広島県の秘湯・名湯 7選 — 瀬戸内の島湯から中国山地の冷鉱泉まで、知られざる湯を巡る

広島県の秘湯・名湯 7選 — 瀬戸内の島湯から中国山地の冷鉱泉まで、知られざる湯を巡る

広島県は、世界遺産の厳島神社や原爆ドームの陰に隠れがちだが、実は瀬戸内海から中国山地にかけて多彩な温泉が点在する隠れた温泉県である。瀬戸内海に浮かぶ離島の高台から多島美を望むインフィニティ露天風呂、1,200年前に山肌の岩間から噴出したと伝わる藩主御用達の打たせ湯、広島県唯一の重曹泉として知られる美肌の冷鉱泉、そして神楽と温泉が融合した全国唯一のテーマパーク——いずれも個性豊かで、温泉好きの探究心を刺激する存在ばかりだ。泉質はラドン泉や放射能泉が目立ち、冷鉱泉を加温して利用する施設が多いのも広島県の特徴である。今回は、そのなかから特に個性際立つ7か所を厳選した。


1. 江田島荘(広島県江田島市)

江田島荘
引用:江田島荘HP
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2. 湯の山温泉館(広島県 広島市佐伯区 湯来町)

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3. きのえ温泉 ホテル清風館(広島県 豊田郡大崎上島町)

瀬戸内海に浮かぶ大崎上島の高台に建つ離島の温泉ホテルである。本州と橋で繋がっておらず、竹原港からフェリーで渡るしかアクセス手段がない。その隔絶された立地こそが最大の魅力であり、船旅を経てたどり着く非日常感は格別のものがある。昭和63年(1988年)に開業し、地下221メートルの御影石の下から湧き出す源泉は、中国の名泉にちなんで「龍泉」と名付けられた。 泉質は含弱放射能カルシウム・ナトリウム塩化物冷鉱泉で、pH7.0の中性。塩分を豊富に含む湯は保温効果に優れ、柔らかな肌触りは美肌の湯としても評判が高い。2023年4月にリニューアルオープンした露天風呂はインフィニティ設計が特徴で、湯船に浸かると水面と海面が一体化し、瀬戸内海に溶け込むかのような感覚を味わえる。眼下には愛媛県の大三島やしまなみ海道の来島海峡大橋が広がり、晴天の日には四国の石鎚山まで見渡せる。この絶景が評価され、温泉総選挙「絶景部門」で2024年・2025年と2年連続全国1位を受賞した。「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」料理部門にも5年連続入選しており、瀬戸内海の新鮮な魚介を中心とした会席料理も秀逸である。日帰り入浴は大人800円、毎月5日・15日・25日は入浴感謝DAYで500円。竹原港からフェリーで約25分、港からタクシーで約15分。
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4. 神楽門前湯治村 岩戸屋(広島県 安芸高田市)

広島県安芸高田市美土里町の小高い丘の上に広がる、神楽と温泉が融合した全国的にも稀有な温泉テーマパークである。1998年、施設用の飲料水を確保するためのボーリング調査中に偶然温泉が湧出し、広島県北部で600年以上にわたって受け継がれてきた伝統芸能「芸北神楽」と温泉を組み合わせた施設が誕生した。瓦屋根が連なる門前町の町並みが忠実に再現され、格子造りの旅籠屋や茶店が軒を連ねる光景は江戸時代にタイムスリップしたかのような趣がある。 温泉「岩戸屋」の泉質は単純弱放射能冷鉱泉で、いわゆる天然ラドン温泉である。約1km離れた源泉地から引湯された源泉温度17.4℃の冷鉱泉を加温して使用しており、肌に優しくしっとりとした柔らかい湯触りが特徴である。浴場は珍しい2階建て構造で、1階の大浴場は全面ガラス張りの開放的な空間。露天風呂は山岩を組んだ趣のある造りで、打たせ湯、薬湯泡風呂、蒸気サウナ、寝湯、ジェットバスなど多彩な浴槽が揃う。村内に併設された神楽専用ドーム「かむくら座」では定期的に本格的な神楽公演が催され、温泉と伝統芸能を一度に堪能できるのはここだけの贅沢である。食事処では猪や鹿肉を使った天然ジビエ料理も味わえる。宿泊は1泊6,750円から。日帰り入浴は大人800円、子ども450円。11:00〜20:30。中国自動車道高田ICから車で約10分。
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5. 養老温泉本館(広島県 尾道市)

養老温泉本館
引用:養老温泉本館 HP
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6. 月ヶ瀬温泉(広島県 山県郡安芸太田町)

