静岡県の温泉 完全ガイド|泊まれる名湯9選

静岡県の温泉は、伊豆半島と南アルプス南麓という、成り立ちのまったく違う2つの山域に分かれている。太平洋に突き出した伊豆半島には一軒宿クラスの小さな湯が数多く点在する。安倍川や大井川をさかのぼった南アルプスの谷筋には、道の細さがそのまま静けさに直結するような山あいの湯が待っている。

ここでは、宿泊可否・泉質・源泉かけ流しの別までデータで確認できた宿9軒を、伊豆エリアと南アルプス南麓エリアの順に並べた。施設ごとの数値は、見出し直下の個票ページに集約してある。県内では合計18件の温泉個票を公開している。より到達が難しい名湯10湯は別記事「静岡県の秘湯10選」にまとめた。本記事とは掲載施設をできるだけ重複させていない。

この記事でわかること

  • 伊豆半島と南アルプス南麓で、温泉の性格がなぜこれほど違うのか
  • 修善寺・湯ヶ島・梅ヶ島・寸又峡という主要な温泉地の特徴
  • 泊まれる温泉宿9軒と、泉質データを載せた個票ページの入口
  • 熱海・伊東など、本サイトに個票が無い大規模温泉地との違い

静岡に温泉が多い理由——衝突した半島と、深く巡る山の水

静岡県の温泉は、大きく2つの成り立ちに分かれる。

一つは伊豆半島側の湯である。伊豆半島は、かつて本州とは別の海底火山群島としてフィリピン海プレートの上を北上した地塊である。数十万年前に本州へ衝突して現在の姿になったとされる。県内でも有数の火山地帯として知られ、この地質を背景に半島各所の谷筋に小規模な源泉が数多く分布している。本記事で取り上げる河内温泉 金谷旅館の源泉は49.8℃・pH7.7の低張性の単純温泉である。伊豆半島の付け根に湧く伊豆畑毛温泉 誠山はpH8.7のアルカリ性単純温泉である。いずれも硫黄分を含まない無色透明の柔らかい湯だ。

もう一つは、安倍川や大井川をさかのぼった南アルプス南麓の谷に湧く湯である。梅ヶ島温泉や寸又峡温泉、接岨峡温泉がこれにあたる。伊豆のような火山性ではなく、地下深くを長い時間をかけて巡った水が湧き出すタイプの湯とされる。ただし同じ南アルプス南麓でも泉質は一様ではない。梅ヶ島温泉 おもいでの宿 湯の島館はpH9.2、寸又峡温泉 光山荘はpH9.1で、いずれも強いアルカリ性の単純硫黄泉である。一方、接岨峡温泉 たぶの家は硫黄分を含まないナトリウム-炭酸水素塩泉で、pH8.4、21℃という低温の源泉を加温して供給している。

同じ静岡県内で、pH7.6〜8.7で硫黄分を含まない伊豆側の湯と、pH9台の南アルプス側の湯が両方選べる。南アルプス側でも梅ヶ島温泉・寸又峡温泉は硫黄泉、接岨峡温泉は非硫黄泉と、同じ地域内で泉質が分かれるのも面白い。

静岡の主要な温泉地——修善寺・湯ヶ島・梅ヶ島・寸又峡

修善寺温泉(伊豆市)

弘法大師ゆかりの修禅寺と、川中に湧く独鈷の湯を中心に発展した温泉地。竹林の小径など散策路が整い、明治期創業の宿が今も営業を続けている。伊豆半島観光の起点として、初めて静岡の温泉を訪ねるならまず名前が挙がる土地である。

湯ヶ島温泉(伊豆市)

狩野川沿いに広がる、天城山麓の温泉地。川端康成の『伊豆の踊子』の舞台としても知られ、修善寺から天城峠へ向かう道筋にある。カルシウム-硫酸塩泉の宿が点在し、渓流沿いの静かな時間が流れる。

吉奈温泉・船原温泉・河内温泉(伊豆市・下田市)

船原温泉と河内温泉はそれぞれ一軒宿の温泉地で、伊豆半島の中でも比較的知られていない湯どころにあたる。吉奈温泉は天城連山の北麓を流れる吉奈川のほとりに広がる小さな温泉地で、御宿 さか屋はその中心に建つ老舗宿である。船原温泉は修善寺から土肥へ抜ける国道136号沿いに、河内温泉は下田市街から少し内陸に入った里山にそれぞれ湧く。共通するのは、観光地としての規模より湯そのものを目当てに通う客が多いという点である。

梅ヶ島温泉(静岡市葵区)

安倍川をひたすら遡った終点近く、南アルプス南端の山峡に湧く温泉郷。開湯およそ1700年と伝わり、武田信玄の隠し湯としても語り継がれてきた。単純硫黄泉のアルカリ性が高く、美肌の湯として知られる。

寸又峡温泉・接岨峡温泉(川根本町)

南アルプスの谷に沿った温泉地。寸又峡温泉は「夢のつり橋」で知られる観光地でもあり、大井川本線の終点・千頭駅から大鉄バス寸又峡線で約40分。接岨峡温泉はさらに山深く、千頭から大井川鐵道井川線に乗り継いだ接岨峡温泉駅から徒歩約8分で着く。大井川本線は台風被害により一部区間が不通で、区間によっては代行バスへの乗り継ぎが必要になる。いずれも公共交通の便数が少なく、訪問前に大井川鐵道公式サイトで運行状況を確認したい。

