滋賀県の秘湯8選——戦国と甲賀忍者ゆかりの湯を巡る

滋賀県は日本最大の湖・琵琶湖を抱く内陸県で、海に面さないぶん温泉のイメージは薄い。しかし湖を囲む山あいには、含鉄泉やラジウム泉、炭酸水素塩泉など多彩な泉質の一軒宿が点在する。長浜市須賀谷には、戦国時代に小谷城主・浅井長政とその妻お市の方が傷を癒したと伝わる湯があり、空気に触れると酸化して赤褐色に変わる。

甲賀流忍者のふるさと・甲賀市甲南町には塩野温泉があり、江戸期の地誌『近江輿地志略』にも記録が残る。同じ甲南町の谷あいには、自家源泉を持つ宮乃温泉もある。高島市マキノ町には、近畿地方でも珍しいラドンを含む放射能泉が湧く。大津市の比良山麓、石山寺の門前、長浜市の琵琶湖岸にも個性の異なる一軒宿が残るが、県内で条件を満たす一軒宿・かけ流し系の秘湯は多くない。


1. 須賀谷温泉(滋賀県長浜市)

滋賀県長浜市、小谷山の麓にひっそりと湧く須賀谷温泉は、「戦国の秘湯」の異名で知られる一軒宿である。戦国時代、この地を治めた小谷城主・浅井長政と、その妻であり織田信長の妹でもあるお市の方が、戦で負った傷や病を癒すために足を運んだと伝えられる。宿の周囲には小谷城跡や姉川古戦場が点在し、湯に浸かりながら戦国の記憶に思いを馳せられる立地である。 泉質は含鉄(Ⅱ)-カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉。宿では古くからの呼称にならい「ヒドロ炭酸鉄泉」と掲示している。源泉温度は約15℃の冷鉱泉であるため加温しているが、須賀谷温泉は滋賀県内で初めて源泉かけ流しを実現した宿として知られる。地中から汲み上げられた湯は無色透明だが、空気に触れた瞬間から鉄分が酸化しはじめ、浴槽では独特の赤褐色へと変わる。この色の変化そのものが、含鉄泉の濃さを目で確かめられる証しである。 浴場は男女別で、大浴場には温度の異なる内湯が2つ据えられている。高温槽でしっかり温まり、低温槽でゆっくり長湯するという使い分けができるのは、鉄分を含んだ湯を体に馴染ませるうえで理にかなっている。赤褐色の湯をたたえた露天風呂もあり、湖北の里山を眺めながらの入浴が叶う。館内には食事処や休憩所、エステ・マッサージ、売店が揃い、バリアフリー対応も進んでいる。 日帰り入浴は11:00〜15:00、大人1,000円・小人500円(別途入湯税150円)で利用できる。宿泊は全20室、1泊2食付き19,800円からで、近江牛や湖北の旬の食材を用いた料理が供される。アクセスは北陸自動車道の小谷城スマートICから約5分と良好で、無料駐車場も約40台分を備える。JR河毛駅からは前日までの予約で無料送迎が利用できる。新緑と紅葉の季節が特に美しいが、冷えの厳しい冬こそ鉄分豊富な湯の温もりが際立つ。日帰り入浴は宿泊状況により休止となる場合があるため、訪問前の確認を勧めたい。
泉質
含鉄(Ⅱ)-カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉
温度
38℃ ~ 42℃
供給
源泉かけ流し
加温
加温あり
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 1000円/子供 500円
営業時間
月火水木金土日祝
11:00 - 15:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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2. 料理旅館 塩野温泉(滋賀県甲賀市甲南町塩野)

