鳥取県の秘湯・名湯 12選 — ラジウムの霊泉と山陰の古湯を巡る

鳥取県の秘湯・名湯 12選 — ラジウムの霊泉と山陰の古湯を巡る

鳥取県は、日本海に面した山陰地方の東端に位置し、日本一の砂丘と中国地方最高峰・大山(だいせん)という二つの大自然を擁する県である。この大地の深部からは多彩な泉質の温泉が湧き出し、その歴史と個性は全国屈指といえる。なかでも三朝温泉は世界有数のラジウム含有量を誇り、周辺住民のがん死亡率が全国平均の約半分という驚異的なデータで知られる。平安時代に開湯した山陰最古の岩井温泉には「ゆかむり」という独特の入浴文化が伝わり、東郷湖の湖底から湧き出すはわい温泉では全国唯一の湖上露天風呂が楽しめる。千年以上の歴史を持つ吉岡温泉の全浴槽が「純温泉A」認定を受け、大山の中腹では日本最大級の還元力を誇る温泉が登山客を癒す。今回は、そのなかから特に個性際立つ12か所を厳選した。


1. 岩井温泉 岩井屋(鳥取県 岩美郡岩美町)

岩井温泉は平安時代に開湯したとされる山陰地方最古の温泉であり、1,200年以上の歴史を誇る。開湯伝説によれば、藤原冬久という貴族が皮膚病に苦しみ山陰を彷徨っていた折、薬師如来に似た女性に導かれて温泉を発見し、湯に浸かると「ただれた肌はたちまちもとの美しい肌に戻った」と伝えられている。冬久はその後この地に定住し、同じ皮膚病に悩む人々を救ったという。岩井屋は江戸末期に創業し、150年以上にわたり湯治客を迎え続けてきた老舗旅館である。昭和9年(1934年)の大火で温泉街の大半が焼失したが、その直後に再建された木造三階建ての建物が現在も大切に使われており、全館畳敷きの温もりある空間が訪れる者を包み込む。日本秘湯を守る会の会員宿としても知られ、静かに本物の温泉文化を守り続けている。 岩井屋の湯はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉で、pH7.1の中性、源泉温度は約47.6~50度である。特筆すべきは、全ての浴槽で加水・加温・循環を一切行わない完全な源泉かけ流しを実現していることだ。蛇口の水からシャワーに至るまで全て源泉を使用するという徹底ぶりは、全国の温泉旅館の中でも極めて珍しい。無色透明の湯は肌に柔らかく、神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、慢性皮膚病などへの効能が期待される。毎分100リットルの豊かな自然湧出により、常に新鮮な湯が浴槽を満たしている。 名物の「源泉長寿の湯」は、胸まで浸かる深さ約1メートルの深い浴槽で、底に敷いた松板の下から源泉が直接湧き出すという全国的にも希少な足元湧出泉である。立って浸かる独特の入浴スタイルは、水圧による血行促進効果も期待できる。竹垣に囲まれた東屋風の「背戸の湯」では小さな露天風呂で風を感じながらの入浴が楽しめ、「祝いの湯」は落ち着いた雰囲気の中でゆったりと湯に浸かることができる。午後8時に男女入替制となるため、宿泊すれば全ての浴場を堪能できる。貸切風呂「よいまち草」(1回45分3,300円)も予約制で利用可能だ。全14室の客室は全て和室で、因幡の地の恵みを活かした郷土料理も評判が高い。 岩井温泉には「ゆかむり」という他に類を見ない入浴文化が伝承されている。手ぬぐいを頭にかぶり、専用の柄杓で湯を頭から何度もかぶりながら「ゆかむり唄」を吟じるという独特の風習で、温泉に少しでも長く浸かり効能にあやかるための数え歌が今も唄い継がれている。JR岩美駅からバスでわずか10分、鳥取駅からでも約35分と交通アクセスが良好で、浦富海岸や山陰海岸ジオパークなど周辺の観光スポットとの組み合わせも楽しめる。日帰り入浴は12:00~14:00(大人1,000円)で受け付けているが、清掃日は休業となるため事前に電話で確認することをお勧めする。
詳細ページを見る

2. 関金温泉 関の湯共同浴場(鳥取県 倉吉市)