伊豆畑毛温泉(田方郡函南町)

伊豆半島の付け根、函南町に湧くアルカリ性単純温泉。伊豆の玄関口にあたる立地で、東京方面からのアクセスが比較的よい。

伊豆半島にはこのほか、熱海・伊東・稲取・伊豆長岡・熱川という、伊豆を代表する大規模な温泉地もある。熱海温泉は源泉総数が500を超え、総湧出量は毎分約20,000リットルに迫る。平均源泉温度は約63℃で、9割が42℃以上の高温泉である(熱海市公式サイトによる)。ただし、これらの温泉地の宿は本サイトには現時点で個票の登録がなく、本記事でも個別には取り上げていない。

掲載した9軒の選び方

観光施設としての規模ではなく、湯のデータで選んだ。条件は3つある。

  1. 宿泊できること(日帰り専用の浴場は本記事には含めていない)
  2. 泉質・源泉かけ流しの別・加水加温の有無が、施設ごとの個票ページで確認できること
  3. 静岡の秘湯記事(後述)に既に掲載している宿とできるだけ重複させないこと

結果として、9軒のうち7軒が源泉かけ流し(加温を含む)である。修善寺温泉 新井旅館は一部の浴槽のみかけ流しで、全浴場で循環ろ過を併用し季節によっては加水も行う。接岨峡温泉 たぶの家は21℃の源泉を加温して供給しており、かけ流しか循環かの詳細は公表されていない。pHは吉奈温泉 御宿 さか屋の7.6から梅ヶ島温泉 おもいでの宿 湯の島館の9.2まで幅がある。湯ヶ島温泉 湯本館はpHが未登録のため対象外とした。


1. 河内温泉 金谷旅館(静岡県下田市)

伊豆半島の南端、下田の市街地から少し内陸に入った河内(こうち)の集落に、慶応3年(1867年)創業の一軒宿・金谷旅館がある。江戸幕府が倒れる前年に暖簾を掲げて以来、金谷山の麓から湧く湯を守り続けてきた宿である。ペリー来航で開かれた港町・下田の歴史とほぼ歩みをともにしてきた宿でありながら、周囲は静かな里山で、観光地の喧騒とは無縁の落ち着いた時間が流れている。伊豆急行線・蓮台寺駅から歩いて4分ほどという立地は、秘湯を名乗る宿としてはきわめて例外的な近さだ。 金谷旅館の湯を支えているのは、金谷山の麓に持つ2本の自家源泉である。館内に掲示された温泉分析書によれば、河内5号源泉と下湯原源泉の混合泉が49.8℃・pH7.7、河内5号源泉と金谷温泉の混合泉が36.2℃・pH7.6。いずれも低張性・弱アルカリ性・緩和性の単純温泉で、無色透明、やわらかく肌に馴染む湯である。特筆すべきは、加温も加水も循環ろ過も塩素消毒も一切行わない、全浴槽100パーセントの源泉かけ流しという点だ。高温源泉とぬる湯源泉の2本を持つからこそ成立する贅沢な湯づかいで、湯船は場所によって熱めからぬる湯まで温度が分かれ、なかには35℃前後の長湯向きの一角もある。 この宿を全国区の存在にしているのが、総檜造りの大浴場「千人風呂」である。公式サイトによれば奥行約20メートル、幅約5メートル。最も深いところで約1メートルあり、立ったまま腰から胸まで湯に浸かれるほどの水深だ。壁も天井も檜で覆われた空間はプールのような開放感で、木造の大浴場としては国内最大級とされる。大正期に生まれた構想を受け継ぎ、平成14年には全面的に檜造りへと改修された。基本は混浴だが、女性用の入口が別に設けられ、湯浴み着やバスタオルを着用して入浴できる配慮がなされている。女性専用には総ヒバ造りで4つの湯船を持つ「万葉の湯」があり、こちらも木造の女性用浴場としては国内屈指の規模だ。さらに明治後期に建てられた宿最古の浴室を使う貸切風呂「一銭湯」、打たせ湯と泡風呂を備えた男女別の露天風呂まで揃う。 日帰り入浴は9時から22時(最終受付21時)、大人1,000円・小学生500円・小学生未満300円で、滞在は2時間まで。年中無休だが、平日の午前中は清掃にあたる場合があるため、事前に電話で確認しておくと確実だ。無料駐車場は約40〜50台分。宿泊すれば、これらの湯をすべて24時間好きなときに味わえる。伊豆急下田駅からタクシーで10分、車なら東名・沼津ICから天城越えで約1時間50分。下田の海と幕末史跡めぐりを組み合わせ、締めくくりに檜の大風呂でゆっくり体をほどく——そんな一日の組み立てがよく似合う宿である。
泉質
単純温泉
温度
36.249.8
供給
源泉かけ流し
加温
加温なし
pH値
pH 7.7
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 /日帰り
入浴料
大人 1000/子供 500
営業時間
09:00 - 22:00
詳細ページを見る

2. 吉奈温泉 御宿 さか屋(静岡県伊豆市)