滋賀県甲賀市甲南町。甲賀流忍者の里として知られるこの土地の丘陵に、塩野温泉は静かに湯を湛えている。開湯伝説によれば、およそ1,000年前に弘法大師・空海がこの泉を見出したという。文献上の確かな足跡は江戸時代に遡る。膳所藩士・寒川辰清が編んだ地誌『近江輿地志略』には、塩野村に「塩ノ池」と呼ばれる一間四方ほどの沼があり、そこでは潮が自然に満ち引きし、水を汲んで浴場に用いれば多くの病が癒えると記されている。内陸の山あいで潮が満ち引きするという不思議は、塩分を含んだ鉱泉が湧き続けていたことの何よりの証左であろう。旅館としての創業は明治31年(1898年)。以来百二十余年、地元の農家が骨休めに通う湯として、また京の懐石を味わう料理旅館として、この地に根を張り続けてきた。 湯は天然の冷鉱泉である。源泉温度は25℃に届かず、加温して浴槽に注がれるが、ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウムを含む塩類泉——分類上はナトリウム-塩化物泉——の湯は、身体の芯まで熱を届ける。塩化物泉が「熱の湯」と呼ばれるのはこのためで、湯から上がったあとも汗が引かず、冬場でも湯冷めしにくい。滋賀県下でもっとも古い泉源のひとつと伝えられ、婦人病、胃腸病、神経痛、リウマチへの効能が古くから語り継がれてきた。派手さはないが、繰り返し通うほどに身体が応えるたぐいの湯である。 浴場は2種類。ひとつは御影石で組まれた内湯で、落ち着いた石の質感が湯の柔らかさを引き立てる。もうひとつが外湯の五右衛門風呂、いわゆる窯風呂である。鉄の釜に身を沈めるという原始的な入浴様式は、現代の温泉施設ではほとんど見られなくなった。加えて家族風呂も備わり、周囲を気にせず湯を独占できる。特筆すべきは施設全体がバリアフリー対応であることで、手すりとシャワーチェアが行き届いている。歴史ある一軒宿でありながら、高齢の家族連れでも安心して湯浴みができる宿は決して多くない。食事は和風の京懐石。米は宿が自ら育てたものを使う。 訪れる際に必ず押さえておきたいのが、入浴のみの利用を受け付けていないという点である。温泉に浸かるには、宿泊するか、食事の予約を取るかのいずれかが必要となる。裏を返せば、この宿の湯は料理とともに味わうことを前提に設えられているということだ。営業は11:00〜21:30、家族風呂は21:00まで。定休日は不定休のため、電話での事前確認をおすすめする。アクセスは新名神高速道路の甲南ICから車でわずか5分、JR草津線甲南駅からも車で5分ほどで、事前予約すれば宿の無料送迎バスが使える。駐車場は無料で15台から20台分。京都・大阪からも日帰り圏内でありながら、観光地化とは無縁の静けさを保つ。甲賀の忍者屋敷や信楽の窯元めぐりと組み合わせれば、滋賀の奥行きを一日で味わい尽くせるだろう。
泉質
ナトリウム-塩化物泉
供給
源泉かけ流し
加温
加温あり
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 ---円/子供 ---円
営業時間
月火水木金土日祝
11:00 - 21:30◯◯◯◯◯◯◯◯
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3. マキノ白谷温泉 八王子荘(滋賀県高島市マキノ町)

琵琶湖の北西、メタセコイア並木で知られるマキノ高原。そのスキー場から北へ約1キロメートル、車一台がようやくすれ違えるほどの谷筋を上がった先に、マキノ白谷温泉 八王子荘はひっそりと建っている。マキノ白谷温泉そのものの開湯時期は記録に残っておらず不詳とされるが、この湯を守る中核施設として八王子荘が創業したのは2006年(平成18年)のことである。周囲に人家はほとんどなく、聞こえてくるのは沢の水音と鳥の声だけという、まさに山間の一軒宿の風情をたたえている。 泉質は単純弱放射能冷鉱泉。低張性弱アルカリ性の冷鉱泉で、源泉温度は21.4℃、pHは8.3である。特筆すべきはラドンを含む天然のラジウム泉であるという点で、リウマチ、動脈硬化、高血圧への効能が古くから伝えられ、近畿地方でも有数の療養温泉として名を知られてきた。放射能泉は全国的に見ても数が少なく、関西圏でこの泉質に出会える場所は限られている。加水は一切行わず源泉100パーセントを使用するが、冷鉱泉であるため加温と循環ろ過、塩素消毒を併用する。湯は無色透明で、肌をなでるようなやわらかい浴感と、湯上がりに芯まで温まる感覚が印象に残る。 浴場は内湯の「ぶなの湯」と「さくらの湯」、そして露天風呂を備える。谷あいに面した露天風呂では、春は芽吹きの淡い緑、夏は濃い木陰、秋は色づく広葉樹、冬は静かに降り積もる雪と、湯船から四季そのものを眺めることができる。家族連れや静かに過ごしたい人には貸切風呂「つばきの湯」があり、1時間1,000円で予約利用が可能だ。宿泊は和室4室・定員14名という小さな規模で、地元高島の旬の素材を使った会席料理が供される。Wi-Fiとワーケーションスペースも整えられており、山中に籠もって仕事をしながら湯に浸かるという滞在も現実的である。 日帰り入浴は大人700円、子ども380円で、10時から20時30分(最終受付20時)まで。木曜日が定休となる。アクセスは名神高速 京都東ICから国道161号経由で約90分、北陸自動車道 木之本ICからなら約40分と、湖北方面からのほうが近い。公共交通ではJR湖西線マキノ駅から高島市コミュニティバスのマキノ高原線で「白谷」下車、徒歩約5分だが、便数が少ないため時刻表の事前確認は必須である。おすすめは新緑の5月と紅葉の11月上旬。メタセコイア並木やマキノ高原の散策と組み合わせれば、一日を通して湖北の自然を満喫できる。
泉質
単純弱放射能泉
温度
21.4℃ ~ 42℃
供給
循環式
加温
加温あり
pH値
pH 8.3
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 700円/子供 380円
営業時間
月火水木金土日祝
10:00 - 20:30◯◯◯×◯◯◯◯
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4. 甲賀流 忍びの宿 宮乃温泉(滋賀県甲賀市甲南町)

