【秘湯】福岡県の秘湯・温泉10選 - 野湯から一軒宿まで

福岡県には有名な温泉地から山間の秘湯まで、多様な温泉が点在している。大分県に隣接する筑後地方を中心に、美肌の湯として知られる温泉や、歴史ある共同浴場など、個性豊かな温泉が旅人を迎えてくれる。

1. 川の駅船小屋 恋ぼたる 温泉館(筑後市)

筑後市の筑後広域公園内に位置する日帰り温泉施設。地下1,500mから湧き出る源泉は、マグネシウム・ナトリウム・カルシウム炭酸水素塩泉で、美肌作用が高く「美人の湯」として知られている。独特の茶褐色の濁り湯が特徴で、炭酸濃度が多く含まれているため、入浴後もポカポカと温かさが続く。温泉成分が濃厚なため、露天風呂の段差には鍾乳石のような析出物ができるほど。夏季限定で源泉そのままの温度で楽しめる露天風呂も人気だ。

船小屋温泉の歴史は古く、文化年間(1804~1818年)に開湯したとされる。当時「雀地獄」と呼ばれていた湧水を難病の老人が飲んだところ、病が治ったという伝承が残る。明治19年の分析で含鉄炭酸泉として日本一の含有量であることが判明し、飲用で胃腸病・貧血症、入浴で婦人病・神経痛などに効果があることが分かった。

  • 泉質:マグネシウム・ナトリウム・カルシウム炭酸水素塩泉
  • 源泉かけ流し(一部加温あり)
  • 浴槽:内湯=2、露天=2
  • 源泉温度:地下1,500mより湧出
  • 日帰り入浴:可(大人700円)
  • 宿泊:不可(日帰り施設)
  • 営業時間:10:00~21:00(受付20:30まで)
  • 定休日:毎週火曜日(祝日の場合は翌水曜日)

2. 脇田温泉 湯めぐりの宿 楠水閣(宮若市)

犬鳴山系のふもと、犬鳴川沿いに佇む温泉旅館。奈良時代からの歴史を持ち、江戸時代の「筑前続風土記」にも記された由緒ある温泉地だ。福岡市と北九州市のほぼ中間に位置し、都会の喧騒から離れた静かな山あいの環境が魅力。温泉は無色透明のアルカリ性単純泉で、硫黄分を含み、少しヌルッとした肌触りが特徴。美肌の湯として親しまれている。

館内大浴場のほか、露天風呂施設「湯乃禅の里」では男女合わせて9種類の個性的な露天風呂を楽しめる。17種類の竹に囲まれた「かぐや姫の湯」、「かっぱ天国」、「庄助の湯」、「水車風呂」など、ユニークな名前の湯船が並ぶ。毎週水曜日に男湯と女湯が入れ替わる。5つの貸切内風呂「ひだまり」も家族連れに人気。春は桜、夏はホタル、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の表情が楽しめる。

  • 泉質:アルカリ性単純泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯=2、露天=9
  • 源泉温度:記載なし
  • 日帰り入浴:可(湯乃禅の里)
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業

3. 星の温泉館 きらら(八女市星野村)

大分県との県境、八女市星野村に位置する温泉施設。清流が流れ、茶畑や棚田が美しい里山風景が広がる星野村は、福岡県内でも指折りの自然環境を誇る。宿泊施設「池の山荘」に併設して2001年にオープンした日帰り温泉施設で、泉質は単純アルカリ温泉。湯上がり後もお肌がツルツルになる「美人の湯」として評判だ。

露天風呂は「みはらしの湯」と「もりの湯」の2種類があり、偶数日と奇数日で男女が入れ替わる。村の中心部を一望できる「みはらしの湯」からは、豊かな星野の自然、そして夜には満天の星空を眺めながら入浴できる。星野村は八女茶の産地としても知られ、周辺には茶の文化館やプラネタリウムを有する星の文化館などの施設もあり、温泉と合わせて楽しめる。

