【和歌山】おすすめ秘湯・野湯 11選

和歌山県は、関西随一の温泉王国だ。501本を超える源泉を有し、世界遺産・熊野古道が縦断する山岳地帯から太平洋に面した海沿いまで、その泉質と景観の多様さは全国屈指といえる。渓流沿いの野趣あふれる野湯から、歴史と格式を備えた一軒宿の秘湯まで、和歌山には一生に一度は浸かってみたい湯が揃っている。今回は、そのなかから特に個性際立つ10か所を厳選した。


1. 川湯温泉 仙人風呂(和歌山県田辺市)

川湯温泉 仙人風呂
川湯温泉 (引用:熊野本宮 HP)
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2. 湯の峰温泉 旅館あづまや / つぼ湯(和歌山県田辺市)

開湯1800年という歴史を誇り、日本最古の温泉のひとつとして知られる湯の峰温泉。4世紀頃に熊野の国造・大阿刀足尼によって発見されたとされ、熊野詣の旅人たちが「湯垢離(ゆごり)」の場として身を清めた場所だ。熊野本宮大社からわずか5kmの山あいに、13軒ほどの旅館・民宿が四村川沿いに軒を連ねる。 この温泉の象徴が「つぼ湯」だ。天然の岩盤を刳り貫いただけの小さな浴槽で、2〜3人が入ればいっぱいになるほどの大きさしかない。しかし、この湯は1日に7回も色が変わると伝わる不思議な湯であり、2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産として世界遺産に登録された。世界で唯一、入浴できる世界遺産温泉である。30分の完全貸切制で、公衆浴場の番台で番号札を受け取って順番を待つシステムだ。 温泉街の一角には「湯筒(ゆづつ)」と呼ばれる90℃の源泉自噴口があり、ここで卵や野菜を茹でる体験も人気だ。老舗旅館「旅館あづまや」は江戸時代中期から続く宿で、槇造りの内湯、蒸し風呂、露天風呂など多彩な浴槽を有する。フランスの作家アンドレ・マルローが「これぞ日本の宿」と絶賛したことでも知られる。 泉質は含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉で、湧出温度は92.5℃と高温のため、すべて加水のうえかけ流しで提供される。
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3. 龍神温泉 下御殿(和歌山県田辺市)

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4. 龍神小又川温泉 美人亭(和歌山県田辺市)

龍神温泉からさらに奥へ、高野山と熊野の中間部にある山深い秘境温泉が「龍神小又川温泉」だ。日高川の清流沿いに静かに佇む一軒宿「美人亭」が唯一の引湯施設として、この温泉の湯を供している。

泉質はアルカリ性低張性冷鉱泉で、pH8.7というアルカリ性のとろみが特徴だ。無色透明ながら、浴後は肌がしっとりとなめらかになることから「美人の湯」として評判が高い。加温のうえかけ流しで使用しており、温泉の鮮度をそのままに楽しめる。

料理面でも個性が光る宿で、主人が自ら山野や渓流を歩いて採取した天然のジビエ(猪肉)や山菜、鮎・アマゴといった渓流魚が食卓に並ぶ。地元ブランド牛「熊野牛」の鉄板焼きやしゃぶしゃぶも人気だ。6〜8月には源氏ボタルや平家ボタルが舞い、日高川のせせらぎとともに幻想的な夜の景色を演出する。

  • 泉質: アルカリ性低張性冷鉱泉
  • pH: 8.7
  • 利用形態: 加温・かけ流し
  • 浴槽: 内湯(日高川を望む)
  • 日帰り入浴: 要確認
  • 宿泊:
  • 住所: 和歌山県田辺市龍神村龍神96-3 TEL:0739-79-0777
  • アクセス: 田辺ICより約60分、JR紀伊田辺駅より龍神バスで約80分
  • 営業期間: 通年

5. 渡瀬温泉 ホテルささゆり(和歌山県田辺市)

川湯温泉・湯の峰温泉と並んで「熊野本宮温泉郷」を構成する渡瀬温泉。世界遺産・熊野本宮大社まで車で約10分という絶好の立地にある。メインの宿泊施設「ホテルささゆり」は、四村川の中洲に建ち、吊り橋を渡った先に広がる露天風呂ゾーンが名物だ。西日本最大級とされる大露天風呂をはじめ、貸切露天風呂8か所など、内湯と露天を合わせた計9種類の浴槽を誇る。

泉質は複数の源泉(単純泉・ナトリウム炭酸水素塩泉・ナトリウム塩化物炭酸水素泉)を有し、源泉かけ流しで提供。湯上がりの肌はすべすべとし、美人の湯としての評価も高い。色とりどりの季節食材を使った熊野会席料理も充実しており、朝食には温泉粥がいただける。熊野古道の拠点としても利用者が多く、発心門王子への無料送迎バスも運行する。なお、露天風呂エリアでは2024年7月より湯量確保の掘削工事が行われており、一部利用制限が生じている場合があるため、訪問前に施設への確認が必要だ。