関金温泉は約1,300年の歴史を持つ山陰屈指の古湯であり、その中でも関の湯共同浴場は明治36年(1903年)の開設以来、120年以上にわたって地元住民に愛され続けてきた共同温泉である。開湯の歴史は奈良時代にまで遡り、高僧・行基が鶴の入浴を発見したことが始まりとされている。その後、弘法大師(空海)が荒廃した温泉地を再興したとも伝えられ、中世には山名小太郎が入浴施設を整えた。江戸時代の享保年間に編纂された鳥取藩の地誌『伯耆民談記』には「銀湯」として記録されており、その透き通った美しい湯の姿から「白金の湯(しろがねのゆ)」と称されてきた。作州街道と大山への分岐点にあたる宿場町として栄え、湯治場としても広く知られた歴史を持つ。 関の湯の泉質は単純弱放射能泉、いわゆるラジウム泉である。同じ鳥取県内の三朝温泉に次いで日本国内第2位のラドン放射能を有し、国内でも屈指の放射能泉として知られている。源泉温度は約39.5℃と人肌に近いぬるめの湯で、加水・加温・消毒なしの完全な源泉かけ流しで提供されている点が最大の特徴である。無色透明・無味無臭の湯は一見すると個性がないように思えるが、ラドンの微量放射線がもたらすホルミシス効果は科学的にも注目されており、免疫力の向上や新陳代謝の促進、痛風、高血圧症、動脈硬化症、神経痛などへの効能が期待される。1955年には近隣で水成ウラン鉱が発見され、関金温泉と三朝温泉の放射能の由来が地質学的に解明された。 浴場は素朴そのものである。松材で造られた小さな浴槽がひとつあるだけで、4~5人も入れば一杯になる。洗い場は設けられておらず、シャンプーや石鹸の備え付けもない。脱衣所と浴槽だけの簡素な空間だが、そこには飾り気のない共同浴場ならではの温かみがある。地元のお年寄りが朝一番にやってきて湯に浸かり、世間話を交わす光景は、この温泉が単なる入浴施設ではなく、地域のコミュニティの場であることを物語っている。入浴料はわずか200円という破格の安さで、この価格で本物の源泉かけ流しのラジウム泉を楽しめる場所は全国でも極めて稀である。 訪問のベストシーズンは春から秋にかけてで、早朝6:30から営業する夏季は朝風呂を楽しむのに最適である。冬季は7:00からの営業となるが、ぬるめの湯にじっくり浸かって芯から温まる冬の入浴もまた格別である。毎月1日と15日が定休日であるため訪問前の確認が必要である。駐車場は3台分とわずかだが、近隣の地蔵院駐車場も利用可能。JR倉吉駅からバスで約35分とアクセスはやや不便だが、近くには関金温泉の中核施設「せきがね湯命館」もあり、関金温泉エリアを巡る湯めぐりの一環として訪れるのがおすすめである。2011年に日本名湯百選に選定された関金温泉の、最も素朴で本質的な姿を体験できる貴重な共同浴場である。
詳細ページを見る

3. 三朝温泉 旅館大橋(鳥取県 東伯郡三朝町)

三朝温泉 旅館大橋は、昭和7年(1932年)に倉吉の大橋旅館の別館として三徳川のほとりに創業した。当時の三朝はまだ温泉街として確立されておらず、大半が農家という素朴な集落であった。宮大工の粋を尽くした木造3階建ての建築は、竹・桜・栂・檜など各部屋ごとに異なる銘木をあしらい、最上階には傘天井という独特の意匠が施されている。1997年には本館・離れ・西離れ・大広間・太鼓橋の5棟が国の登録有形文化財に指定され、建物そのものが文化的価値を持つ全国でも極めて稀有な温泉旅館として名を馳せている。 旅館大橋の最大の魅力は、自家源泉5ヶ所のうち3ヶ所が自噴泉という贅沢な湯の恵みにある。名物の「巌窟の湯」は天然の岩盤の隙間から温泉が湧き出す足元湧出の浴場で、下の湯・中の湯にはラジウム泉、上の湯には三朝温泉で唯一のトリウム泉が満ちている。このトリウム泉は昭和23年(1948年)に世界一の濃度と認定された。泉質は含放射能-ナトリウム-塩化物泉で、源泉温度62℃、pH6.5。三朝温泉のラジウムは世界屈指の含有量を誇り、微量放射線によるホルミシス効果で免疫力の向上や新陳代謝の促進が期待されている。 もう一つの浴場「せせらぎの湯」は檜風呂と露天風呂を備え、三徳川のせせらぎを耳にしながら入浴できる風情ある湯処である。巌窟の湯とせせらぎの湯は男女入替制で、宿泊すれば両方を堪能できる。客室は全20室の和室で、それぞれに異なる銘木が使われており、太鼓橋は外見では優美な曲線を描きながら内部は平坦という巧みな建築技法が用いられている。料理は山陰の海の幸・山の幸を活かした懐石料理が供される。 日帰り入浴は大人1,000円で15:00から21:00まで利用可能である。JR倉吉駅からはバスで約20分、宿泊者には無料送迎サービスもある(要予約)。三朝温泉街には公衆浴場「株湯」や河原の露天風呂「河原風呂」などの名所もあり、旅館大橋を拠点に温泉街散策を楽しむのもよい。世界遺産の三徳山三佛寺投入堂へは車で約15分と近く、温泉と歴史探訪を組み合わせた旅が可能である。
詳細ページを見る