滋賀県甲賀市甲南町杉谷。甲賀流忍者を生んだ里山の谷あいに、宮乃温泉は一軒だけで静かに佇む。豊かな自然に囲まれたこの地で百有余年の時を刻んできた宿であり、湧き出る湯は古くから霊泉と呼ばれてきた。周辺には甲賀流忍術屋敷や油日神社が点在し、忍びの里の空気がいまも色濃く残る。派手さのない鄙びた構えは、まさに隠れ宿という言葉がふさわしい。 湯は含塩化土類食塩泉の冷鉱泉である。源泉温度は14℃と低く、pHは7.7のほぼ中性。低温のため加温して浴槽に張るが、無色透明の湯はやわらかく、肌にまとわりつくような優しい感触を残す。リウマチ、神経痛、慢性皮膚病、疲労回復などに効能があるとされ、古くから湯治の湯として親しまれてきた。一軒宿が自家源泉を守り続けている点も、この湯の価値を高めている。 浴場は男女別の大浴場に加え、露天風呂を備える。大浴場には足岩盤浴が設けられ、湯上がりの体をゆっくりと温めることができる。とりわけ人気が高いのが、地元・信楽焼の浴槽を据えた貸切野天風呂「かくれ蓑」である。1時間単位の貸切利用で、ペア4,500円、ファミリー5,000円。里山の緑や夜空を独り占めしながら、焼き物の肌に触れて湯に浸かる時間は、この宿ならではの体験といえる。食事には郷土の味を活かした懐石や鍋料理が供される。 日帰り入浴は11:00〜20:00、大人1,000円、小学生800円、小学生未満500円。タオルは100円、バスタオルは200円で借りられる。宿泊は素泊まり9,900円から、1泊2食付きは22,000円から。定休日は不定休のため、訪問前に確認しておきたい。アクセスは新名神高速道路の甲南ICから約5分と良く、京都から1時間弱、大阪からも約80分。JR草津線甲南駅からは予約型乗合タクシー「コミタク」や宿の送迎が利用できる。新緑の頃と紅葉の頃は里山の景色がとりわけ美しく、忍術屋敷めぐりと組み合わせた小旅行にも向く。
泉質
ナトリウム・マグネシウム(・カルシウム)-塩化物泉
加温
加温あり
pH値
pH 7.7
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 1000円/子供 800円
営業時間
月火水木金土日祝
11:00 - 20:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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5. 宝船温泉 湯元ことぶき(滋賀県高島市安曇川町)

