愛知県は、太平洋に面した知多半島・渥美湾から、奥三河の山岳地帯まで地形の変化に富む地域である。全国屈指の温泉県ではないが、東三河の山あいには開湯1300年と伝わる湯谷温泉が今も湧く。鳳来寺を開いたと伝わる利修仙人がこの地に霊泉を見出したとされ、隣接する鳳来山東照宮は徳川家康ゆかりの社として知られる。北設楽郡には、鎌倉時代から700年以上続く伝統神事「花祭」の里・東栄町がある。佐久間ダム湖畔の山村・豊根村もあり、湯治と信仰、地域振興が結びついた素朴な温泉が点在する。
平野部に目を移すと、名古屋近郊の海部郡蟹江町には尾張温泉がある。地下約1200mから汲み上げる源泉を加水・加温・循環なしで供給し、愛知県で唯一「日本の名湯百選」に選ばれている。知多半島に入ると、半田市には童話「ごんぎつね」ゆかりの日帰り温泉がある。南知多町には、伊勢湾を望む源泉かけ流しの宿が湯を守り続けている。
愛知県は、温泉資源そのものが豊富な県ではない。今回は、源泉かけ流しの根拠を確認できた7か所に絞り、質を優先して厳選した。
1. 湯谷温泉 はづ木(愛知県新城市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 11:00 - 14:30 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2. 湯谷温泉 旅荘みつい(愛知県新城市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00 - 14:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
3. とうえい温泉 花まつりの湯(愛知県北設楽郡東栄町)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00 - 21:00 | ◯ | ◯ | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
4. 湯の島温泉(愛知県北設楽郡豊根村)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 13:00 - 19:00 | × | × | × | × | × | ◯ | ◯ | ◯ |
5. 尾張温泉 東海センター(愛知県海部郡蟹江町)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 13:00 - 23:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
6. 半田天然温泉 まるはごんぎつねの湯(愛知県半田市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00 - 22:00 | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
7. THE BEACH KUROTAKE(愛知県知多郡南知多町)
総まとめ——愛知の湯を巡る前に知っておきたいこと
愛知県の秘湯は、東三河山間エリア・尾張平野エリア・知多半島エリアの3つに分けて計画すると回りやすい。
【東三河山間エリア】 新城市の湯谷温泉には、日帰り入浴が可能な宿が2軒残る。はづ木の湯は「湯谷温泉7号泉」由来のナトリウム-塩化物泉で、源泉温度35.9℃、加水も循環もない源泉かけ流しである。ただし日帰り入浴は昼食付きプラン限定で、11:00〜14:30の利用は要予約となる。旅荘みついは分析上「ナトリウム・カルシウム-塩化物泉」の湯を持ち、源泉温度は35.6℃。公式サイトによれば、内湯は加温のうえで100パーセント源泉かけ流しである。露天風呂・貸切風呂は加水・循環の有無が公表されていない。かつて十軒ほど並んだ湯谷温泉の宿のなかで、現在日帰り入浴を受け付けるのは旅荘みついのみである。10:00〜14:00の1時間単位貸切制で、大人1,000円。両宿ともJR飯田線 湯谷温泉駅から徒歩約3分の距離にある。
東栄町のとうえい温泉花まつりの湯は、館内の「源泉風呂」だけが加水・加温・循環なしのかけ流しである。ほかの浴槽は加温循環と消毒を行い、施設全体では一部かけ流しの湯づかいとなる。営業は10:00〜21:00、大人800円、定休日は水曜日。豊根村の湯の島温泉は、佐久間ダム湖畔にある村営浴場で、土曜・日曜・祝日の13:00〜19:00のみ営業する。内湯は加温・循環・消毒を行い、露天風呂は源泉の湯口と加温した湯口を併用する一部かけ流しである。両施設とも三遠南信自動車道のICから車で20〜30分ほどかかる山間部にある。公共交通の便数は限られるため、車での訪問が現実的だ。
【尾張平野エリア】 海部郡蟹江町の尾張温泉東海センターは、高温源泉4本・低温源泉2本、計6本の自家源泉を持つ。いずれも地下約1200mから汲み上げ、加水・加温・循環ろ過・塩素消毒を行わずブレンドして完全源泉かけ流しを実現している。愛知県で唯一「日本の名湯百選」に選ばれた温泉である。東名阪自動車道 蟹江ICから車で約3分と近く、名古屋都市圏からも訪れやすい。営業は13:00〜23:00(最終入場22:30)で年中無休、料金は平日大人700円・土日祝800円。日帰り入浴専用の施設で、宿泊設備はない。
【知多半島エリア】 半田市の半田天然温泉まるはごんぎつねの湯は、源泉温度59.2℃・成分総計26g/kg超という濃厚な塩泉を持つ。ただし加水なしの源泉かけ流しは露天風呂の「滝つぼ湯」のみで、ほかの浴槽は加温循環と消毒を行う。知多半島道路 半田中央ICから車で約1分の好立地にあり、10:00〜22:00営業、平日料金は大人900円である。入れ墨・タトゥーのある客は入館できない点には注意したい。南知多町のTHE BEACH KUROTAKEは、伊勢湾を望む高台に建つ宿泊専用の温泉旅館である。「知多半島唯一の源泉掛け流しの宿」を掲げている。加水・加温を行わず送湯量で湯温を調整し、循環ろ過も行わない(衛生管理のための塩素消毒はごく僅かにある)。日帰り入浴はできず、1泊2食付き28,400円〜(2名利用時・税込)の宿泊が前提となる。南知多道路 南知多ICから車で約15分、電車の場合は名鉄知多新線 内海駅から要予約の送迎を利用する。
訪問前には、いずれの施設も日帰り利用の可否や供給方式、料金・営業時間を公式サイトで確認しておきたい。特に湯谷温泉はづ木とTHE BEACH KUROTAKEは、日帰り入浴に大きな制約がある。湯の島温泉も週末・祝日のみの営業である。半田天然温泉まるはごんぎつねの湯がタトゥーのある客の入館を断っている点も、事前に把握しておくとよい。
※本記事に掲載している情報(入浴料金・営業時間・泉質データ等)は、リサーチ時点の情報をもとに作成しています。誤りや変更が生じている可能性もあります。最新の情報については、各施設の公式サイトや観光協会等でご確認ください。