伊豆半島の中央、修善寺から天城越えへ向かう国道414号を折れて山あいに入ると、吉奈川に沿ってわずか数軒の宿が身を寄せる小さな温泉地に出る。吉奈温泉である。西暦724年に建てられた古刹・善名寺の寺社縁起にはすでに温泉の記載があり、これをもって吉奈は「伊豆最古の湯」と呼ばれてきた。その中心にあるのが御宿さか屋だ。もとは造り酒屋で、安土桃山時代の中期、徳川家康の側室お万の方がこの地に湯治に訪れた際の寄り処となった。お万の方はここで二人の男児を授かり、その子らはのちに紀州徳川家と水戸徳川家の初代となる。以来この湯は「霊泉〜子宝の湯」として江戸時代に全国的な名声を得た。さか屋が宿を始めたのも江戸期のことで、造り酒屋の代から数えれば五百余年、現在の館主で25代目を数える。 さか屋の値打ちは、湯の扱い方に集約される。加温なし、加水なし、循環ろ過なし、そして塩素消毒なし。この四つを同時に満たす宿は静岡県下でも数えるほどしかない。それを可能にしているのが源泉の構成である。吉奈温泉はもともと湯温の低いぬる湯だが、さか屋は大湯・花沢・煤垣という3本の源泉を持ち、45.3℃・47.0℃・65.5℃という異なる温度の湯を、注入量の加減だけで混ぜて適温をつくり出している。合計湧出量は毎分425リットル。点在する源泉から旧共同湯とさか屋を中心に円を描くように配湯管を巡らせるという、全国でも珍しい方式だ。泉質は単純温泉、公式の表示は「弱アルカリ単純泉」でpH7.6。無味無臭の無色透明で、いかにも成分が濃そうな見た目ではないが、肌に触れた瞬間のやわらかさは明確に違う。25代目館主自身が湯守を務め、毎日換水するという手間が、この鮮度を支えている。 浴場は6つあり、それぞれ性格がまったく違う。大浴場のひとつ「お万さん風呂」は檜の湯船に伊豆石の床、肩までしっかり浸かる深めの造りで、緑の山並みが望める。もうひとつの「太郎さん風呂」は岡本太郎がデザインしたものだ。さか屋は50年にわたり太郎の常宿で、「僕も何か作ってあげようか」の一言から生まれたという曲線的な湯船は、不思議と身体にフィットする。露天は天城の山並みを望む半屋根付きの「オリオン座風呂」と、樹齢200年の白藤の下に据えたつげ材の「白藤の湯」。加えて造り酒屋の記憶をとどめる「酒樽の湯」と檜の「子宝の湯」という貸切露天が2つあり、予約不要・無料・24時間、空いていれば自由に使える。大浴場は朝夕で男女が入れ替わるので、滞在中に計画的に回れば6湯すべてに入ることができる。館内には茶室「養珠庵」や岡本太郎ギャラリー、遠州流の日本庭園も残り、3.6ヘクタールの敷地そのものが見どころになっている。 注意しておきたいのは、さか屋が日帰り入浴を行っていないことだ。一部の温泉情報サイトには日帰りの時間が載っているが、公式サイトに案内はなく、宿に問い合わせた利用者も断られている。この湯に浸かるには泊まるしかない。宿泊は全23室、うち4室が露天風呂付の特別室で、1泊2食付17,990円あたりが目安となる。アクセスは、東京から特急踊り子号で修善寺駅まで乗り換えなしの約2時間、そこから東海バス5番線で20分の「吉奈温泉入口」下車。バス停から宿までは約1km、電話をすれば送迎に来てくれるが、晴れた日なら川沿いを15分歩くのも悪くない。狙い目は白藤が咲く5月と、露天から色づく山が見える11月。伊豆では源泉かけ流しの紅葉露天そのものが希少で、この時期の「白藤の湯」は特に人気が高い。浄蓮の滝や天城峠、修善寺温泉街と組み合わせれば、伊豆の古い層をたどる旅になる。
泉質
単純温泉
温度
45.365.5
供給
源泉かけ流し
加温
加温なし
pH値
pH 7.6
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 /日帰り 不可
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3. 湯ヶ島温泉 湯本館(静岡県伊豆市)