  • 泉質: ナトリウム炭酸水素塩泉・ナトリウム塩化物炭酸水素泉ほか
  • 利用形態: 源泉かけ流し
  • 浴槽: 大露天風呂、貸切露天風呂8か所、内湯など計9種類
  • 日帰り入浴: 可(施設に要確認)
  • 宿泊:
  • 住所: 和歌山県田辺市本宮町渡瀬45-1 TEL:0735-42-1185
  • アクセス: JR白浜駅より無料送迎バスあり(要予約、13:00発)
  • 営業期間: 通年

6. 椿温泉 旅館しらさぎ(和歌山県西牟婁郡白浜町)

賑やかな白浜温泉から国道42号を南へ車で約20分。白浜町椿地区に静かに佇む小さな温泉地が「椿温泉」だ。周辺に大型リゾートは一切なく、旅館・民宿が数軒あるだけの素朴な湯治の里で、古くから地元の人々や湯治客に愛されてきた。

江戸時代の書物「紀伊続風土記」(天保10年・1839年)にはすでに「湯小温にして水清く、浴するときは肢体に油をそそぐごとくにして、すこぶる心地よし」と記されており、その泉質の良さは江戸後期から広く知られていた。温泉名の由来は、かつて一羽の白鷺が傷ついた足をこの湯に繰り返し浸けて治癒したという伝説に由来する。宿名「しらさぎ」もこの故事に因む。

泉質は含硫黄-アルカリ性単純温泉(単純硫黄泉)で、pH10.1という強アルカリ性が特徴だ。塩分を含まない柔らかいお湯は、赤ちゃんやアトピー・敏感肌の方にも優しい。海抜60mにある大浴場からは太平洋が一望でき、夕焼けや漁火を眺めながらの入浴が楽しめる。旅館しらさぎでは大浴場のほかに薬草湯など日替わり風呂も設け、共有キッチンを使った自炊湯治も可能。純温泉協会の「純温泉C認定」を受けている。

  • 泉質: 含硫黄-アルカリ性単純温泉(単純硫黄泉)
  • 源泉名: 蓬莱湯
  • 源泉温度: 31.8〜31.9℃
  • pH: 10.1
  • 湧出量: 146L/分(掘削自噴)
  • 利用形態: 源泉かけ流し(加温あり)
  • 日帰り入浴: 可(600円、11:00〜20:00、要事前確認)
  • 宿泊: 可(湯治プランあり)
  • 住所: 和歌山県西牟婁郡白浜町椿1056-22 TEL:0739-46-0321
  • アクセス: JR椿駅より送迎あり(要予約)、南紀白浜ICより約7分
  • 営業期間: 通年

7. 花山温泉 薬師の湯(和歌山県和歌山市)

「関西最強の炭酸鉄泉」として、温泉ファンの間でその名を轟かせる花山温泉。和歌山市の街中に位置し、阪和自動車道・和歌山ICからわずか5分というアクセスのよさで、近畿圏はもとより全国各地から入浴客が訪れる。起源は奈良時代の西暦803年まで遡り、行基菩薩が開いたとされる古湯だ。

その最大の特徴は、地下501mから炭酸ガスの圧力のみで自噴する、極めて珍しい天然炭酸鉄泉だ。湧出時は無色透明だが、空気に触れた瞬間から鉄分が酸化し、特有の茶褐色に変化する。浴槽の縁や床には温泉成分の析出物が層状に堆積し、週に一度の休館日には削岩機で削り取る必要があるほど。含有成分総量は19,747mg/kgに達し、療養泉の基準を大きく上回る。純温泉協会の「純温泉A」認定(加水・加温・循環・消毒・添加なし)の源泉風呂が設置されており、源泉温度26℃の冷泉と、加温した41.5℃の大浴槽を交互に楽しむ「温冷入浴法」が推奨されている。

大浴場・源泉風呂・低温風呂・露天風呂と多彩な浴槽を持ち、宿泊施設も備えることから、日帰りだけでなく一泊して存分に浸かる温泉ファンも多い。

  • 泉質: 含二酸化炭素・鉄(II・III)-カルシウム・マグネシウム-塩化物温泉(高張性・中性・低温泉)
  • 源泉温度: 25.2℃
  • pH: 6.3
  • 溶存物質総量: 19,747mg/kg(療養泉基準の約16倍相当)
  • 利用形態: 源泉かけ流し(源泉風呂は純温泉A認定)
  • 浴槽: 源泉風呂26℃、大浴場41.5℃、低温風呂38℃、露天風呂40℃ほか
  • 日帰り入浴: 可(8:00〜22:00、木曜定休、入浴料1,100円)
  • 宿泊:
  • 住所: 和歌山県和歌山市鳴神574 TEL:073-471-3277
  • アクセス: 和歌山ICより約5分
  • 営業期間: 通年(木曜定休)