4. 三朝温泉 木屋旅館(鳥取県 東伯郡三朝町)

三朝温泉 木屋旅館は、明治元年(1868年)に創業した老舗旅館である。その歴史は江戸時代にまで遡り、庄屋として村の自治を担いながら山の産物を鳥取藩に納めていた「木屋」の屋号がそのまま旅館名となった。1916年に三朝温泉のラジウム含有量が世界一と判明すると入湯客が急増し、木屋旅館もこの時期に大正の館を増設している。2010年には全館が国の登録有形文化財に認定され、明治・大正・昭和の3つの時代に建てられた木造建築が迷路のように連なるレトロな空間は、宿泊者を時代旅行へと誘う。 木屋旅館の泉質は含弱放射能-ナトリウム-塩化物泉で、自家源泉の温度は71.5℃と高温である。100%源泉かけ流しの湯には世界屈指の濃度のラドンが含まれており、ラドンは呼吸や飲泉を通じて体内に取り込まれ、血液を巡って全身の細胞を活性化させるホルミシス効果が期待されている。2012年にはオーストリアの医科大学によりその効能が学術的にも認定された。三朝温泉周辺の住民は90歳以上の長寿者の割合が全国平均の6倍、癌の発生率が全国平均の半分以下という驚くべき健康調査結果が報告されている。 館内にはラドン泉を「入る・飲む・吸う」の3つの方法で体験できる独自の湯治プログラムが用意されている。大浴場「河瀬の湯」は源泉かけ流しの主浴場で、足元湧出ラジウム温泉「楽泉の湯」は温度調節をしていないため高濃度のラドンをそのまま堪能できる貴重な浴場である。「穴ぐらの湯」はラドンミストサウナで、呼吸器系からラドンを効率的に吸収できる。さらに岩盤浴も完備し、「ラジムリエ」と呼ばれる相談窓口では個人の目的に合わせた入浴コースの提案を受けられる。 宿泊は1泊15,400円から、日帰り入浴は大人1,000円で利用可能である。JR倉吉駅からバスで約20分と交通の便もよく、温泉街の中心に位置するため株湯や河原風呂といった三朝温泉の名所散策にも最適な立地である。世界遺産の三徳山三佛寺投入堂へも車で約15分と近く、歴史探訪と温泉療養を組み合わせた滞在が楽しめる。木屋旅館の大女将の父は宮沢賢治と同窓であったという文学的なゆかりも、この宿の奥深い魅力のひとつである。
詳細ページを見る

5. 三朝温泉 株湯(鳥取県 東伯郡三朝町)

三朝温泉 株湯は、850年以上の歴史を持つ三朝温泉の発祥地である。平安時代末期の長寛2年(1164年)、源義朝の家臣・大久保左馬之祐が三徳山三佛寺への参詣の途中、老いた白い狼に遭遇した。矢で射ようとしたが仏の化身と悟って見逃したところ、その夜に妙見大菩薩が夢に現れ、楠の老木の根元に湧く温泉の在処を教えたという。「株湯」の名は、この楠の株(根元)から湯が湧いたことに由来する。「三朝」の名もまた、「三たび朝を迎えるうちに病が癒える」という言い伝えから生まれたとされ、古来より湯治場として深い信頼を集めてきた。 株湯の泉質は含弱放射能-ナトリウム-塩化物泉で、三朝温泉は世界でも有数のラジウム含有量を誇るラドン温泉として知られている。源泉温度は約44~49℃、pH7.3の中性泉で、無色透明の湯が源泉かけ流しで惜しみなく注がれている。微量の放射線がもたらすホルミシス効果により、細胞が刺激を受けて活性化し、毛細血管の拡張・新陳代謝の促進・免疫力の向上が期待される。1992年の統計調査では、三朝温泉周辺住民のがん死亡率が全国平均の約半分であったという驚くべきデータも報告されている。 浴場は地元の人々が日常的に通う小さな共同浴場で、内湯のみの素朴な造りである。脱衣所とシャワー5基、コインロッカー10個を備えるが、休憩所や食事処はない。温泉街の華やかさとは対照的に、飾り気のない佇まいが「元湯」としての風格を漂わせている。隣接する足湯と飲泉場は無料で利用でき、特に飲泉場は24時間開放されている。ラドンを含む温泉水を飲むことで、呼吸器疾患への効能が高まるとされ、地元住民にも観光客にも親しまれている。 入浴料は大人400円・小人250円と手頃で、営業時間は8:00~21:45(月曜のみ10:00開始)。JR倉吉駅から日ノ丸バスで約20分、三朝温泉下車後徒歩約10分。温泉街の中心部にある河原風呂や、国の登録有形文化財の旅館大橋、世界遺産級の三徳山三佛寺投入堂(車で約15分)など、周辺の見どころと合わせて訪れるのがおすすめである。三朝温泉の原点ともいえるこの小さな湯に浸かり、白狼伝説に思いを馳せるひとときは、温泉好きにとって格別の体験となるだろう。
詳細ページを見る

