

泥湯温泉は秋田県湯沢市高松、秋田と宮城の県境近くの神室山地北麓に位置する古くからの湯治場です。開湯は約1200年前と伝えられ、その名前は湯の色が濁っていることに由来しています。この温泉地には明治時代創業の奥山旅館と小椋旅館の2軒が現存しており、山間部の小さな盆地に佇む静かな秘湯の雰囲気を醸し出しています。
この温泉には興味深い伝説があり、昔、病に苦しむ乙女が透明な湯に恥ずかしさのため入れずにいたところ、天狗が現れて湯を米のとぎ汁のように白く濁らせたという話が残っています。乙女はその湯に浸かることで病が治り、それ以来、泥湯の湯は白く濁ったとされています。
近隣には日本三大霊地の一つである川原毛地獄があり、温泉地周辺からは今なお水蒸気や硫化水素ガスが噴出する地帯もあります。ただし、2005年に硫化水素ガス中毒による死亡事故が発生したため、温泉地内には立入禁止区域が設定されています。自然の力強さと、それに対する畏敬の念を感じさせる場所でもあります。
舗装道で駐車後、徒歩15分以内
まず、立地面では山間部の小さな盆地に位置し、最寄りの湯沢駅からは車で約50分、公共交通機関でのアクセスには予約が必要なシャトルバスかタクシーを利用する必要があります。特に冬季は道路状況が悪化し、一部ルートが通行止めになることもあるなど、アクセスの難易度は高くなります。
温泉地自体も、明治時代創業の2軒の宿のみが点在する非常に小規模な集落で、かつては4軒あった宿も現在は半減しています。周囲を山々に囲まれた場所にあり、商業施設はほとんどなく、純粋に温泉を楽しむための場所という雰囲気を強く感じさせます。
さらに泉質面では、複数の自噴源泉があり、それぞれ異なる特性を持つ湯を楽しめます。源泉からそのまま引かれた本物の温泉を、加水や循環を最小限に抑えた状態で体験できる点も、温泉愛好家にとっては貴重です。
周辺環境も手つかずの自然が残り、近くには川原毛地獄という日本三大霊地の一つもあります。ここは火山活動による地獄絵図のような景観が広がり、人間の手が入っていない原始的な雰囲気を感じることができます。
訪問客も限られており、特に平日や冬季はごく少数の温泉愛好家や湯治客がほとんどです。近年は「日本秘湯を守る会」の会員宿となっていることで知名度は上がりましたが、それでも大型観光バスで押し寄せるような場所ではなく、静かに温泉を楽しむことができます。
一方で、完全な野湯という訳ではなく、宿泊施設やある程度の設備は整っており、2019年には奥山旅館がリニューアルされるなど最低限の快適さは確保されています。また日帰り入浴も受け入れており、全く知る人ぞ知るというほど隔絶された存在ではありません。
これらの要素から総合的に判断すると、「レベル2:やや秘湯」と評価するのが適切と判断しました。
公共交通機関の場合:
JR奥羽本線湯沢駅下車
駅からは「こまちシャトル」というバスサービスが直通で運行(片道2,000円/人、要予約)
または乗合タクシーを利用(片道1,400円/人、仙秋タクシーに要予約)
自家用車の場合:
東北自動車道から:
関東・宮城県側からの場合:東北自動車道古川ICから鳴子経由・国道108号、国道13号、県道51号(湯沢栗駒公園線)を経て泥湯へ(古川ICから約160分)
秋田自動車道から:
岩手県側・日本海側からの場合:湯沢横手道路須川ICから県道51号(湯沢栗駒公園線)を経て、県道310号で泥湯へ(須川ICから約25分)
注意点としては、山道を通るため特に冬季は道路状況の確認が必要です。小安ー泥湯間の県道51号線および県道310号線は積雪や悪天候で通行止めになることがあります。最新の道路情報を事前に確認することをお勧めします。
また、温泉地周辺からは硫化水素ガスが噴出する場所があり、危険なため立入禁止区域には絶対に入らないよう注意が必要です。特に積雪期は雪の下に硫化水素ガスがたまっている雪洞が形成される可能性があるため、雪の上に登らないよう注意が喚起されています。
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