琵琶湖の西岸、近江白浜の湖水浴場からほど近い里山の奥に、たった一軒だけ湯宿が建っている。宝船温泉 湯元ことぶきである。開業は1967年(昭和42年)。京都市街から車で1時間足らずという近さでありながら、周囲は雑木林に囲まれ、聞こえるのは鳥のさえずりと木々のざわめきだけという環境で、湖西の秘湯として静かに知られてきた。客室はわずか4室。宿の名にある「湯元」のとおり、源泉は宿が単独で管理する自家源泉である。 湯は単純炭酸鉄泉、現行の分類でいえば単純鉄(Ⅱ)泉(炭酸水素塩型)にあたる。源泉温度は16.1℃と冷たく、温泉法上は冷鉱泉に区分される。pHは6.8のほぼ中性、成分総計0.19g/kgと数値だけを見れば穏やかだが、鉄(Ⅱ)イオン9.6mg/kg、炭酸水素イオン74.1mg/kg、そしてメタケイ酸57.6mg/kgという組成が、この湯の個性を決めている。湧き出した瞬間は無色透明。それが空気に触れた途端に鉄分が酸化し、褐色へと姿を変える。浴槽に身を沈めると、褐色の湯の花が細かく舞い上がり、口に含めば金気の味がはっきりと伝わってくる。メタケイ酸を多く含むことから、地元では美肌の湯としても親しまれている。 浴場は男女別の内湯と、別棟に置かれた貸切露天風呂に分かれる。内湯は2人ほどが入れる大きさでジェットを備え、ろ過循環を併用する。一方、林のなかに設けられた露天風呂は加温かけ流し。こちらは50分単位の貸切利用で、木漏れ日や雨音を独り占めできる。近年はバレルサウナと水風呂も整備され、湯とサウナを行き来する楽しみ方も加わった。食事は近江牛の陶板焼きや琵琶鱒の姿造り、自家製燻製などを組み合わせた会席が名物で、日帰りでも個室で味わえるプランが用意されている。 日帰り入浴は大人700円、小人350円、幼児200円で9:00〜20:00(最終受付19:30)。貸切露天風呂は10:00〜20:00(最終受付19:00)、50分3,000円から利用できる。定休日は月曜日で、祝日にあたる場合は翌火曜が休みとなる。アクセスはJR湖西線・近江高島駅からタクシーで5〜8分、車なら名神高速 京都東ICから国道161号経由で約50分。駐車場は無料だが5台ほどと限られるため、週末や紅葉期は早めの到着が安心である。夏は近江白浜の湖水浴、秋は湖西の紅葉、冬は身体の芯まで温まる加温湯と、季節を選ばず訪ねられる一軒宿だ。
泉質
単純鉄(Ⅱ)泉(炭酸水素塩型)
温度
16℃ ~ 41℃
供給
一部かけ流し
加温
加温あり
pH値
pH 6.8
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 700円/子供 350円
営業時間
月火水木金土日祝
09:00 - 20:00×◯◯◯◯◯◯◯
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6. 比良招福温泉 ホリデーアフタヌーン(滋賀県大津市北比良)

琵琶湖の西岸、比良山地が湖へと迫る大津市北比良に湧く比良招福温泉は、2007年(平成19年)に開湯した比較的新しい温泉である。古い湯治場の系譜を引くわけではなく、近江舞子南浜のほとりで手作りのペンションを営んでいた主人が自ら井戸を掘り当てたことに始まる。「この温泉に関わるすべての人にとって幸福の泉となるように」という願いを込めて招福の名が与えられた。比良山系の登山口と琵琶湖の湖水浴場という、山と湖の双方を望む土地柄にふさわしい命名といえる。 泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉、いわゆる重曹泉で、中性低張性温泉に分類される。pHは7.25、源泉温度は38℃と人肌に近い。この湯の最大の特徴は色の変化である。汲み上げた直後は透き通ったレモン色を呈するが、空気に触れて酸化が進むにつれてオリーブグリーンからオリーブイエロー、さらに褐色を帯びた濁り湯へと姿を変えていく。同じ湯船でも時間帯や気候によって表情が異なるため、訪れるたびに違う色に出会うことになる。保湿成分であるメタケイ酸を豊富に含み、美肌の湯として評価が高い。加温はするが加水も循環も塩素消毒も行わない源泉100%かけ流しである。 浴場は檜張りの貸切家族風呂が一つあるのみで、露天風呂も大浴場も存在しない。2名から5名程度が入れる広さで、完全予約制の1グループ55分制。シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、ドライヤーが備わる。宿の規模は全4室と小さく、山小屋風のロフト付き洋室や離れのコテージが用意されている。敷地内には岩盤浴、手作りクロワッサンを焼くカフェ、バーベキュー施設、そしてドッグランが並び、温泉旅館というよりは湖畔の隠れ家という趣が強い。 日帰り利用は10時から17時、月曜定休(祝日の場合は翌平日)。料金は1グループ3,300円(税込)で、12歳以上は別途入湯税50円が必要となる。宿泊者は貸切風呂を無料で利用できる。アクセスは湖西道路の比良ランプから約4〜5分、無料駐車場は約20台分。JR湖西線近江舞子駅からは事前連絡で送迎を受けられる。夏は琵琶湖の湖水浴、秋は比良山の紅葉、冬は積雪した山並みと、季節ごとに異なる湖西の風景を楽しめる。完全予約制のため、訪問前の電話予約は必須である。
泉質
ナトリウム-炭酸水素塩泉
温度
38℃ ~ 41℃
供給
源泉かけ流し
加温
加温あり
pH値
pH 7.3
pH
0714
酸性中性アルカリ性
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 3300円/子供 3300円
営業時間
月火水木金土日祝
10:00 - 17:00×◯◯◯◯◯◯◯
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7. 石山温泉 ぼだい樹(滋賀県大津市石山寺)