6. 三朝温泉 河原風呂(鳥取県 東伯郡三朝町)

三朝温泉 河原風呂は、鳥取県東伯郡三朝町を流れる三徳川の河原に佇む、三朝温泉を象徴する混浴露天風呂である。その歴史は長寛2年(1164年)にまで遡る。源義朝の家臣・大久保左馬之祐が三徳山に参詣した折、楠の根元に身を潜めていた白い狼を発見したが、慈悲の心から見逃した。するとその夜、夢枕に妙見菩薩が立ち、楠の根元に湧く霊泉の在処を告げたという。この「白狼伝説」が三朝温泉発見の起源であり、以来850年以上にわたって人々に愛されてきた名湯である。 河原風呂の泉質は含放射能-ナトリウム-塩化物泉で、世界屈指のラドン含有量を誇るラジウム温泉として国際的にも知られている。源泉温度は56~80℃と高温で、pH7.2の中性泉。無色透明の湯は肌触りが柔らかく、微量放射線によるホルミシス効果で免疫力向上・新陳代謝促進・抗酸化作用が期待される。古来より「三たび朝を迎えると元気になる」という言い伝えが三朝の地名の由来ともされ、湯治の名湯としての歴史は深い。 三朝橋のたもと、三徳川の河原に大きな石を組んで造られた浴槽は、まさに自然と一体となった野趣あふれる湯浴みの場である。脱衣所は簡素な囲いがあるのみで、周囲からの視線を遮るものはほとんどない。川のせせらぎと温泉街の風情に包まれながら浸かる開放的な湯は、他の温泉施設では味わえない格別の体験である。夜には三朝橋がライトアップされ、幻想的な雰囲気のなかでの入浴も楽しめる。 入浴料は無料で、24時間利用可能(奇数日の午前中は清掃のため利用不可)。JR倉吉駅からバスで約20分、三朝温泉バス停から徒歩約3分と交通の便もよい。周辺には公衆浴場「株湯」や足湯「河原の湯」、飲泉場などの温泉関連施設が点在しており、三朝温泉街の散策とあわせて楽しむのがおすすめである。世界遺産の三徳山三佛寺投入堂へも車で約15分と近く、温泉と歴史探訪を組み合わせた旅の拠点として最適な場所である。
詳細ページを見る

7. はわい温泉 望湖楼(鳥取県 東伯郡湯梨浜町)