伊豆半島の中央、天城山の北麓を流れる狩野川のほとりに湯ヶ島温泉はある。その渓流沿いに、時が止まったように静かに佇むのが「川端の宿」湯本館である。この宿の名を不朽のものにしたのは、若き日の川端康成だ。大正11年(1922年)、二十代前半の川端はこの宿の四畳半に籠もり、伊豆を旅した学生時代の体験をもとに名作『伊豆の踊子』を書き上げた。彼が滞在した部屋は今も「川端の間」として当時のまま残され、文学ファンが全国から足を運ぶ。 湯本館の湯は、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉である。源泉温度は約45℃と入浴に程よく、無色透明でやわらかな肌ざわりが心地よい。加水も加温もしない源泉かけ流しで供され、硫酸塩泉ならではの落ち着いた湯あたりが体の芯までじんわりと温める。派手さはないが、山あいの秘湯らしい滋味に満ちた湯である。 浴場は、男女入替制の大浴場に加え、入替制の露天風呂と貸切露天風呂を備える。とりわけ露天風呂は狩野川の川面すれすれに設えられ、せせらぎと木々の緑に包まれながら湯に身を沈める時間は格別だ。木造の館内には昭和の面影が色濃く残り、廊下を歩くだけで往時の文人たちの気配が漂う。夕餉には天城の山の幸や川の恵みを生かした料理が供され、静かな一夜を彩る。 日帰り入浴は12:00から14:30まで、大人1,000円・子供500円で楽しめ、貸切風呂は30分1,000円で利用できる。宿泊は1泊2食付でおおむね18,850円から。アクセスは東名沼津ICから車で約50分、あるいは伊豆箱根鉄道修善寺駅からバスで約35分と、伊豆の玄関口からも訪れやすい。新緑の頃、そして紅葉に染まる秋、狩野川の四季とともに文豪ゆかりの湯を味わいたい一軒である。
泉質
カルシウム-硫酸塩泉
供給
源泉かけ流し
加温
加温なし
利用
宿泊 /日帰り
入浴料
大人 1000/子供 500
営業時間
12:00 - 14:30
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4. 修善寺温泉 新井旅館(静岡県伊豆市)

修善寺温泉 新井旅館は、明治5年(1872年)に創業した伊豆・修善寺を代表する老舗旅館である。弘法大師ゆかりの修禅寺や、川中に湧く独鈷の湯にほど近い温泉街の中心に位置し、修善寺川のせせらぎとともに150年余りの歳月を刻んできた。敷地内に点在する木造建築15棟は1998年に国の登録有形文化財となり、館全体が保存されている。大正から昭和にかけては芥川龍之介が逗留し、岡本綺堂は代表作『修禅寺物語』をこの宿で書き上げた。日本画の巨匠・安田靫彦をはじめ、多くの文人・画家が集った文化の宿としての歴史を持つ。 湯は伊豆に多いアルカリ性単純温泉で、pHは8.5。無色透明でやわらかな肌触りが特徴の、癖のない優しい湯である。ただし新井旅館の湯使いには正確な理解が必要で、公式の浴場案内は全ての浴場で循環ろ過を併用していることを明記している。源泉かけ流しとして楽しめるのは一部の浴槽に限られ、高温の源泉を適温に保つため季節によっては加水も行われる。いわゆる「100%源泉かけ流し」を掲げる宿ではなく、文化財建築と温泉文化を静かに味わう宿として捉えるのがふさわしい。 新井旅館の象徴が、総檜造りの大浴場「天平大浴堂」である。歴史画家・安田靫彦の設計により昭和9年(1934年)に完成したもので、奈良天平期の様式を思わせる格天井と檜の香りに包まれる空間は見応えがある。窓の外の池を泳ぐ鯉を眺めながら湯に浸かる趣向も、この宿ならではの美意識を伝える。ほかに木漏れ日の差す野天風呂や、静かに寛げる貸切風呂を備える。宿泊者向けには文化財建築をめぐるガイドツアー(500円)も用意され、建築と美術に親しみながら滞在できる。 日帰り入浴は大人2,500円(税別)、11:30〜14:00の利用が目安だが、時期により実施されないこともあるため事前確認が望ましい。宿泊は1泊2食付きで1名あたりおよそ35,000円からで、季節の会席料理が供される。アクセスは伊豆箱根鉄道修善寺駅からバスで約10分、またはタクシーで約7分。温泉組合の規定により旅館の送迎はないため、路線バスかタクシーを利用する。新緑や紅葉の季節はとりわけ美しく、竹林の小径や修禅寺など修善寺温泉の風情ある散策と合わせて訪れたい。
泉質
アルカリ性単純温泉
供給
一部かけ流し
pH値
pH 8.5
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 /日帰り
入浴料
大人 2500/子供 ---
営業時間
11:30 - 14:00
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5. 船原温泉 船原館(静岡県伊豆市)

