宮崎県宮崎市高岡町に位置していた、228年の歴史を持つ老舗温泉施設です。創業は1792年(寛政4年)と古く、200年以上にわたって地元の人々や温泉愛好家に愛されてきました。
施設の起源は、文化14年(1817年)に建てられた石碑に記されています。それによると、田んぼの中から良い香りのする水が勢いよく吹き出し、長い間雨が降らなくても水は枯れずに田んぼの溝に流れていたといいます。その後、浴室が作られ、お湯に浸かると皮膚病によく効いたという記述が残されています。この歴史的な経緯が、湯の谷温泉の薬効の高さを物語っています。
最大の特徴は、自噴する冷鉱泉を加温して使用する、独特の温泉でした。泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉(冷鉱泉)で、「超ヌルヌルの湯」として温泉愛好家の間で知られていました。強い硫黄水素の香りが特徴で、特に源泉口付近では濃厚な香りが立ち込めていました。無色透明の冷鉱泉が加温されると、鉄分を含むため赤褐色に変色し、その色合いも印象的でした。
入浴すると、驚くほどのぬるぬる感とつるつる感が得られ、肌がすべすべになると評判でした。湯上がりはさっぱりとした爽快感があり、効能としてはリウマチ、胃腸病、神経痛、そして特に皮膚病に効果があるとされていました。常連客の中には、オーナーが「建物は古いが、温泉は最高」と語っていたと伝えられています。
施設は歴史を感じさせる趣のある木造建築で、洗い場には冷水と温水の蛇口が別々に設置されており、昔ながらの温泉場の雰囲気を色濃く残していました。入浴料は420~450円という良心的な価格設定で、営業時間は10:00~18:00、定休日は木曜日と金曜日でした。
残念ながら、新型コロナウイルス感染症の拡大により客足が減少し、後継者不在も重なり、2020年8月29日をもって228年の歴史に幕を閉じました。しかし、その名泉としての評判と歴史的価値は、宮崎県の温泉史において重要な位置を占め続けています。
【閉業情報】
2020年8月29日に閉業。新型コロナウイルス感染症の影響と後継者不在により、228年の歴史に幕を閉じました。
【車でのアクセス】
宮崎自動車道・宮崎西ICから車で約10分。駐車場約20台。
宮崎市中心部から車で約27分、宮崎空港から約36分の距離でした。
【公共交通機関でのアクセス】
JR日豊本線・宮崎駅からバスまたはタクシーで約30分。
【注意】この温泉は2020年8月29日に閉業しています。
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