はわい温泉の歴史は天保14年(1843年)にまで遡る。東郷湖の湖底から温泉が湧き出しているのが発見され、当初は舟を浮かべて湖中から湧き出す湯を汲み上げるという全国的にも珍しい方法で温泉が利用されていた。江戸時代に地元の人々が鳥取藩主に湖中の泉源利用を願い出たことが温泉地としての始まりであり、その後明治・大正と発展を遂げ、昭和6年(1931年)に望湖楼が開業した。「はわい」の地名はアメリカのハワイ州とは全く関係がなく、古くからの地名「羽合」に由来するが、1996年にホノルル市と姉妹都市提携を結んだことで南国ムードの温泉地としても親しまれるようになった。 望湖楼の泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉で、旧泉質名では含石膏食塩泉と呼ばれる低張性弱アルカリ性高温泉である。6本の源泉を有し、温度差のある各泉源の湯を巧みに混合することで適温を実現しており、加水・加温は一切行わない完全な源泉100%かけ流しを誇る。混合泉の温度は53.7℃で、塩素消毒も行わず毎日全排湯・清掃を徹底している。ナトリウムイオン、カルシウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオンを豊富に含み、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、慢性消化器病、冷え性、疲労回復などに効能がある。 望湖楼最大の魅力は、赤い桟橋を渡って東郷湖の湖上に浮かぶ露天風呂である。「朝陽」と「夕陽」と名付けられた2つの湖上露天風呂は、全国でも他に類を見ない唯一無二の入浴体験を提供する。山陰八景に数えられる東郷湖の美しい景色を眼前に、朝は湖面に映る朝日を、夕方は茜色に染まる夕景を眺めながらの入浴は格別である。大浴場には鳥取県内最大級の内湯「天女の湯」、ガラスの水盤を配した半露天風呂「神話の湯」、85℃のサウナと水風呂を完備。全客室にも源泉かけ流しの天然温泉が引かれており、露天風呂付客室「湯の栖」ではプライベートな湯浴みも堪能できる。 望湖楼へのアクセスはJR山陰本線倉吉駅からタクシーで約10分、送迎バスも運行している(要予約)。山陰自動車道はわいICからは車でわずか5分と好立地である。駐車場は200台収容で無料。宿泊は1泊2食付き16,500円からで、鳥取和牛、鮑、のどぐろなど鳥取県産の旬の食材を使った会席料理が楽しめる。春は湖畔の桜、夏は東郷湖水郷祭の花火、秋は紅葉、冬は松葉ガニと四季折々の楽しみがあり、創業90年を超える老舗旅館ならではのおもてなしが旅の疲れを癒してくれる。
詳細ページを見る

8. 東郷温泉 湖泉閣 養生館(鳥取県 東伯郡湯梨浜町)

東郷温泉 湖泉閣養生館は、明治5年(1872年)に地元の豪農が東郷湖の湖畔に源泉を掘り当て、「養生館」と名付けた別荘を建てたことに始まる。東郷湖の湖底からは古くから温泉が湧出しており、寛延2年(1749年)の文書には湖底に竹筒を差し込んで温泉を汲み上げていた記録が残されている。養生館は村民にも湯を開放し、やがて湯治場として評判を呼んだ。明治17年(1884年)に旅館業を開始して以来、140年を超える歴史の中で志賀直哉や幸田露伴といった文人墨客をもてなし、東郷温泉発祥の宿として今日に至っている。 養生館の湯は、ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉で、源泉温度は80℃を超える高温泉である。自家源泉を2本所有し、加水も加温も一切行わない完全な源泉かけ流しを貫いている点が最大の特徴だ。東郷湖の湖底深くから湧き上がる豊富な湯量がこれを可能にしており、すべての浴槽で純粋な源泉をそのまま享受できる贅沢は、温泉通をも唸らせる。塩化物泉ならではの保温効果に優れ、湯上がり後も長く体が温まり続ける「熱の湯」として知られる。 6,000坪の広大な敷地に佇む養生館は、大浴場・露天風呂・展望風呂・貸切風呂3ヶ所・庭園内の足湯と合計7つの湯処を擁する。なかでも露天風呂から望む東郷湖の眺望は格別で、湖面に映る夕焼けや朝もやの幻想的な景色は訪れる者の心に深く刻まれる。料理は山陰の日本海で獲れる新鮮な魚介と里山の野菜を活かした旬彩会席が供され、四季折々の食材を通じて鳥取の豊かな食文化を堪能できる。 日帰り入浴は大人1,000円で、平日は16:00から、土日祝は13:00から19:30まで利用できる。JR山陰本線松崎駅から徒歩約12分、山陰道はわいICから車で約10分と交通の便もよい。なお、2024年3月1日より東郷池護岸工事に伴い全館休館中であり、再開時期は未定となっている。訪問を検討する際は事前に公式サイトや電話で最新の営業状況を確認することをお勧めする。東郷湖周辺にはハワイ温泉街や中国庭園「燕趙園」、はわい海水浴場などの観光スポットもあり、温泉と合わせて湯梨浜町の魅力を存分に味わうことができる。
詳細ページを見る

9. 鹿野温泉 山紫苑(鳥取県 鳥取市鹿野町)