修善寺から土肥へ、天城の山ふところを西へ抜ける国道136号。その途中、船原川の渓流に寄り添うように一軒宿が建っている。船原温泉 船原館である。船原温泉そのものは古く、江戸時代には甲の湯・乙の湯と呼ばれる二つの湯があり、源頼朝も浸かったと語り継がれてきた。現在の船原館は昭和33年(1958年)、先代が旅館として開いたもので、以来60年以上を家族で守り続けている。宿が自らに与えた名は「ものわすれの湯」。俗事を忘れて湯に沈む、それだけを目的にして来てほしいという意思表示である。 この宿の価値は、湯そのものの扱い方にある。自家源泉の湧出量は毎分150リットル、源泉温度は45.6℃。この45℃台という数字が決定的で、そのまま浴槽に入れて心地よい温度になるため、加温も加水も一切必要がない。循環ろ過もせず、塩素消毒もしない。泉質は単純温泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)、pH8.0。派手な色も匂いもないが、弱アルカリ性らしいとろりとした肌ざわりがあり、湯上がりに肌がしっとりと張る。さらに船原館は、源泉を空気に触れさせないまま配管し、浴槽の底から静かに注ぎ込む方式を採っている。湯が酸化して痩せる前に体に届ける——この一手間が、純温泉協会から最上位の「純温泉A」認定を受けている理由である。 浴場は三つ。内湯と露天からなる「山の湯」、渓流に面した小ぶりな「川の湯」、そして名物の立ち湯だ。この立ち湯は水深1.2メートルという常識外れの深さを持ち、大人が立ったまま肩まで浸かれる。湯温は体温に近いぬるさに保たれており、熱くないので何十分でも入っていられる。足が底に着いたまま、体だけが軽く浮く感覚は、寝湯とも露天とも違う独特のものだ。ここでは水中で体をほぐすアメリカ発祥の療法「ワッツ」と、伊豆の「天城流湯治法」を組み合わせた施術も受けられる。立ち湯は1組45分の貸切制で、宿泊者は無料で利用できる。 宿泊は全14室、1泊2食付10,500円から。夕食は囲炉裏を囲んでの炭火焼き「お狩場焼き」で、猪鍋や川魚が並ぶ。館内には卓球台や地元ゆかりの資料を集めた「原人ぎゃらりぃ」が残り、昭和の湯宿の空気がそのまま保存されている。日帰り入浴も可能で、12時から15時、大人800円(立ち湯体験付きは1,500円)。ただし不定休のため必ず事前に電話で確認したい。修善寺駅から東海バスで20分、バス停の目の前という好アクセスながら、渓流の音しか聞こえない静けさがある。浄蓮の滝や天城越えの観光と組み合わせるなら、混雑を避けられる平日の午後が狙い目である。
泉質
単純温泉
温度
3545
供給
源泉かけ流し
加温
加温なし
pH値
pH 8
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 /日帰り
入浴料
大人 800/子供 400
営業時間
12:00 - 15:00
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6. 伊豆畑毛温泉 誠山(静岡県田方郡函南町)

箱根外輪山の南西麓、伊豆の玄関口にあたる函南町の田園地帯に、畑毛温泉は静かに湧いている。湯治の記録は400年以上前まで遡り、江戸時代には湯敷小屋で怪我人が療養したという記録が残る。源頼朝が軍馬の疲れを癒したという言い伝えもあり、歌人・若山牧水はこの地の湯を歌に詠んだ。昭和37年(1962年)には、畑毛温泉は隣の奈古谷温泉とともに国民保養温泉地の指定を受けている。全国約3,000の温泉地のうち指定はいまも80か所ほどにすぎず、療養地としての評価がいかに古くから定まっていたかが分かる。誠山はこの温泉地の一軒で、明治21年(1888年)創業の「琴景舎」を源流に持ち、高橋館、高橋別館と名を変えながら湯治宿を営み、平成30年(2018年)の大改修を経て現在の姿になった。 泉質はアルカリ性単純温泉、pH8.7、源泉温度は約30℃。無色透明で無味無臭、肌に触れると角が取れたように柔らかい湯である。30℃という数字は温泉法上かろうじて温泉に届く温度で、湯船に入った瞬間は「ぬるい」というより「冷たい」に近い。しかしこのぬるさこそが畑毛温泉が「ぬる湯の霊泉」と呼ばれてきた理由で、体温を上げすぎないまま長時間浸かることで、心拍や血圧に負担をかけずに体を整える。誠山の内湯は3槽に分かれ、左手のいちばん広い浴槽が源泉そのままの30℃前後、中央が体温に近い35℃前後、右手が42℃前後に加温されている。3槽すべてが同じ源泉で、30℃槽は加温も加水もしないかけ流しである。 入り方には作法がある。まず42℃の湯で体を温め、次に30℃のぬる湯へ移り、寒くなってきたらまた温かい湯へ戻る。この交互浴を繰り返すうちに、体の芯だけが静かに温まり、湯上がりの汗が引くのが遅くなる。1時間、2時間と浸かり続ける常連が珍しくないのはそのためだ。内湯のほかに竹林に囲まれた露天風呂があり、こちらは季節によって湯温が変えられ、取材記事では春に41℃前後、夏は35℃前後とされている。おむつの必要な子ども連れや、静かに入りたい人のために、予約制の個室風呂(1時間3,000円)も用意されている。 日帰り入浴は9時から最終受付20時まで受け付けており、平日2時間700円、3時間870円、1日1,000円(12歳以上に課される入湯税150円込)。土日祝は各100円増となる。ぬる湯は短時間では効果が実感しにくいので、初めてなら3時間券以上を選びたい。館内のカフェレストラン「久遠」は白龍(パイロン)餃子で知られ、利用すると入浴料が100円引きになる。宿泊は1泊2食付11,000円〜で、3泊4日30,000円、5泊6日45,000円という湯治連泊プランもある。宿泊客優先のため繁忙期は入場制限がかかることがあり、事前に電話で確認しておくと確実である。伊豆縦貫自動車道の大場・函南ICから約10分、JR函南駅からは伊豆箱根バス「大場循環(畑毛温泉行)」で約26分と、伊豆観光の行き帰りに立ち寄りやすい立地も心強い。
泉質
アルカリ性単純温泉
温度
3042
供給
源泉かけ流し
加温
加温あり
pH値
pH 8.7
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 /日帰り
入浴料
大人 700/子供 ---
営業時間
09:00 - 20:00
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7. 梅ヶ島温泉 おもいでの宿 湯の島館(静岡県静岡市葵区)

