大分県の秘湯・温泉ガイド - 野湯から老舗温泉宿まで厳選10選

秘湯

「おんせん県おおいた」として知られる大分県は、源泉数・湧出量ともに日本一を誇る温泉王国です。別府温泉や由布院温泉といった有名温泉地に加え、野湯から一軒宿まで、知る人ぞ知る秘湯が数多く点在しています。今回は、大分県内の隠れた名湯を野湯から宿泊可能な秘湯まで幅広くご紹介します。

1. 明礬温泉 岡本屋旅館(別府市)

明礬温泉 岡本屋旅館
参考:明礬温泉 岡本屋旅館 HP

別府八湯の一つ、明礬温泉の最も標高の高い位置に佇む老舗旅館。明治8年(1875年)創業の歴史ある宿で、江戸時代から続く湯の花製造の伝統を今に伝えています。

青磁色の美しい明礬硫黄泉は、硫黄成分が豊富で神秘的な色合いを呈します。わら葺きの湯の花小屋が立ち並ぶ明礬地獄では、国指定重要無形民俗文化財の湯の花製造技術を間近で見学することができます。別府湾と高崎山を一望する絶景露天風呂「山の湯」も魅力の一つです。

  • 泉質:含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯=2、露天=1
  • 源泉温度:80度
  • 日帰り入浴:可(山の湯500円)
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業

2. 由布院温泉 杜の湯 ゆふいん泰葉(由布市)

由布院温泉の閑静な高台に位置する、全国的にも珍しい「青湯」で有名な秘湯宿。由布山の麓、湯布院の街並みを見下ろす絶好のロケーションに佇んでいます。

最大の特徴は、時間とともに無色透明から青、白へと変化する神秘の湯。特にコバルトブルーに色づいた時の美しさは格別で、とろりとした肌触りの美肌の湯として高い評価を得ています。温泉ツウをトリコにする極上の泉質で、湯上がりの肌のしっとり感も評判です。

  • 泉質:単純温泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯=2、露天=7(貸切風呂含む)
  • 源泉温度:56度
  • 日帰り入浴:可(700円、小浴場のみ)
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業

3. 塚原温泉 火口乃泉(由布市)

由布岳山麓の塚原高原に位置する、日本第2位の強酸性泉質を誇る薬湯。pH1.4という強酸性のため、源泉で玉子をゆでると3時間でカラが溶けてなくなるほどの強さです。

この強酸性等張性温泉は全国的にも類がなく、非常に貴重な温泉として知られています。日本三大薬湯の一つとしても有名で、療養目的での利用者も多く訪れます。源泉100%かけ流しの贅沢な温泉で、真の温泉の力を体感できます。

  • 泉質:酸性-含鉄・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯=1、露天=1
  • 源泉温度:52度
  • 日帰り入浴:可(大人500円)
  • 宿泊:不可
  • 営業期間:通年営業

4. 長湯温泉 大丸旅館(竹田市)

「日本一の炭酸泉」として知られる長湯温泉の老舗旅館。大正6年(1917年)創業で、与謝野鉄幹・晶子夫妻、大佛次郎など多くの文人が愛した歴史ある宿です。

2つの異なる泉質を楽しめるのが特徴で、32度ほどの低温純炭酸泉と50度近くの高温炭酸泉を堪能できます。炭酸泉といっても肉眼で泡を確認できる温泉は日本でも珍しく、入浴1分ほどで銀の泡が体中に付着する希少価値の高い温泉です。外湯のラムネ温泉館も人気です。

  • 泉質:含二酸化炭素-ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯=2、露天=2
  • 源泉温度:32度・50度
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業

5. 長湯温泉 ガニ湯(竹田市)

長湯温泉のシンボル的存在となっている無料の野湯。芹川に架かる橋の下にある混浴露天風呂で、柵も囲いもない自然の開放感あふれる温泉です。

蟹と美しい娘にまつわる伝説が残る温泉で、24時間いつでも無料で入浴可能。川沿いは鉄分の多いにごり系の温泉で、入ってしまえば肌は見えないため、水着着用も可能です。蛍の季節にはガニ湯に入りながら蛍鑑賞を楽しむこともできます。

  • 泉質:含二酸化炭素-ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:露天=1(混浴)
  • 源泉温度:38度
  • 入浴料:無料
  • 営業時間:24時間
  • 設備:脱衣場は橋の下

6. 筋湯温泉 うたせ大浴場(九重町)

標高約1000mの場所に位置し、1000年以上の歴史を持つ筋湯温泉の名物共同浴場。約3mの高さから落ちる「日本一のうたせ湯」として有名で、18本ものうたせ湯が並んでいます。