鹿野温泉は、鳥取県鳥取市鹿野町に湧く温泉である。鹿野は戦国時代に山名氏や亀井氏が城主を務めた鹿野城の城下町として栄えた歴史ある町で、白壁土蔵群や城跡公園の石垣が往時の面影を今に伝えている。温泉の歴史は比較的新しく、古くから田地に温かい湧き水があることは知られていたが、本格的に温泉として開発されたのは昭和28年(1953年)の試掘以降である。翌年の掘削で源泉が確保され、昭和41年(1966年)には国民保養温泉地に指定された。国民宿舎 山紫苑は、この鹿野温泉を代表する宿泊施設として、因幡の名峰・鷲峰山を背景に広大な日本庭園を誇る佇まいで多くの湯客を迎えてきた。 山紫苑の湯は単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)に分類され、pH7.7、源泉温度62.0℃を記録する。この湯は通称「おんな水」と呼ばれ、弱アルカリ性ならではの肌触りの柔らかさが際立つ。入浴後に肌がツヤツヤと潤うことから美肌の湯として地元で親しまれている。全浴室において天然温泉を24時間源泉かけ流しで使用しており、加水や循環を行わない贅沢な温泉の楽しみ方が可能である。効能は神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、疲労回復、健康増進と多岐にわたり、湯治目的での長期滞在にも適している。 浴場は庭園露天風呂「堀の湯」「大石の湯」、鷲峰山を一望できる展望風呂「天の川」(男女ともジャグジーバス付)、本館1階の大浴場、そして駐車場内に設けられた無料の足湯と、多彩な湯浴みの選択肢が揃う。毎夜23時に本館1階浴室の男女入れ替えが行われるため、宿泊者は異なる趣の浴場を楽しめるのも魅力である。客室から眺める日本庭園は四季折々に表情を変え、春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、いつ訪れても目を楽しませてくれる。地元鳥取の旬の食材を活かした料理も好評である。 日帰り入浴は大人520円、小学生260円と手頃な料金で、11:00から21:00まで利用可能である(最終受付20:00)。ただしGW・お盆・年末年始は11:00~15:00に短縮される。アクセスは山陰自動車道浜村鹿野温泉ICから車でわずか5分と利便性が高い。JR浜村駅からは無料送迎サービスも用意されており、公共交通機関でも訪問しやすい。周辺には鹿野城跡公園や鹿野の城下町散策、鷲峰山登山など見どころが多く、春の城跡公園は桜の名所としても知られる。静かな山あいの温泉地で、美肌の湯と雄大な景色に包まれるひとときは、日常の喧騒を忘れさせてくれるだろう。
詳細ページを見る

10. 吉岡温泉 一ノ湯(鳥取県 鳥取市)

吉岡温泉は、応和2年(962年)に開湯した千年以上の歴史を持つ鳥取市の名湯である。その発見には美しい伝説が伝わっている。葦岡長者という豪族の娘が顔に悪瘡を患い、父は娘の回復を祈って薬師如来に百日参りを続けた。満願の夜、夢のお告げに従ってうつろ田を掘ったところ、薬師如来像とともに滾々と温泉が湧き出し、その湯で娘の瘡は完治したという。以来「美肌伝説の湯」として知られ、地元では薬師如来を本尊とする宝泉寺が温泉の守護寺として大切にされてきた。江戸時代には鳥取藩主・池田家の御用湯として栄え、藩主専用の鍵湯「一ノ湯」「二ノ湯」が設けられた。現在の吉岡温泉会館 一ノ湯は、平成30年(2018年)にこの由緒ある「一ノ湯・御茶屋」の跡地に移転新築された日帰り入浴施設である。 一ノ湯の泉質は単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)で、pH8.0の弱アルカリ性、源泉温度51.3℃、湧出量は毎分100リットルを誇る。無色透明の湯は柔らかくさらりとした肌触りで、硫酸イオンによる肌のハリ効果、塩分による保湿保温効果、重曹成分によるクレンジング効果が三位一体となった美肌の湯である。特筆すべきは、全8浴槽のすべてが純温泉協会の「純温泉A」認定を受けていること。加水・加温・循環ろ過・消毒・入浴剤のいずれも一切使用しない、正真正銘の源泉かけ流しで、これほどの規模で全浴槽が純温泉認定を受けている施設は全国的にも極めて珍しい。 浴場は木のぬくもりを感じる「木風呂」と野趣あふれる岩造りの「岩風呂」の2種類があり、男女日替わりで楽しめる。それぞれ内湯2槽と露天風呂1槽を備え、打たせ湯も設置されている。坪庭を眺めながらくつろげる家族風呂、車椅子のまま入浴できるバリアフリー風呂、愛犬と一緒に温泉を楽しめる「わんこの湯」、フィンランド式テントサウナなど、他の共同浴場にはない多彩な施設が揃っている。2018年の新築オープンだけあって館内は清潔感にあふれ、個室休憩室やワーケーション対応の会議室も完備されている。 入浴料は大人700円・小人350円・シニア600円と、源泉かけ流しの施設としては良心的な価格設定である。営業時間は朝8時から夜9時まで年中無休で、鳥取砂丘から車で約20分というアクセスの良さも魅力のひとつ。毎年4月の花湯まつりでは白象の練り歩きが温泉街を彩り、6月のほたるまつりでは蛍の乱舞を楽しめる。鳥取砂丘観光と組み合わせた日帰り温泉として、また千年の歴史と藩主ゆかりの名湯として、吉岡温泉 一ノ湯は鳥取を訪れるすべての旅人におすすめしたい温泉施設である。
詳細ページを見る