8. 南紀勝浦温泉 ホテル浦島 忘帰洞(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町)

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9. 湯川温泉 きよもん湯(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町)

那智勝浦町の山間部、湯川地区に静かに湧く湯川温泉。その歴史は約1,500年に及ぶとされ、「紀州の名湯」として古くから地元の人々に愛されてきた。温泉街に旅館が点在するが、その泉質を手軽に楽しめる公衆浴場として親しまれているのが「きよもん湯」だ。

浴槽の湯口からは絶え間なく大量の源泉が注ぎ込まれ、常に湯船から溢れ流れ続けるかけ流しスタイルが保たれている。清潔で鮮度の高い湯に、硫黄の香りがほのかに漂い、入浴後は肌がすべすべとなめらかになる。泉質はアルカリ性単純温泉で、pH9.8という高アルカリ性が天然の美肌効果をもたらす。

那智勝浦の観光拠点・ホテル浦島から車で約15分の距離にあり、名瀑・那智の滝への参拝と組み合わせた湯巡りにも好適だ。500円という低廉な入浴料で、地元の日常風景に溶け込んだ素朴な湯浴みが楽しめる。

  • 泉質: アルカリ性単純温泉
  • pH: 9.8
  • 利用形態: 源泉かけ流し
  • 入浴料: 大人500円、小人300円
  • 営業時間: 12:00〜23:30
  • 家族風呂: あり(1,000円・50分間、入浴料別途)
  • 日帰り入浴:
  • 宿泊: 不可(公衆浴場)
  • 住所: 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町湯川1062 TEL:0735-52-0880
  • 定休日: 年中無休
  • 営業期間: 通年

10. 鶴の湯温泉(和歌山県日高郡みなべ町)

「鶴が傷ついた足を繰り返し浸けて治した」という伝説が名前の由来とされる鶴の湯温泉。梅の産地として知られるみなべ町の、阪和自動車道・みなべICから車で約20分という山深い場所に静かに湧く隠れ湯だ。江戸時代から地元の人々の湯治場として愛されてきた歴史があり、観光地化されていない素朴な山里の温泉情緒をそのままに伝える。

最大の特徴は、鉄分を豊富に含む黄褐色の湯だ。泉質は含二酸化炭素-ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩冷鉱泉で、自家源泉から常に注がれる天然温泉が内湯・露天風呂の両方で楽しめる。鉄分による温泉色は鶯色から黄褐色と、湯の鮮度や条件によって微妙に変化する。疲労回復・冷え性・神経痛・慢性皮膚病などへの効能が知られ、近くに梅畑が広がる新春の梅の季節(1〜2月)には、甘い梅の香りとともに入浴できる珍しい体験が人気だ。

露天風呂からは緑豊かな山々が広がり、川のせせらぎを聞きながら湯に浸かるひとときは都会の喧騒から完全に切り離された静寂を提供してくれる。宿泊館と温泉館の2棟構成で、素泊まりプランから夕食付きプランまで選べる。周辺には観光スポット「アドベンチャーワールド」(車で約40分)や南紀白浜へのアクセスもよく、秘湯への中継地点としても機能する。

  • 泉質: 含二酸化炭素-ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩冷鉱泉
  • 湯の色: 黄褐色〜鶯色
  • 利用形態: 自家源泉かけ流し(加温・循環ろ過を一部併用)
  • 浴槽: 内湯・露天風呂
  • 日帰り入浴: 可(要確認)
  • 宿泊: 可(素泊まり・朝食付き・夕朝食付きプランあり)
  • 住所: 和歌山県日高郡みなべ町東吉田2328 TEL:0739-74-3016
  • アクセス: 阪和自動車道・みなべICより国道424号〜県道30号経由、車で約20分
  • 営業期間: 通年

11.十津川温泉 ホテル昴

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総まとめ — 和歌山の秘湯を旅する前に知っておきたいこと

和歌山の秘湯・野湯は、標高の高い山岳地帯や世界遺産の霊場近辺に多く集中している。アクセスには路線バスの本数が少ない区間も多く、レンタカーの活用が現実的だ。川湯温泉の仙人風呂などの野湯は、降雨による増水時は入浴禁止となるため、訪問前に必ず現地観光協会に状況確認を行いたい。また、熊野本宮温泉郷(川湯・湯の峰・渡瀬)は互いに近接しており、1泊2日の行程で3か所を巡るプランニングも可能だ。


※本記事に掲載している情報(入浴料金・営業時間・泉質データ等)は、リサーチ時点の情報をもとに作成しています。誤りや変更が生じている可能性もあります。最新の情報については、各施設の公式サイトや観光協会等でご確認ください。

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