月ヶ瀬温泉
引用:広島公式観光サイト
2020年8月、安芸太田町加計にオープンした比較的新しい温泉施設である。旧JR可部線加計駅の跡地付近に建てられ、過疎化が進む山間の町に新たな活力をもたらすべく、地域の交流拠点として誕生した。高齢者の憩いの場であると同時に障害者の就労支援施設としての役割も果たしており、温泉を通じた地域福祉の新しいかたちを体現している。 最大の魅力はpH9.7という高アルカリ性の泉質にある。アルカリ性単純温泉に分類され、メタケイ酸イオン57.3mg/kgを含み、広島県内では稀に見るぬるぬる・とろとろとした肌触りが特徴である。湯に身を沈めた瞬間から肌をまとうようなとろみを感じ、入浴後は驚くほど肌がすべすべになる。その美肌効果は島根県の美又温泉にも比肩するとされ、温泉通の間でも高い評価を得ている。施設はコンパクトながら内湯と露天風呂を備え、サウナと水風呂も完備。すぐ近くには安芸太田町の名物として全国的に知られるたい焼き店「よしお」があり、温泉帰りにたい焼きを頬張るのが地元の定番コースである。国の特別名勝・三段峡への観光拠点としても最適な立地にある。日帰り入浴は大人500円。11:00〜21:00(最終入館20:30)。木曜定休。中国自動車道戸河内ICから車で約15分。
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7. 帝釈峡観光ホテル 錦彩館(広島県 庄原市)

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総まとめ — 広島の湯を旅する前に知っておきたいこと

広島県の温泉は、大きく4つのエリアに分けて巡ると効率的である。

【広島市西部・廿日市エリア】 湯の山温泉館と女鹿平温泉クヴェーレ吉和は、いずれも広島市の西側に位置する。湯の山温泉館は五日市ICから約40分、クヴェーレ吉和は吉和ICから約10分で、両施設は中国自動車道経由で約1時間の距離にある。午前中に湯の山温泉館で1,200年の歴史を持つ打たせ湯を体験し、午後にクヴェーレ吉和で45,000年前の巨木風呂に浸かるという日帰りプランが組める。クヴェーレ吉和ではウッドワン美術館の鑑賞も合わせて楽しみたい。冬季はめがひらスキー場と温泉を組み合わせるのも魅力的だ。

【安芸太田・北広島エリア】 月ヶ瀬温泉と神楽門前湯治村は、太田川沿いの山間部に位置する。月ヶ瀬温泉は戸河内ICから約15分、神楽門前湯治村は高田ICから約10分で、両施設は車で約40分の距離にある。月ヶ瀬温泉でpH9.7のとろとろ美肌湯を堪能した後、三段峡を散策し、神楽門前湯治村で神楽鑑賞と温泉を楽しむ1泊2日のプランがおすすめだ。三段峡は特に秋の紅葉シーズン(11月上旬〜中旬)が見事である。

【三次・庄原エリア】 君田温泉と帝釈峡錦彩館は、県北部の内陸に位置する。君田温泉はやまなみ街道口和ICから約5分、錦彩館は東城ICから約7分で、両施設は中国自動車道経由で約1時間の距離にある。君田温泉で広島県唯一の重曹泉を楽しみ、帝釈峡では神龍湖の遊覧船クルーズと世界三大天然橋「雄橋」の散策を組み合わせた1泊2日の旅が理想的だ。帝釈峡の紅葉は11月上旬〜中旬が見頃である。

【尾道・島しょエリア】 養老温泉本館ときのえ温泉ホテル清風館は、瀬戸内海沿岸に位置する。養老温泉本館は尾道ICから約5分と好アクセスで、しまなみ海道や千光寺など尾道観光と組み合わせやすい。きのえ温泉は竹原港からフェリーで渡る離島の温泉で、船の時刻表を事前に確認しておく必要がある。尾道で1泊、大崎上島で1泊の2泊3日プランを組めば、昭和レトロな一軒宿と瀬戸内海の絶景インフィニティ風呂という対照的な二つの湯を満喫できる。

全体として、広島県の温泉巡りにはレンタカーが不可欠である。公共交通機関でアクセスできる施設もあるが、バスの便数が限られるため車での移動が圧倒的に効率的だ。冬季(12月〜2月)は中国山地の山間部で積雪・路面凍結が発生するため、スタッドレスタイヤの装着を推奨する。また、きのえ温泉のようにフェリーが唯一のアクセス手段となる離島の温泉や、営業日・営業時間が季節によって変動する施設もあるため、訪問前に必ず最新の営業状況を確認してほしい。

※本記事に掲載している情報(入浴料金・営業時間・泉質データ等)は、リサーチ時点の情報をもとに作成しています。誤りや変更が生じている可能性もあります。最新の情報については、各施設の公式サイトや観光協会等でご確認ください。

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