琵琶湖の南端、瀬田川のほとりに佇む石山寺は、紫式部が『源氏物語』の構想を得た地として知られる西国三十三所第十三番札所である。その門前に湧くのが石山温泉であり、昭和25年に開業したぼだい樹は、この湯を守り続けてきた数少ない宿のひとつだ。数寄屋造り風の純和風建築は、門前町として栄えた石山の面影をとどめており、大津の古い旅館街の空気をそのまま伝えている。 石山温泉の泉質は単純放射能泉、いわゆるラジウム泉である。無色透明で無味無臭、肌に触れるとさらりとした感触が残る穏やかな湯で、刺激が少ないため肌の弱い人にも向くとされる。源泉温度は14℃と低く、温泉法上は冷鉱泉に分類されるため、加温したうえで浴槽へ注いでいる。それでも加水はせず源泉100%を使うのがこの宿の流儀だ。湧出量は毎分131リットル、源泉は1か所のみで、周辺に日帰り入浴施設はなく、宿に泊まらなければ味わえない湯となっている。 浴場は内湯に加えて露天風呂と貸切風呂を備える。瀬田川の水音を聞きながら湯に浸かる時間は、大津の市街地からわずか数分とは思えない静けさに包まれる。客室は12室ほどで、団体客で賑わうことのない規模である。食事は湖国ならではの会席で、鮒ずしや鯉こく、しじみ汁といった琵琶湖の恵みが並ぶ。宿泊料金は1泊2食付きで11,000円前後からと、京都近郊の温泉宿としては手の届きやすい水準だ。 訪ねるなら、石山寺の桜が咲く4月上旬か、紅葉が瀬田川を彩る11月下旬が良い。石山寺までは徒歩5分、京都駅までも約30分と近く、寺社めぐりの拠点としても使いやすい。注意したいのは、日帰り入浴プランが現在休止中である点で、湯を目当てに訪れる場合は宿泊予約が前提となる。アクセスはJR石山駅から京阪石山坂本線で3分、石山寺駅から徒歩5分。車なら名神瀬田西ICから約15分で、無料駐車場が10台分用意されている。
泉質
単純放射能泉
温度
14℃ ~ 14℃
供給
源泉かけ流し
加温
加温あり
利用
宿泊 可/日帰り 不可
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8. 尾上温泉 旅館 紅鮎(滋賀県長浜市湖北町尾上)

