茨城県には活火山がなく、筑波山も火山ではなく隆起した岩塊でできた山である。それでも県内には性格の異なる2種類の湯が湧く。ひとつは北茨城市の五浦海岸沿いに湧く高温の塩化物泉である。五浦観光ホテル別館 大観荘の「大観の湯」は源泉温度71℃、幽谷隠田跡温泉は60.9℃に達する。もうひとつは奥久慈の山あいに点在する冷鉱泉だ。大菅温泉元湯旅館や横川温泉元湯山田屋旅館はpH10を超える高アルカリ性、湯の澤鉱泉はナトリウム-炭酸水素塩泉である。いずれも入浴後に肌がなめらかになる「美人の湯」として地元で語り継がれてきた。
湯使いも施設ごとに異なる。大観荘・幽谷隠田跡温泉・筑波温泉ホテルは、加水・加温・循環のいずれも行わない源泉かけ流しを守る。一方、月居温泉白木荘は源泉に循環ろ過と消毒を組み合わせる。大菅温泉元湯旅館や横川温泉元湯山田屋旅館、湯の澤鉱泉は源泉が冷たいため加温するが、加水はせず成分の濃さを保っている。堀川温泉に至っては、敷地内の2本の自家源泉をいずれも未消毒のまま提供する。これは茨城県内で唯一とされる湯使いである。
施設としての個性も際立つ。幽谷隠田跡温泉は2024年9月30日、チームラボの夜の森ミュージアムと同時に開業した。光の演出を眺めながら入浴できる、全国でも珍しい施設となった。湯の澤鉱泉は茨城県で唯一「日本秘湯を守る会」に加盟する一軒宿で、天保13年(1842年)の言い伝えを持つ。堀川温泉は1日1組限定・完全予約制の貸切宿で、環境省がバックグラウンド水として認定した源泉を敷地内に持つ。
今回は、これらの施設の歴史的背景や湯使いの実態を精査したうえで、特に個性際立つ8か所を厳選した。
1. 五浦観光ホテル別館 大観荘(大観の湯)(茨城県北茨城市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 11:00 - 21:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2. 湯の澤鉱泉(茨城県常陸大宮市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00 - 16:00 | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
3. 大菅温泉 元湯旅館(茨城県常陸太田市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00 - 20:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
4. 横川温泉 元湯 山田屋旅館(茨城県常陸太田市)
5. 月居温泉 白木荘(茨城県久慈郡大子町)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 08:00 - 18:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
6. 筑波温泉ホテル(茨城県つくば市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 13:00 - 18:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
7. 幽谷隠田跡温泉(五浦)(茨城県北茨城市)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 18:00 - 20:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
8. 堀川温泉(茨城県高萩市)
総まとめ——茨城の湯を巡る前に知っておきたいこと
茨城県の温泉は、北茨城・高萩エリア、奥久慈エリア、つくば・県南エリアの3つに分けて考えると計画を立てやすい。
【北茨城・高萩エリア】 五浦観光ホテル別館 大観荘、幽谷隠田跡温泉、堀川温泉の3施設が該当する。大観荘と幽谷隠田跡温泉はいずれも北茨城市大津町の五浦海岸沿いにあり、車で数分の距離にある。常磐自動車道 北茨城ICから両施設まで約15分。JR常磐線大津港駅からはタクシーで5〜15分ほどだ。幽谷隠田跡温泉の日帰り入浴はチームラボ「幽谷隠田跡」の展示鑑賞とセットが基本で、事前のウェブ予約が必要になる。堀川温泉は隣接する高萩市にあり、常磐自動車道高萩ICから車で約10分で着く。ただし1日1組限定の完全予約制の貸切宿のため、公式予約サイトからの事前予約が前提となる。
【奥久慈エリア】 該当するのは4施設である。常陸大宮市の湯の澤鉱泉、常陸太田市の大菅温泉元湯旅館・横川温泉元湯山田屋旅館、久慈郡大子町の月居温泉白木荘だ。いずれも山あいに点在し、JR水郡線の沿線だが、最寄り駅からバスやタクシーへの乗り継ぎが必要で、本数も限られる。車の場合は常磐自動車道那珂ICが起点となる。湯の澤鉱泉と大菅温泉元湯旅館は約30〜40分、月居温泉白木荘はさらに山側で約60分かかる。横川温泉元湯山田屋旅館は現在、日帰り入浴を休止しており宿泊利用のみとなるため、訪問前に予約が必須である。月居温泉白木荘は名瀑・袋田の滝の上流に位置し、紅葉シーズンに合わせた立ち寄りが人気だが、冬季は路面の凍結に注意したい。
【つくば・県南エリア】 筑波温泉ホテルは筑波山の中腹に位置する。つくばエクスプレスつくば駅から筑波山シャトルバスで約36分、下車後は送迎車で約5分である。車の場合は常磐自動車道土浦北ICから約40分である。年末年始やゴールデンウィークは休業となる場合があるため、事前に営業状況を確認しておきたい。
全体として、茨城県の温泉は湯使いが施設ごとに大きく異なる。高温の源泉かけ流しから、冷鉱泉を加温するもの、循環ろ過を併用するものまで幅がある。訪問前には各施設の公式サイトで最新の営業時間・料金・湯使いを確認しておくとよい。奥久慈エリアは公共交通の便が限られるため、複数施設を回るならレンタカーでの周遊が現実的だ。堀川温泉は冬季(12月〜3月)が休業期間にあたるため、訪問時期にも注意したい。
※本記事に掲載している情報(入浴料金・営業時間・泉質データ等)は、リサーチ時点の情報をもとに作成しています。誤りや変更が生じている可能性もあります。最新の情報については、各施設の公式サイトや観光協会等でご確認ください。