安倍川をひたすら遡り、対岸の山肌が迫ってくるあたりで道は細くなる。その終点近く、静岡市葵区梅ヶ島に湧くのが開湯およそ1700年と伝わる梅ヶ島温泉である。応神天皇の時代に発見されたという伝承を持ち、金鉱で栄えた山里に湧いたことから「黄金の湯」とも呼ばれた。戦国期には武田信玄が金山とともに湯を押さえ、傷ついた兵を癒す隠し湯としたと語り継がれ、江戸期には徳川家康や幕府の庇護を受け、幕末には勝海舟や山岡鉄舟も足を運んだという。そんな温泉郷のもっとも奥、南アルプス南端の山峡にひっそりと建つのが、全6室の「おもいでの宿 湯の島館」である。 湯は単純硫黄泉。pHは9.2という高いアルカリ性で、湯船に身を沈めた瞬間に肌がぬるりと滑る。無色透明の湯からはほのかに硫黄が香り、湯上がりには肌がしっとりと落ち着く。2024年の温泉総選挙・美肌部門で中部地区1位に選ばれた梅ヶ島の湯は、まさに天然の化粧水と呼ぶにふさわしい。源泉温度は39度前後と低いため、静岡市が管理する共同源泉から引いた湯を温度調整のためだけに加温し、加水も循環も行わずにそのまま浴槽へ注いでいる。手を加えるのは温度だけ、という潔い使い方である。 この宿の看板は「風林火山の湯」と名づけられた4つの貸切風呂だ。武田信玄の旗印にちなみ、畳敷きの床に鉄の五右衛門風呂を据えた「風の湯」、檜の香りに満たされた「林の湯」、囲炉裏を配した「火の湯」、岩を組み上げ淡い光が揺れる洞窟風呂「山の湯」と、四つがまったく違う表情を持つ。宿泊者はいずれも追加料金なしで、朝6時から10時、午後2時から夜11時までのあいだに1回1時間まで独占できる。6室しかない小さな宿だからこそ成立する贅沢であり、湯を待つ行列とも他人の視線とも無縁である。客室は2023年に和モダンへ改装され、食事は駿河軍鶏や安倍わさびといった地元の山の幸を組み立てた創作料理。冬にはしし鍋のプランも登場する。 宿泊は1泊2食付きで12,000円から19,000円ほど、これに入湯税150円が加わる。チェックインは14時から18時、チェックアウトは10時30分。アクセスは新東名の新静岡ICから県道29号・安倍街道を北上して約50分、公共交通機関ならJR静岡駅からしずてつジャストラインのバスで約1時間50分、「梅ヶ島温泉入口」下車すぐだが、便数が限られるため時刻表の確認は欠かせない。事前連絡があれば送迎にも応じてくれる。新緑と安倍の大滝が映える初夏、山全体が染まる10月下旬から11月の紅葉が特におすすめで、冬季は路面凍結に備えたい。日帰り入浴も受け付けているものの料金・時間は公表されていないため、立ち寄りを考えるなら必ず電話で確認してから向かうこと。
泉質
単純硫黄泉
温度
3840
供給
源泉かけ流し
加温
加温あり
pH値
pH 9.2
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 /日帰り
入浴料
大人 ---/子供 ---
営業時間
24時間営業
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8. 接岨峡温泉 たぶの家(静岡県榛原郡川根本町)

大井川の最上流、川根本町の北端に刻まれた峡谷が接岨峡である。両岸から迫る急峻な山肌と、その底を流れる大井川。人家はわずかで、集落を貫くのは大井川鐵道井川線(南アルプスあぷとライン)の細いレールだけという、静岡県内でも指折りの秘境だ。この地に湯が湧いたのは意外にも新しく、昭和51年(1976年)に始まった調査を受けて昭和53年(1978年)3月に掘削が開始され、深度1,300メートルで毎分約100リットルの重曹泉を掘り当てたのが始まりである。昭和55年(1980年)に配湯設備が整い、以来わずか数軒の宿と町営の日帰り施設が湯を分け合ってきた。たぶの家は、その接岨峡温泉に佇む全5室の小さな民宿である。 接岨峡温泉の泉質はナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉。硫黄分をまったく含まない純粋な重曹泉で、これは全国的にも数が少ない。pHは8.4の弱アルカリ性、源泉温度は約21℃と低く、湯船では加温して用いられる。無色透明・無臭でありながら、肌に触れた瞬間にぬるりと滑るような感触があり、湯上がりには皮膚がなめらかになる。重曹の作用が皮膚の分泌を促し古い角質や老廃物を洗い流すためで、地元ではこの働きを指して古くから「若返りの湯」と呼びならわしてきた。神経痛や筋肉痛、関節痛、冷え性、慢性消化器病、皮膚乾燥症などに適応するとされる。 たぶの家の浴室は、接岨峡温泉を引いた家族風呂が2か所。扉に札を掛けて貸切で使う素朴な方式で、大浴場のにぎわいとは無縁の、湯と自分だけの時間が流れる。客室はツイン3室と和室2室の計5室、定員は12名。館内には囲炉裏を据えた食堂があり、夕食では山菜、炭火でじっくり焼き上げた川魚の塩焼き、季節によっては鹿刺しや猪鍋といったジビエまで、奥大井の山が育てたものが並ぶ。じゃらんの口コミでは夕食4.8・朝食4.7と料理の評価がとりわけ高く、宿の性格をよく表している。 訪ねるうえで最も注意したいのがアクセスである。大井川本線は2022年の台風被害で川根温泉笹間渡〜千頭間が今も不通となっており、鉄道で向かう場合は家山駅で川根本町町営バスに乗り換えて千頭へ出る必要がある。さらに井川線は2026年7月1日から観光列車として生まれ変わり、ほぼ全列車が事前予約制、乗車区間にかかわらず大人3,500円の旅行代金となった。予約なしで普通運賃のまま乗れるのは、千頭14時35分発の下り最終と接岨峡温泉10時45分発の上り初列車の1往復だけである。車なら新東名「島田金谷IC」から国道473号・県道388号で約100分、宿の駐車場は無料で予約もいらない。新緑と紅葉の季節が最も美しいが、いずれの時期も予約は早めに。日帰り入浴は行っていないため、湯を味わうには泊まるほかない。
泉質
ナトリウム-炭酸水素塩泉
温度
2121
湧出
動力揚湯
加温
加温あり
pH値
pH 8.4
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 /日帰り 不可
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9. 寸又峡温泉 光山荘(静岡県榛原郡川根本町)