うたせ湯はマッサージ効果があり、肩こりや腰痛など筋肉の疲れや病気に効果があることから「筋湯温泉」の名が付いたとされています。登山の疲れを癒す九重連山の登山客や、湯冷めしにくいことから冬のスキー客にも人気の温泉です。

  • 泉質:単純温泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯=1(うたせ湯18本)
  • 源泉温度:58度
  • 入浴料:400円
  • 営業時間:6:00-21:30
  • 営業期間:年中無休

7. 筋湯温泉 大黒屋(九重町)

筋湯温泉街の中心にある、歴史ある旅館をリノベーションした素泊まり宿。川のせせらぎを聞きながらゆったり過ごせる静かな環境が魅力です。

源泉かけ流しの家族風呂が2つあり、近隣の「日本一の打たせ湯」をはじめとした3つの公共浴場も利用可能。地元の鶏を使用した新鮮な炭火焼き鳥を提供する食事処も併設されており、宿泊なしでも利用できます。

  • 泉質:単純温泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:家族風呂=2
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可(素泊まり)
  • 営業期間:通年営業

8. 天ヶ瀬温泉(日田市)

筑後川の上流・玖珠川沿いに点在し、川岸の至る所にある露天風呂から湯けむりが上がっている古い歴史の温泉地。奈良時代の「豊後国風土記」にも記されている約1300年の歴史を持ちます。

玖珠川の狭い渓谷の両岸にずらりとホテルと旅館が建ち、岩がゴロゴロところがる河川敷には天然に近い露天風呂が点在。玖珠川に架かる赤い橋が温泉旅情をかきたてる風情ある温泉郷です。

  • 泉質:単純温泉、硫黄泉
  • 源泉かけ流し
  • 効能:リウマチ、皮膚病
  • 日帰り入浴:各施設により異なる
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業

9. 寒の地獄温泉 寒の地獄旅館(九重町)

江戸末期嘉永2年(1849年)開湯の歴史ある秘湯。昭和3年創業の日本秘湯を守る会の会員宿で、毎分2tを超える豊富な湧出量を誇ります。

最大の特徴は13-14度の冷泉で、「寒の地獄」の名前の由来となっています。新設された薪サウナと冷泉を組み合わせた「ととのう」体験が話題となり、全国から温泉愛好家が訪れています。囲炉裏を囲んだ温かな空間で豊後牛も堪能できます。

  • 泉質:単純硫黄泉(冷泉)
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:冷泉=2、温泉=3、薪サウナ=1
  • 源泉温度:13-14度(冷泉)、60度(温泉)
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業(水曜定休)

10. 壁湯温泉 旅館福元屋(九重町)

町田川の川沿いに佇む一軒宿で、天然洞窟温泉として有名な秘湯。足元湧出の温泉は浴槽を5分程度で入れ替えるほどの湯量があり、全国屈指の超新鮮な温泉を楽しめます。

37度程度のぬる湯で、長湯にはうってつけの温泉。新鮮な温泉の証でもある気泡が体にまとわりつきます。川を眺めながらの湯浴みは格別で、享保年間開湯の歴史ある名湯として愛され続けています。

  • 泉質:単純温泉
  • 足元湧出・源泉かけ流し
  • 浴槽:混浴露天=1、女性専用=1、内湯=2、貸切=2
  • 源泉温度:39度
  • 日帰り入浴:可(大人400円)
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業

法華院温泉山荘(九重町・坊がつる)

九州最高所の温泉として知られる山の温泉宿。鎌倉時代開基の九重山法華院白水寺として栄えた天台宗の一大霊場で、1882年から山宿を開始した歴史ある施設です。

坊がつる讃歌やミヤマキリシマで多くの登山者に親しまれ、九重連山の中心として四季を通じて賑わいをみせています。1700m級の山々へ2時間程で登ることができ、風呂に入りながらミヤマキリシマの花を楽しむことも可能です。

  • 泉質:単純温泉
  • 源泉かけ流し
  • 浴槽:内湯=2、露天=1
  • 源泉温度:48度
  • 日帰り入浴:可
  • 宿泊:可
  • 営業期間:通年営業(要予約)

大分県の秘湯・温泉は、それぞれが独特の個性と歴史を持っています。野湯の開放感から老舗旅館の格式まで、多様な温泉体験を楽しむことができるのが大分県の魅力です。温泉巡りの際は、事前に営業時間や休館日を確認の上、マナーを守って利用しましょう。

注意事項

  • 情報はリサーチした時点での最新の情報ではありますが、誤りなどがある可能性もあり、最新の情報は公式サイトなどを確認ください。