  • 泉質:単純アルカリ温泉
  • 浴槽:内湯=2、露天=2
  • 源泉温度:記載なし
  • 日帰り入浴:可(大人520円、小人260円)
  • 宿泊:可(池の山荘)
  • 営業時間:10:00~22:00(最終入浴21:30)
  • 定休日:不定休

4. 原鶴温泉(朝倉市)

筑後川河畔に広がる福岡県を代表する温泉地。その昔、筑後川の河原で鶴が湯浴みをしているのを見て発見されたことから「原鶴温泉」の名が付いたとされる。トロトロした肌触りが特徴的なpH8.5以上の弱アルカリ性単純泉と単純硫黄泉の2種類の泉質を併せ持つ「W美肌の湯」として知られる。アルカリ性温泉は肌の古い角質を落とし、硫黄成分は角質層のメラニンも落とすとされ、肌を色白にする効果も期待できる。

全14の温泉施設があり、源泉数34本、毎分3,000Lという福岡県内随一の豊富な湧出量を誇る。この湧出量の豊富さゆえに、ジャングル風呂や展望大露天風呂、貸し切り露天風呂など、多彩な浴槽を実現している。多くの旅館が源泉かけ流しを楽しめる。春は桜、夏は鵜飼い、秋は紅葉に柿狩りと、温泉だけでなく四季を通じて様々に楽しめる観光地だ。

  • 泉質:弱アルカリ性単純泉・単純硫黄泉
  • 源泉かけ流し(宿により異なる)
  • 宿泊施設:14軒
  • 日帰り入浴:施設により可
  • アクセス:大分自動車道杷木ICより車で約5分

5. 二日市温泉 博多湯(筑紫野市)

1300年以上の歴史を持ち、万葉の時代から風情あふれる名湯として知られる二日市温泉。旧名「次田(すいた)」の文字が『万葉集』に記されているほどの古湯だ。江戸時代には黒田藩の御前湯としても使われた。放射能泉(ラジウム泉)のお湯は、九州でも指折りの名湯と評される。

博多湯は1860年(万延元年)創業の老舗共同浴場。創業当時の風情を感じる木造3階建ての建物で、2階部分は休憩室として開放されている。「温泉は地域の財産。恩恵は皆で分かち合う」という創業当時からの家訓を守り続けている。お湯は泉温43.8度の100パーセント源泉かけ流しで、泉質はアルカリ性低張性高温泉。特に神経痛や皮膚病などに効能がある。硫黄の香りがするトロトロの温泉が地元の人々に愛されている。

  • 泉質:アルカリ性単純泉・放射能泉(ラジウム泉)
  • 源泉かけ流し
  • 源泉温度:43.8度
  • 日帰り入浴:可(大人350円、土日祝450円)
  • 宿泊:不可(共同浴場)
  • 営業時間:10:00~21:30(最終受付21:00)
  • 定休日:年中無休

6. 筑後川温泉 旅館ふくせんか(うきは市)

筑後川の中洲に静かにたたずむ温泉地。昭和30年、筑後川の大洪水から2年後に湧き出た新たな大地の恵みだ。「日本名水100選」の清水湧水や「水源の森百選」の調音の滝公園など、清流が育んだ美しい自然環境に囲まれている。泉質は弱アルカリ性の単純泉で、トロトロとした肌触りが特徴。化粧水代わりになるほどの美肌効果があるとされ、施設では温泉のお持ち帰りも可能だ。

軽やかな硫黄臭が漂い、全身を包むトロトロのお湯が魅力。内湯のみの浴室と、内湯と露天風呂がある浴室が男女入れ替え制となっている。露天風呂からは筑後川の清流を眺めながらの入浴が楽しめる。家族湯もあり、プライベートな空間で筑後川の景色を独り占めできる。温泉街近くの山麓にはブドウやイチゴ、柿、梨などの果樹園が多く、フルーツ狩りも人気だ。

