山形県米沢市の吾妻連峰北側、標高1,300メートルに位置する姥湯温泉は、室町時代の天文2年(1533年)に発見された山形県内最高所にある秘湯です。米沢八湯の一つとして数えられ、現在も一軒宿「桝形屋」のみが存在する山深い温泉地です。
温泉の発見にまつわる伝説によると、宿の先祖で金鉱堀だった初代遠藤大内蔵が山中で道に迷った際、幼児を連れた老婆(山姥)に出会い、湯が出る場所と帰りの道を教えてもらったことから「姥湯」と名付けられました。現在の当主は17代目遠藤仁氏で、490年以上にわたって一族が温泉を守り続けています。
大日岳(1,621m)の山麓、大昔の噴火口跡に位置する温泉は、吾妻連峰の烏帽子山から発する前川の左岸に建つ山小屋風の建物が特徴的です。宿の裏手には薬師森(1,537m)が迫り、前川を挟んだ南側には大日岳の奇岩が高く聳え立つ、まさに絶壁に囲まれた秘境の地です。
源泉は前川右岸の大日岳中腹、標高1,250m付近から自然湧出しており、温度51.1℃、湧出量400リットル/分の豊富な湯量を誇ります。泉質は単純酸性硫黄温泉で、pH2.5の酸性泉です。源泉から塩ビパイプで200メートル引湯し、湯の花を採取する樋を通して温度調節を行い、すべて源泉かけ流しで供給されています。
特に有名なのは「山姥の湯」と呼ばれる混浴露天風呂で、三方を奇岩奇石が聳え立つ絶壁に囲まれ、他では味わうことのできない圧倒的な景観の中で入浴を楽しむことができます。春の新緑、夏の避暑、秋の紅葉、そして満天の星空など、四季折々の大自然を肌で感じることができる究極の秘湯として、多くの温泉愛好家から愛され続けています。
車:
東北自動車道・福島飯坂ICより国道13号線経由で約70分(33km)
板谷峠を越えて米沢市方面へ、板谷集落を抜けJR峠駅付近で左折
峠駅から滑川温泉分岐まで4km、そこから姥湯温泉まで4km
駐車場から宿玄関まで徒歩約250m(車は玄関に横付け不可)
公共交通機関:
JR奥羽本線・峠駅下車、宿泊客のみ送迎あり(要予約)
送迎車から玄関まで徒歩約200m(送迎車も玄関に横付け不可)
アクセス注意事項:
道幅が非常に狭く、車一台分の幅しかない急坂が続く
運転には細心の注意が必要(運転免許試験レベルの緊張感)
冬季は道路が閉鎖され、アクセス不可
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未舗装道で駐車後、徒歩15分以内
手つかずの大自然と絶景地形
源泉100%かけ流し・特色泉質・歴史価値
宿は一軒のみ(桝形屋)で、混浴の大露天風呂は谷間に露出した野趣あふれる造り。
建物はありますが、露天エリアはかなりワイルドな環境で、季節や天候によりアクセスが制限されることも。
脱衣所はありますが、簡素な造りで、開放感・自然度は非常に高いです。
一般的な観光温泉にはない、野湯のようなワイルド感・静けさがあります。