11. 皆生温泉 皆生風雅(鳥取県 米子市)

皆生温泉は、1900年(明治33年)に地元漁師の山川忠五郎が浅瀬に湧き出す熱湯を偶然発見したことに始まる、山陰地方を代表する温泉地である。その後、大正期に米子の実業家・有本松太郎が荒れた海岸地を拓いて一大温泉郷を築き上げた。皆生風雅はこの歴史ある温泉地に佇む数寄屋造りの旅館で、前身の老舗「ひさご家」から「皆生の宿 ゆるり」を経て、2018年に「美と古雅の宿」として生まれ変わった。「炎の詩人」と称された陶芸家・河井寛次郎ゆかりの宿として知られ、館内の民藝館には朝鮮張りの床板や調和の取れた意匠が随所に施されている。 皆生風雅の温泉は含硫黄-ナトリウム-塩化物泉で、源泉温度65.7℃、pH7.1の中性高温泉である。マグネシウム、硫酸塩、メタケイ酸という「三大美肌成分」を豊富に含み、「とろみ美肌の塩の温泉」として高い評価を受けている。保温・保湿効果に優れ、入浴後も長時間にわたって肌のしっとり感が持続する。神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、慢性皮膚病などへの効能も期待され、古くから湯治の地としても親しまれてきた皆生温泉の良質な湯を存分に堪能できる。 全24室の客室はすべて40平米以上の広さを確保し、温泉露天風呂付き客室も複数用意されている。約2,000平米の日本庭園は弓ヶ浜の白砂青松をイメージして造られ、四季折々の表情を見せる。夜間にはライトアップされた庭園を眺めながらバーラウンジでくつろぐこともできる。大浴場に加え、貸切風呂やバレルサウナ(男女各1棟)も備え、地産地消をコンセプトにした会席料理や鉄板焼きディナーなど、食の楽しみも充実している。アンティーク着物の試着体験「雅美人体験」も人気で、番傘とともに庭園での撮影を楽しむことができる。 日帰り入浴は15:00~21:00、大人1,300円で利用可能。JR米子駅からはタクシーで約15分、無料送迎バス(要予約)も運行されている。米子自動車道米子ICからは車で約15分とアクセスも良好である。周辺には日本海の美しい海岸線が広がり、晴れた日には中国地方最高峰の大山(だいせん)を望むことができる。皆生温泉はトライアスロン発祥の地としても知られ、毎年夏にはトライアスロン大会が開催される。境港の水木しげるロードや大山登山、足立美術館など、周辺観光スポットも豊富で、温泉と観光を組み合わせた旅の拠点として最適な宿である。
詳細ページを見る

12. 大山火の神岳温泉 豪円湯院(鳥取県 西伯郡大山町)

