京都府は雅な古都のイメージが強いが、北部には日本海に大きく張り出す丹後半島が広がる。この一帯は「丹後ちりめん」の産地として知られ、古くから漁業と絹織物によって栄えてきた。温泉もこの丹後半島、なかでも京丹後市に集中しており、市内には木津・夕日ヶ浦・久美浜・小浜という性格の異なる4つの温泉地が点在する。
なかでも木津温泉は、京都府最古と伝わる由緒ある湯だ。天平15年(743年)、奈良時代の高僧・行基が、傷ついた白鷺が湯で癒える姿を見て発見したとの伝説が残り、「しらさぎ温泉」の別名で呼ばれてきた。一方、隣接する夕日ヶ浦温泉は1980年前後に開削された比較的新しい温泉で、水平線に沈む夕日の美しさから「日本の夕陽百選」に選ばれている。久美浜湾に面した久美浜温泉、遠浅の八丁浜に面した小浜温泉も、それぞれ異なる海辺の表情を見せる。
今回は、この京丹後市に集中する温泉のなかから、源泉かけ流しの根拠を確認できた7か所を厳選した。京都府には奥伊根温泉をはじめ丹後半島の他エリアにも温泉があるが、今回分析対象としたのは久美浜町・網野町の海沿いに限られる。木津温泉・夕日ヶ浦温泉はそれぞれ2軒ずつ収録し、同じ源泉を分け合う宿同士の湯づかいの違いも読み取れる構成とした。
1. 蒲井温泉 いっぺん庵(京都府京丹後市久美浜町蒲井)
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
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| 09:00 - 21:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
総まとめ——丹後半島の湯を巡る前に知っておきたいこと
京丹後市の温泉は、久美浜湾岸・木津温泉郷・夕日ヶ浦温泉郷・八丁浜(小浜)の4エリアに分けて回ると計画しやすい。
【久美浜湾岸エリア】 久美浜町には対照的な2軒の宿がある。蒲井温泉いっぺん庵は、日本海を望む高台に建ち、1日7組しか泊まれない離れ形式の宿だ。自家源泉「長者の湯」はナトリウム・カルシウム塩化物泉で、うっすらと白く濁った湯を特徴とする。全7室の内湯・露天風呂に100%源泉かけ流しで供給し、日帰り入浴は受け付けていない。宿泊は1泊2食付29,160円から、蒲井浜海水浴場までは徒歩約3分である。一方、久美浜湾近くに建つ久美浜温泉湯元館は、北近畿一の広さとされる大露天風呂を持つ。最大100名が同時に入れる規模で、源泉温度51.2℃・pH8.07の高温源泉と32.0℃・pH7.97の低温源泉をブレンドし、加温・加水を一切せずに100%かけ流しを保つ。日帰り入浴は大人600円・小人200円、9:00〜21:00の営業で利用しやすい。京丹後大宮ICから車で約40分、京都丹後鉄道の小天橋駅からは送迎(要予約)を利用できる。
【木津温泉郷】 網野町木津の木津温泉は、京都府最古と伝わる湯である。源泉温度は約41℃、毎分1,400リットルという豊富な湧出量を誇るアルカリ性単純温泉が、この地に湧く。旅館金平楼は創業140年以上を数える「かにの宿」で、貸切風呂に源泉100%かけ流しの湯を注ぐ。夕日ヶ浦木津温泉駅から徒歩約1分と近く、冬の松葉ガニ料理を目当てに訪れる客が多い。木津館は全4室・1日4組限定の平屋宿で、同じ源泉を直結でかけ流す。当館まるごとの貸切にも対応し、和風庭園を望む静けさが持ち味だ。両宿とも日帰り入浴の可否は公表されておらず、訪れる前に電話で確認したい。
【夕日ヶ浦温泉郷】 網野町浜詰の夕日ヶ浦温泉は、1980年前後に地元業者が地下約950メートルまで掘削して開いた比較的新しい温泉地である。目の前に広がる夕日ヶ浦(浜詰)海岸は「日本の夕陽百選」に選ばれ、2022年の温泉総選挙・絶景部門では全国2位に輝いた。泉質はアルカリ性単純温泉で、無色透明の湯が肌をなめらかに整えることから「美人の湯」と呼ばれる。海花亭花御前は水産卸会社が直営する料理旅館で、京風数奇屋造りの客室の多くに露天風呂が付く。加水をしない自家源泉かけ流しをうたい、冬は松葉ガニの会席料理が名物だ。夕日浪漫一望館は海岸まで徒歩約30秒という波打ち際の宿で、源泉温度約42℃の湯を大浴場と予約制の貸切露天風呂で味わえる。信楽焼の展望風呂付き客室からは、水平線に沈む夕日を眺められる。両宿とも宿泊が主体で、日帰り入浴は基本的に行っていない。
【八丁浜・小浜エリア】 網野町小浜の八丁浜小浜温泉こばま荘は、遠浅の八丁浜海水浴場まで徒歩約2分という海辺に建つ割烹の宿だ。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉(低張性弱アルカリ性高温泉)で、源泉温度は50.2℃。加水・加温・循環濾過のいずれも行わない100%源泉かけ流しで、療養泉に認定された湯は飲泉も楽しめる。浴場「湯右衛門」には内湯・露天風呂・貸切風呂・足湯を備え、日帰り昼食付きのデイユースプランも用意する。夕食には丹後の地魚を使った海鮮BBQが供され、素泊まりなら4,700円からと利用しやすい。京丹後大宮ICから車で約30分、京都丹後鉄道の網野駅からは送迎(要予約)が利用できる。
7か所とも京都丹後鉄道宮豊線の沿線に位置し、京丹後大宮ICからおおむね車で30〜60分の距離にまとまっている。日帰り入浴を明確に受け付けているのは久美浜温泉湯元館と八丁浜小浜温泉こばま荘の2軒で、残る5軒は宿泊が中心のため、日帰りを希望する場合は事前に電話で確認しておきたい。旅館金平楼・木津館・こばま荘・湯元館・海花亭花御前はクレジットカードに対応しておらず、現金を用意しておくと安心だ。最寄り駅からの移動も宿によって差があり、金平楼と木津館は徒歩圏内だが、いっぺん庵・湯元館・花御前・こばま荘は送迎(いずれも要予約)の利用が前提となる。冬は松葉ガニ、夏は日本海の海水浴と、いずれの宿も季節の楽しみを料理や立地に織り込んでいる点も丹後の温泉地らしい特徴といえる。
※本記事に掲載している情報(入浴料金・営業時間・泉質データ等)は、リサーチ時点の情報をもとに作成しています。誤りや変更が生じている可能性もあります。最新の情報については、各施設の公式サイトや観光協会等でご確認ください。









