道を歩く。三方を絶壁に囲まれた露天風呂は、まさに秘湯中の秘湯だ。新高湯温泉 奥白布 吾妻屋旅館は西吾妻の天元台山麓に建ち、複数の露天風呂を源泉かけ流しで楽しめる。冬季は宿の送迎車でのアクセスが基本となる。大平温泉 滝見屋は最上川の源流にのぞむ渓谷の宿で、車を降りてつり橋を渡って向かう立地。日帰りも受け付けるが、往復の山道を考えると宿泊でゆっくり過ごしたい。白布温泉は開湯700年余、奥州三高湯のひとつに数えられる古湯で、湯滝の落ちる浴槽で知られる。米沢の奥座敷・小野川温泉の高砂屋は、街なかにありながら源泉かけ流しを守る宿で、山中の秘湯とはまた違う湯町情緒を味わえる。いずれも米沢牛をはじめとする置賜の味覚も楽しみだ。
【村山・志津の月山山麓】 志津温泉 まいづるやは、月山の登山口にあたる西川町の湯。かつて出羽三山詣での旅人が越えた六十里越街道沿いに位置し、冬は豪雪に包まれる。夏の登山・トレッキングの拠点としても知られる山あいの一軒宿だ。
【最上・湯治場の系譜】 肘折温泉 湯宿 元河原湯は、開湯1,200年と伝わる湯治場・肘折にあり、銅山川の畔に建つ。自家源泉を持ち、展望風呂や川沿いの貸切風呂を備える。「日本で最も美しい村」に登録される大蔵村の自然と、春から秋の朝市も魅力である。小国川沿いの瀬見温泉 喜至楼は、義経・弁慶ゆかりと伝わる古湯に残る歴史的な木造宿。同じ小国川流域の赤倉温泉 湯守の宿 三之亟は、慈覚大師開湯と伝わる湯を守る宿で、川沿いの湯町の風情が残る。いずれも山峡の湯治情緒を今に伝える。
【村山・蔵王と銀山】 蔵王温泉 おおみや旅館は、pH1.5前後の強酸性硫黄泉で名高い蔵王温泉に建つ宿。「美人づくりの湯」と呼ばれる白濁の湯を源泉かけ流しで楽しめる。通年営業で、冬はスキーとあわせて訪れる人も多い。尾花沢市の銀山温泉は、大正ロマンの木造旅館が銀山川の両岸に立ち並ぶ温泉街。夜のガス灯に照らされた街並みは幻想的で、雪景色の美しさは格別だ。街並みそのものが目的地となる、山形を代表する湯である。
【庄内・鶴岡の名湯】 湯田川温泉 隼人旅館は、庄内・鶴岡の奥座敷として開湯1,300年を伝える湯田川温泉の宿。作家・藤沢周平の故郷にほど近く、春の孟宗竹(たけのこ)でも知られる里の湯だ。同じ鶴岡市でも山あいに湧く湯の瀬温泉 湯の瀬旅館は、月山山麓の静かな一軒宿。庄内の平野から山へ分け入った先で、素朴な源泉の湯を守り続けている。
【日帰りで】 蔵王温泉 大露天風呂は、渓流沿いに設けられた開放的な露天風呂で、宿泊はなく立寄り入浴のみ。春から秋にかけて開設され、200人規模で入れる大浴槽から森林浴を楽しめる。蔵王を訪れた際の立ち寄りにおすすめだ。
米沢八湯や志津など山間部の秘湯は、冬季休業となる宿が多く、春から秋が訪問の適期。一方、蔵王・銀山・肘折・庄内の宿は通年営業で、雪見の湯を楽しめる。エリアをまたいで巡る場合、置賜と庄内は同じ県内でも車で数時間離れているため、地域を絞って二泊三日以上で計画するのが現実的だ。
よくある質問(FAQ)
Q. 山形の秘湯を訪れるベストシーズンは? A. 米沢八湯(姥湯・大平など)や志津といった山間部の秘湯は、多くが4月下旬〜11月上旬の営業で、新緑と紅葉の頃が特に美しい。冬も湯を楽しみたいなら、通年営業の蔵王・銀山・肘折・庄内の宿がおすすめで、雪景色の中の入浴は格別だ。
Q. 車がなくても行けますか? A. 蔵王温泉や銀山温泉、庄内の湯田川温泉は公共交通と送迎でアクセスしやすい。一方、姥湯・新高湯・大平・志津といった山間の秘湯は、公共交通の便が限られ、冬季は送迎が必要な宿もある。事前に各宿へアクセス方法を確認したい。
Q. 日帰り入浴はできますか? A. 多くの宿が日帰り入浴を受け付けているが、時間帯や休止日は施設ごとに異なり、宿泊優先で日帰りを制限する日もある。確実に湯を楽しむなら宿泊がおすすめ。蔵王温泉 大露天風呂のように立寄り専用の湯もある。
Q. どのくらいの数を一度に巡れますか? A. 山形は南北に広く、置賜(米沢)・村山・最上・庄内は車で数時間離れている。無理に全県を回るより、1〜2地域に絞って二泊三日以上で巡るほうが、湯をじっくり味わえる。
※本記事に掲載している情報(入浴料金・営業時間・泉質データ・アクセス等)は、リサーチ時点の情報をもとに作成しています。誤りや変更が生じている可能性もあります。最新の情報については、各施設の公式サイトや観光協会等でご確認ください。