寸又峡温泉は、南アルプス南端の大井川支流・寸又川が刻んだ深い峡谷に湧く。昭和32年(1957年)に源泉が掘り当てられて開かれた比較的新しい温泉地で、それ以前は森林鉄道が木材を運び出すだけの山峡だった。その温泉街の中程に、昭和38年(1963年)から静かに灯りをともし続けているのが光山荘である。読みは「てかりさんそう」。屋号は温泉地の奥にそびえる南アルプスの光岳(てかりだけ、標高2,592m)に由来する。全10室、家族で切り盛りする木造の小宿で、団体客を追わずに来た人だけを丁寧に迎える構えを崩していない。 湯は単純硫黄泉。源泉温度43.0℃、pH9.1のアルカリ性で、成分総計は635.6mg/kgと決して濃厚な数値ではないが、湯口に鼻を寄せればはっきりと硫黄が香る。寸又峡温泉一帯の湯は肌をなめらかにすることから「美女づくりの湯」と呼ばれるが、光山荘のそれは同じ温泉街のなかでも一、二を争う濃さと評される。理由は源泉の取り方にある。温泉街から4kmほど離れた山中の湧出地から引き湯しており、長い配管を経る分だけ加温は避けられないものの、加水も循環ろ過も消毒もしない源泉かけ流しを貫いている。湯船には綿状の灰色の湯の花が大量に舞い、底に沈殿するほどだ。肌に触れると明確なぬめりがあり、上がったあとの手ざわりが変わる。 浴室は男女別の内湯がひとつずつ。露天風呂はない。しかしこの内湯こそが光山荘の見どころで、天井の高い堂宇のような空間に、泳げそうなほど大きな湯船がひとつ据えられている。装飾はほとんどなく、湯と木と湯気だけがある。宿泊すれば朝から夜まで、この広い湯を独り占めに近い状態で使える時間帯が必ずある。食事は山菜や川魚など地元の素材を使った手作りの会席で、猪や鹿のジビエが出ることもある。寸又峡温泉で唯一バイク旅を歓迎する宿としても知られ、ライダー向けのプランを用意している。 訪ねるうえで注意したいのが交通である。2022年の台風被害で大井川鐵道大井川本線の川根温泉笹間渡〜千頭間が不通のままで、公共交通で向かうならJR金谷駅から家山駅まで鉄道、家山駅から千頭駅までは川根本町町営バスの代行輸送(1日6便)、さらに千頭駅から大鉄バス寸又峡線で約40分という乗り継ぎになる。全線復旧は2029年頃が目標とされており、訪問前に大井川鐵道の公式情報を必ず確認したい。車なら新東名・島田金谷ICから約1時間40分、宿の無料駐車場は60台と余裕がある。日帰り入浴は大人500円・小人400円で14:00〜17:00(夏期は11:00〜)だが、宿泊優先で受け入れられない日もあるため事前の電話連絡が必須である。紅葉が寸又峡を染める11月中旬から下旬と、新緑の5月が最も美しい。支払いは現金のみである点も覚えておきたい。
泉質
単純硫黄泉
温度
4043
供給
源泉かけ流し
加温
加温あり
pH値
pH 9.1
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 /日帰り
入浴料
大人 500/子供 400
営業時間
14:00 - 17:00
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もっと山深い湯へ——静岡の秘湯を巡る

本記事は「泊まれること」と「秘湯記事との重複を抑えること」を条件にした。そのため、南アルプス最奥の一軒宿や、下田・南伊豆の隠れた名湯の多くは別記事に譲った。静岡の秘湯10選では、修善寺温泉 新井旅館や湯ヶ島温泉 湯本館を含む、より到達しにくい湯を取り上げている。観音温泉、沢田公園露天風呂、南アルプス赤石温泉 白樺荘などである。

静岡県の秘湯10選——伊豆から南アルプスの源流へ

隣県の湯へ

静岡県は神奈川・山梨・長野の3県と接している。伊豆半島から箱根を越えれば神奈川県、南アルプス南麓からさらに北へ向かえば山梨県・長野県の山域が続く。県境をまたいで動くなら、隣県のガイドも参考にしたい。