琵琶湖の北岸、長浜市湖北町尾上に建つ一軒宿が「旅館 紅鮎」である。尾上温泉の歴史は昭和33年(1958年)にさかのぼる。地元・尾上の神社で井戸を掘削したところ温泉が湧き出したことが始まりで、湖北の漁村に思いがけずもたらされた湯であった。宿の名は琵琶湖の名物である鮎に由来し、湖と共に生きてきた土地の記憶をそのまま屋号としている。目の前の湖上には、弁才天を祀る神域として古くから信仰を集めてきた竹生島が浮かぶ。 湧き出す湯はナトリウム-炭酸水素塩泉で、湧出量は毎分およそ300リットルと湖畔の一軒宿としては潤沢である。ただし源泉温度は21.3度と低く、そのまま浴槽に注ぐことはできないため加温して供給されており、館内の掲示では単純温泉として案内されている。弱アルカリ性の湯は肌の角質をやわらげる炭酸水素塩泉らしいなめらかさを持ち、地元では「美人の湯」と呼ばれてきた。公式には「黄金色のやわらかいいで湯」と表現され、神経痛、リウマチ、婦人病、冷え性への効能が挙げられている。 浴場は男女それぞれに、大理石を敷いた内風呂の大浴場と御影石造りの露天風呂を備える。いずれも湖に正対しており、湯に身を沈めたまま竹生島と対岸の山並みを一望できる。大浴場にはサウナが併設され、館内には滋賀県産の長命石を用いた岩盤浴、テラス脇の足湯もそろう。さらに全15室のすべてに温泉の半露天風呂が付いており、檜、信楽焼、御影石という三種の浴槽から選べる。時間を気にせず湖を眺めながら湯に浸かれる点が、この宿の最大の贅沢と言ってよい。 宿の前から望む夕景は「日本夕陽百選」に選ばれており、湖面が茜色に染まる時間帯こそ最も見応えがある。食事は近江牛と琵琶湖の湖魚を組み合わせた会席で、冬から春はモロコ、初夏から初秋は鮎や鰻、鴨と、季節ごとに主役が入れ替わる。宿泊は1泊2食付きで24,000円前後から。日帰り利用は食事プランを申し込んだ客に限られ、入浴のみの立ち寄りは受け付けていない点に注意したい。アクセスは北陸自動車道 長浜ICから約25分、JR北陸本線 高月駅からは要予約の無料送迎が利用できる。竹生島クルーズや賤ヶ岳、長浜黒壁スクエアと組み合わせれば、湖北をゆっくり巡る一泊の旅になる。
泉質
ナトリウム-炭酸水素塩泉
温度
21℃ ~ 42℃
加温
加温あり
利用
宿泊 可/日帰り 可
入浴料
大人 1100円/子供 ---円
営業時間
月火水木金土日祝
11:00 - 15:00◯◯◯◯◯◯◯◯
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訪問前に確認すること

8か所のうち3か所は入浴のみの立ち寄りができず、宿泊か食事付きプランの予約が前提になる。

【湖北エリア】 須賀谷温泉と尾上温泉紅鮎はいずれも長浜市にある。ただし須賀谷温泉は小谷山麓の内陸、紅鮎は琵琶湖岸という対照的な立地だ。須賀谷温泉は北陸自動車道小谷城スマートICから車で約5分である。JR河毛駅からは、前日までの予約で無料送迎が利用できる。源泉温度は約15℃の冷鉱泉のため加温しているが、加水も循環もしない源泉かけ流しである。尾上温泉紅鮎は源泉温度21.3℃の冷鉱泉を加温して供給しており、かけ流しとはうたっていない。全客室に琵琶湖を望む半露天風呂を備える一方、日帰り利用は食事プランの予約者に限られ、入浴のみの立ち寄りはできない。

【甲賀エリア】 塩野温泉と宮乃温泉はともに甲賀市甲南町の丘陵地にある。塩野温泉は加水のない源泉かけ流しだが、入浴のみの利用は受け付けていない。宿泊または食事付きプランの予約が必須である。宮乃温泉は自家源泉の冷鉱泉を加温して供給しており、かけ流しか循環かの供給方式は公表されておらず、本記事でも断定は避けた。両宿とも新名神高速道路甲南ICから車で約5分である。

【高島エリア(湖西)】 マキノ白谷温泉八王子荘と宝船温泉湯元ことぶきは、いずれも高島市の山あいにある。八王子荘の湯はラドンを含む放射能泉で、加水せず源泉100パーセントを使う。冷鉱泉のため加温したうえで、循環ろ過と塩素消毒を併用しており、かけ流しではない。宝船温泉ことぶきは、内湯が加温・ろ過循環を併用する。一方、別棟の貸切露天風呂のみ加温かけ流しで供給される「一部かけ流し」の宿である。公共交通はいずれも便数が少なく、車での訪問が現実的だ。

【大津エリア】 比良招福温泉ホリデーアフタヌーンと石山温泉ぼだい樹は、同じ大津市でも湖西と湖南に離れて位置する。ホリデーアフタヌーンの湯は源泉100パーセントかけ流しで、加水も循環もない。ただし入浴できるのは檜張りの貸切家族風呂のみで、完全予約制の1グループ55分制である。露天風呂や大浴場はない。石山温泉ぼだい樹は紫式部ゆかりの石山寺門前に建つ一軒宿である。加水のない源泉かけ流しだが、2026年7月時点で日帰り入浴プランを休止している。湯を目的に訪れる場合は、宿泊予約が前提となる。

※本記事に掲載している情報(入浴料金・営業時間・泉質データ等)は、リサーチ時点の情報をもとに作成しています。誤りや変更が生じている可能性もあります。最新の情報については、各施設の公式サイトや観光協会等でご確認ください。

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