  • 泉質:弱アルカリ性単純泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯、露天風呂、家族湯
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可
  • アクセス:大分自動車道杷木ICより車で約3分

7. 久山温泉 ホテル夢家(糟屋郡久山町)

福岡市の郊外、「博多の奥座敷」と呼ばれる久山町に位置する一軒宿の温泉。福岡空港から車で約25分という好アクセスながら、豊かな自然に囲まれた環境が魅力だ。広大な日本庭園と12種22のお風呂が自慢で、10種の薬草を入れた励明薬湯や白湯のほか、ワイン風呂(女性限定)、真珠の粉末が湯に溶け込んでいる真珠風呂(女性限定)、酒風呂(男性限定)など、趣向を凝らした湯船が特徴だ。

露天風呂は5つ、サウナが2つあり、野天岩風呂は少し遠くまで歩くが、自然に囲まれた開放的な空間で入浴できる。日帰り入浴も可能で、地元のリピーター客が日々の疲れを癒すために訪れる。自然食バイキングも人気で、温泉と食事を合わせて楽しめる施設だ。周辺にはツツジで有名な皿山公園などの観光地もある。

  • 泉質:記載なし
  • 浴槽:内湯、露天=5、サウナ=2
  • 日帰り入浴:可(大人900円程度)
  • 宿泊:可
  • 営業時間:10:00~22:00程度
  • アクセス:九州自動車道福岡ICから約7分

8. 博多温泉 元祖元湯(福岡市南区)

博多の南部、福岡市南区にある知る人ぞ知る温泉。民家で井戸を掘った際に湧き出た温泉が発祥とされる。3人ほど入ればいっぱいになる小さな浴槽だが、湯の温度は49度と高温で、地元の人の憩いの場となっている。博多の繁華街から近く、観光や買い物の合間に立ち寄ることもできる。

福岡市街地でありながら天然温泉が楽しめる貴重なスポット。熱いお湯が好きな温泉通に人気で、昔ながらの共同浴場の雰囲気が残る。近隣には国営公園「海の中道海浜公園」もあり、1年を通して季節の花々を観賞できる。

  • 泉質:記載なし
  • 源泉温度:49度
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:不可(共同浴場)
  • 営業期間:通年営業

9. 黒木温泉 くつろぎの森グリーンピア八女(八女市)

高級緑茶「八女茶」の産地で知られる豊かな自然に囲まれた八女市黒木町の温泉施設。「くつろぎの森グリーンピア八女」内にあり、テニスコートやパットゴルフ、ゴーカート場も設備されたレジャー施設で、幅広い年齢層に人気だ。併設の温泉施設「くつろぎの湯」は日帰り入浴の利用者も多く、少人数で貸し切りできる家族風呂も備えている。

泉質はアルカリ性単純泉で、リウマチや神経痛に効果があるとされる。温泉入浴の後は、湯上り処での食事や「黒木ふるさと市場」で地元の新鮮野菜の買い物も楽しめる。宿泊施設のコテージも完備しており、泊まりがけでゆっくりと滞在できる。

  • 泉質:アルカリ性単純泉
  • 浴槽:内湯、露天風呂、家族風呂
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可(コテージ)
  • アクセス:九州自動車道八女ICより約22km

10. 玄海さつき温泉 ロイヤルホテル宗像(宗像市)

玄界灘に面した宗像市田野に位置する温泉施設。玄海国定公園の豊かな自然に囲まれ、海と山の景観を楽しめるロケーションが魅力だ。泉質や源泉温度などの詳細情報は公開されていないが、日帰り入浴も可能で、宿泊と合わせて利用できる。周辺には宗像大社などの観光スポットもあり、温泉と観光を組み合わせた旅を楽しめる。

ホテルの温泉施設として、リゾート感覚で温泉を満喫できる。福岡空港から車で約60分とアクセスも良好で、気軽に訪れることができる。

  • 泉質:記載なし
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可
  • アクセス:福岡空港より約60分

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