【秘湯】神奈川県の秘湯・名湯 8選 — 箱根の古湯から丹沢の美人湯まで、知られざる名泉を巡る

【秘湯】山梨県の秘湯10選|南アルプスの秘境から信玄の隠し湯まで

長野県の温泉 完全ガイド|湯宿と外湯20選

総まとめ——静岡の湯めぐりの組み立て方

伊豆半島と南アルプス南麓は距離が離れており、一度の旅で両方を回ろうとすると移動だけで日が暮れる。エリアを一つに絞りたい。

【伊豆南部・下田】 伊豆急下田駅が起点になる。河内温泉 金谷旅館は駅から約10分の立地で、伊豆急行線・蓮台寺駅からは徒歩でも着ける。下田の海と幕末史跡めぐりと組み合わせやすい。

【伊豆中央・修善寺〜湯ヶ島】 伊豆箱根鉄道の修善寺駅が起点。修善寺温泉 新井旅館は駅からバスかタクシーで約10分。湯ヶ島温泉 湯本館・吉奈温泉 御宿 さか屋・船原温泉 船原館はいずれも修善寺からさらに山側に入る。宿同士の移動は車での移動が基本になる。

【伊豆の玄関口・函南】 伊豆畑毛温泉 誠山は、伊豆の付け根にあたる函南町にあり、東京方面からのアクセスが比較的よい。伊豆を周遊する前後の一泊にも向く。

【静岡市奥地・梅ヶ島】 新東名の新静岡ICから県道27号・29号(安倍街道)を安倍川沿いに北上して約50分。JR静岡駅からバスも出ているが便数が限られるため、時刻表の確認が欠かせない。

【南アルプス南麓・寸又峡〜接岨峡】 大井川鐵道の千頭駅がアクセスの起点になる。ただし本線の一部区間が不通のため、鉄道で向かう場合は家山駅でのバス乗り継ぎが必要になる。寸又峡温泉 光山荘へは千頭駅から大鉄バス寸又峡線で約40分。接岨峡温泉 たぶの家へは千頭から井川線に乗り継いだ接岨峡温泉駅から徒歩約8分。いずれも公共交通の便数が少なく、訪問前に大井川鐵道公式サイトで運行状況を確認したい。

季節については、山間部の露天風呂は晩秋から冬にかけて湯気が立ち、最も気持ちよい。ただし南アルプス南麓側の道路は冬季の凍結に備えたい。伊豆側は年間を通じて比較的穏やかな気候で、海と温泉を組み合わせた旅にも向く。

料金・営業時間・日帰り入浴の受付可否は変わりうるため、各宿の個票ページと公式情報で最新の状態を確認してほしい。

よくある質問(FAQ)

Q. 掲載した9軒は日帰り入浴もできますか。

宿によって異なる。河内温泉 金谷旅館、伊豆畑毛温泉 誠山などは日帰り入浴を受け付けている。一方、吉奈温泉 御宿 さか屋と接岨峡温泉 たぶの家は宿泊者専用で、日帰り入浴を行っていない。接岨峡エリアで日帰り入浴をしたい場合は、町営の接岨峡温泉会館が利用できる。受付時間と休止日は変わるため、各個票ページと公式情報で確認したい。

Q. 車がなくても行けますか。

伊豆南部・中央部は公共交通で入りやすい。伊豆急下田駅、伊豆箱根鉄道の修善寺駅がそれぞれの玄関口になる。河内温泉 金谷旅館は最寄り駅から徒歩でも着ける立地だ。一方、梅ヶ島温泉はバスの便数が少ない。寸又峡温泉・接岨峡温泉は大井川鐵道で入れるものの、本線の一部区間が不通で乗り継ぎが必要なうえ便数も限られる。いずれも事前に運行情報を確認したい。

Q. 源泉かけ流しの宿はどれですか。

9軒のうち7軒が源泉かけ流し(加温を含む)である。修善寺温泉 新井旅館は一部の浴槽のみかけ流しで、全浴場で循環ろ過を併用し季節によっては加水も行う。接岨峡温泉 たぶの家は源泉を加温して供給しており、かけ流しか循環かの詳細は公表されていない。浴槽ごとに湯づかいが違う宿もあるので、詳細は各個票ページの記載を見てほしい。

Q. 熱海温泉・伊東温泉の宿は載っていますか。

本記事の9軒には含めていない。掲載は、泉質・pH・源泉かけ流しの別まで個票ページで確認できた宿に絞った。熱海・伊東・稲取・伊豆長岡・熱川といった大規模温泉地の宿は、本サイトに現時点で個票登録がない。

Q. 静岡の温泉はいつが狙い目ですか。

露天風呂の湯気が立つ晩秋から冬が、湯そのものを味わうには向く。南アルプス南麓の山間部は道路の凍結に備えたい。伊豆側は年間を通じて比較的穏やかで、海沿いの散策と組み合わせやすい。

注意事項

  • 本記事に掲載している情報(入浴料金・営業時間・泉質データ・営業期間等)は、リサーチ時点の情報をもとに作成しています。誤りや変更が生じている可能性もあります。最新の情報については、各施設の公式サイトや観光協会等でご確認ください。

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