大山の中腹、標高約750メートルの大山寺参道に佇む「豪円湯院」は、2013年にオープンした日帰り温泉施設である。その名は、戦国時代から江戸時代初期にかけて衰退の危機にあった大山寺を救った天台宗の高僧・豪円僧正(1536~1611年)に由来する。かつて大山寺は寺領6万石、160の院房と3千人の僧兵を抱える大勢力であったが、院内の抗争が絶えず存亡の危機に瀕していた。豪円僧正は院内行政を統一し、徳川幕府から3千石の朱印状を得て大山寺の命脈を保った中興の祖であり、その墓所がある豪円山の麓にこの温泉は建てられた。 豪円湯院の泉質は弱アルカリ性単純温泉で、地下1,200メートルから汲み上げた源泉は源泉温度28.0℃、pH8.1である。最大の特徴は酸化還元電位が-320mVという日本最大級の還元力を持つ点にある。この数値は全国の天然温泉の中でも屈指であり、抗酸化作用による疲労回復や治癒効果が期待されている。無色透明・無臭の柔らかな湯は肌をしっとりすべすべに整え、成分総計0.193g/kgと穏やかながらも確かな効能を持つ。飲泉コーナーも設けられており、還元水を飲むことも可能である。 内湯「神の湯」は、かがり火を灯した洞窟風の幻想的な空間が広がり、まるで神域に身を置くかのような神聖な雰囲気の中で入浴できる。五感への癒しをコンセプトに設計されたこの浴場は、ほの暗い照明と岩に囲まれた空間が日常を忘れさせてくれる。一方、露天風呂では大山の雄大な自然を間近に感じながら湯に浸かることができ、周囲に人工物が見えない自然に囲まれた景観が魅力である。秋には紅葉、冬には雪見風呂と、四季折々の表情を楽しめる。 豪円湯院のもう一つの名物は、大山の霊水を使った「豪円とうふ」と「豪円豆乳」である。入浴後には豆乳またはミニソフトクリームのサービスがあり、食事処「神の湯亭」では湯豆腐定食やおこわ定食などの軽食を味わえる。大山山頂に最も近い温泉として登山後の疲れを癒すのに最適であり、大山寺や大神山神社の参拝と合わせて訪れるのがおすすめである。冬季はスキー帰りの利用者も多く、年間を通じて大山観光の拠点として親しまれている。入浴料は大人790円・小学生300円で、平日11:00~18:00、土日祝11:00~20:00に営業。毎週水曜定休(祝日の場合は営業)。米子ICから車で約15~20分、JR米子駅からバスで約50分。
詳細ページを見る


総まとめ

鳥取県の温泉は、東部の岩井温泉・吉岡温泉エリア、中部の三朝温泉・関金温泉・東郷湖エリア、西部の皆生温泉・大山エリアと、大きく3つのエリアに分けられる。以下にエリア別のモデルコースを提案する。

東部エリア(鳥取市周辺)モデルコース 鳥取砂丘を観光した後、車で約20分の吉岡温泉 一ノ湯で「純温泉A」認定の美肌の湯を楽しみ、翌日は山陰海岸ジオパークを巡りながら岩井温泉 岩井屋の足元湧出泉に浸かる。鳥取市街からは鹿野温泉 山紫苑も車で約25分と近く、城下町散策と美肌の湯を組み合わせることも可能である。

中部エリア(倉吉・三朝・東郷湖)モデルコース 三朝温泉を拠点に、旅館大橋または木屋旅館に宿泊しながら、無料の河原風呂と発祥地の株湯を徒歩で巡る三朝温泉満喫コース。三徳山三佛寺投入堂への参拝も半日で組み込める。2日目は東郷湖へ移動し、はわい温泉 望湖楼の湖上露天風呂を堪能。関金温泉 関の湯共同浴場はJR倉吉駅からバスで約35分とやや離れるが、200円で入れる本物のラジウム泉は温泉通には見逃せない。

西部エリア(米子・大山)モデルコース 皆生温泉 皆生風雅に宿泊して美肌の塩の温泉を堪能し、翌日は大山登山またはスキーの後に豪円湯院の還元泉で疲れを癒す。境港の水木しげるロードや足立美術館を組み合わせることも可能である。

アクセスの注意点 鳥取県は東西に長く、東部の鳥取市と西部の米子市の間は車で約1時間30分を要する。公共交通機関ではJR山陰本線が東西を結ぶ幹線であり、各温泉地へはJR倉吉駅やJR米子駅を起点にバスやタクシーを利用する。三朝温泉や関金温泉は倉吉駅からバスでアクセスできるが、便数が限られるため事前に時刻表を確認しておくことが望ましい。レンタカーがあれば効率的に複数の温泉地を巡ることができる。

季節のアドバイス 冬季(11月~3月)は松葉ガニのシーズンで、温泉と蟹料理を組み合わせた旅は鳥取観光の醍醐味である。ただし大山周辺は積雪があるため、豪円湯院を訪れる際は冬用タイヤが必須となる。春は鹿野城跡公園の桜、夏は浦富海岸の海水浴や東郷湖水郷祭、秋は大山の紅葉と、四季を通じて温泉旅を楽しめる。三朝温泉の河原風呂は奇数日の午前中が清掃休止となるため、訪問日程にも留意したい。

※本記事に掲載している情報(入浴料金・営業時間・泉質データ等)は、リサーチ時点の情報をもとに作成しています。誤りや変更が生じている可能性もあります。最新の情報については、各施設の公式サイトや観光協会等でご確認ください。

おすすめの温泉

秘湯マップで人気の温泉をご紹介

ホームマップ温泉リストブログマイページ